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世界はまだ、俺が魔女で聖女だと知らない  作者: 月森 朔
第6章 くノ一になった日

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第8話 マナとブランド展開

マナ回です。

 俺は俺2号。久々に日本に帰ってきたわけだが、休む間もなくE&Sとの会議に引っ張り出されてしまった。マナが頑張っているのに俺が行かないわけにはいかない。おまけに南さんまで一緒にきてくれている。

 そして、我々を迎えてくれたE&Sの社長さんとチーフデザイナーの風間さんの目は、なんだかギラギラしていた。宝くじでも当たったか?


「お待ちしてました。どうぞどうぞ」


 応接室に通される。


「大活躍でしたね!!」


 海外出張ばかりでお見かけしなかった社長さんだ。ちょっと小太りで日焼けをしている人懐っこい感じの人だ。


「はい。フレイヤとメルちゃんががんばってましたけど」


 マナが謙遜するが、マナは頑張ってたと思う。


「いえいえ、須藤さんの活躍も見ましたよ! 子供に襲い掛かろうとしていたでかい蝙蝠を叩き落とした姿。あと、巨大なワイバーンでしたか、あれを叩きのめすところ。感動しましたよ」


 最近、マナとばかり呼ぶのでおさらいだが、マナのフルネームは須藤愛美だ。マナは褒めちぎられて気まずくなったのか、俺の方を見てくる。助け船を出すかな。


「ふふ、マナが困っているから、それくらいにしてね」


 俺がそういうと、社長さんが頭をぺこぺこ下げる。


「風間君、さっそくだが、ご相談内容の資料を映して」


 社長さんがそういうと、風間さんが応接室の壁にあるモニターに、とある会社の映像を映した。海外のようだけど。


「この会社は…セーブルマーク?」


 マナが少しの映像を見て言い当てる。どこを見ていったんだろうか。会社のロゴは見えるが。


「知っているの?」

「はい。この会社は、革製品から有名になった会社でアメリカの大手防具メーカーです。服飾にも手を出していて、ちょうどE&Sさんが大きくなったような…、あ、ごめんなさい」


 俺の質問にしっかり答えようとして、失礼なことを行ってしまったと思ったのだろう。マナが社長たちに謝る。


「いえいえ、そんなことはないです。E&Sは古いとは言っても小規模ですからね」


 社長さんは気にしていないと笑いとばす。


「こちらの会社からブランド『Freya & Flame』の販売ライセンスと現地生産販売のライセンス契約のオファーがあったんですよ!」

「えええ!? すごいです」


 社長の言葉に驚くマナ。よくわかっていない俺。マナは色々質問を始めているが、俺には未知のことでさっぱりだ。

 そこで、南さんがこっそりと耳打ちしてくれる。ちょっと照れくさい。


「アメリカの会社がE&Sの『Freya & Flame』製品を仕入れてアメリカで売ったり、あちらの好みに合わせて独自に製品を作って売るという権利を買いたいという話ですね。大抵、初期の契約料と年間のロイヤリティ契約をすることになります」


 なるほどね。E&Sが直接作らなくっても、勝手に売ってお金を収めてくれるというんだ。なかなか、良い話に聞こえる。


「え、そうなんですか。セーブルマーク側からいきなりオファーなんてE&Sさんすごいです」


 マナの発言に笑う社長さんと風間さん。南さんも笑っている。


「え? え? 変なこと言いましたか?」


 社長さんが失礼しましたと詫びながら答える。


「我々はすごくないんじゃないかなーと思います。サンフランシスコの件で、フレイヤさん、マナさん、メルさんの大活躍があってこそですよ。実は、以前セーブルマークには逆にライセンス購入のオファーを出したことがあるんです。こちらは日本での販売権だけでしたが。その時は箸にも棒にもかかりませんでしたね。販売権も高額で別の会社にもってかれてましたし。あぁ、あの時は悔しかったなぁ」


 笑っているようで、ちょっと目が笑っていない社長さん。手に持ったハンカチがぎゅっと握りしめられている。


「社長、続きを」

「ああ、申し訳ありません。私は海外の会社との契約とか買い付け関係で年中飛び回っているんですけどね。E&Sを弱小とみて門前払いするような会社も多いわけです。セーブルマークは幸い話は聞いてくれましたけど、まぁ、結果的にはお付き合いまで至りませんでした。ですから、今回のオファーは、もう、小気味がいいというか、清々するというか。やったぜ、ふーっ!って感じです」

「社長、落ち着いてください」


 分かるよ。その気持ちわかる。オーブマシナリの房田課長なんて露骨に態度が悪かったからな。俺もオーブマシナリの社長さんが頭を下げてくるのは悪い気がしない。

 そういえば、房田課長、最近見ていないな。苦情いれたから、どっかに飛ばされたかな? まぁ、社長さんが俺に会わないように気を遣ってるんだろうし、今はマナとの会議に集中しよう。


「いろいろあるんですねぇ」


 そんなマナの言葉に、社長が「そうなんです」としみじみと答える。


「でも嫌な思いをしたのに大丈夫なのかしら?」


 俺の質問に風間さんが首を横に振る。


「この会社との取引は念願だったんです。会社の理念が我々に近しくて、組むならこの会社かなと考えていたんです。社長も振られながらも5回はアタックしてたんですよ」

「風間君、そんな言い方をすると、ストーカーみたいに聞こえるじゃないか」


 社長が鼻息を荒くする。


「ラブレターも書いてたじゃないですか。翻訳の人まで入れて、どんなにセーブルマークの製品が好きかとか」

「それは、その…」


 なんかオジサン同士の漫才みたいになってきた。そこで、南さんが割って入ってくる。


「条件などは後で聞くとして、社外取締役のマナさんに決裁をもらいたいということでよかったですかね」


 社長さんと風間さんがぶんぶんと頭を縦に振る。


「そうなんです。今、装備や服の工場と契約を増やしているんですが、どうしても増産は厳しくて。セーブルマークが入ってくれれば、『Freya & Flame』の供給も販路も拡大します。そして、契約金もロイヤリティも申し分ない条件なんです」


 社長さんが早口になる。思わず中腰になっている。


「あのー。社外取締役ってなんでしたっけ?」


 マナが手をちょこんと上げて質問をする。社長さんと風間さんがぎょっとして、俺とか南さんの顔を見る。いや、俺は知ってるよ?


「アメリカ行きの直前にお伝えしたんですけど」

「ごめんなさい。はじめての海外だったから、浮かれてました」


 マナが顔を赤くする。かわいいな。


「いえ、大丈夫です。つつがなく手続きなどは行っていますし、どんと構えておいていただければ問題ありません」

「エバーヴェイルの持ち株会社は3月から立ち上がりますので、それまではマナさんにE&Sの社外取締役としてがんばっていただくことになります。3月からはE&Sさんは、晴れてエバーヴェイル傘下の子会社となります」


 たしか、笹木が会長で、フレイヤが社長だったよな。COOとか、CEOだとかにマナとか南さんがなるとか。うん、あとでメモを見返そう。



「あたしにできますか?」


 不安そうなマナだが、全員が不安を解消すべく、問題ないと繰り返す。


「わたくしもいるから大丈夫よ。それに、ニーナともブランドの話をしてたわよね。一緒に仕事ができる場所が作れたら素敵だわ」


 酒場で行った祝賀会で色々と話し込んでいた。ニーナもデザイナーとして就職を目指しているという話だった。


「そうですよね。そういえば、セーブルマークもカリフォルニア州が拠点でしたよね」

「はい。サンフランシスコの隣のバークレーですよ」


 風間さんが補足してくれる。


「じゃあ、契約金とロイヤリティ契約の内容の確認と行きましょうか」


 南さんは、乗り気になってきたらしい。


「今度はバークレーに行くことになりそうですね」


 また行きたいだけ疑惑がでてきたが、南さんが楽しそうなので良いだろう。マナも色々不安はありそうだが、『Freya & Flame』の発起人の1人なわけで、その後の会議では前向きに発言を始めていた。

 俺? 俺は、どうせならマナとか他のメンバーの服もブランド化してもいいんじゃないかとかそんな勝手な提案をしていた。なんか、その発言に真剣に考え始める風間さんがちょっと怖かった。


「フレイヤ、行けそうな気がする」


 マナまで、そんなことを言い始める。ごめん、ちょっと黙っておくわ。そこから、会議が伸びに伸びて夜までとなってしまったのだった。


久々に日本に戻ってきました。

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― 新着の感想 ―
人命救助でマナもメルも顔が売れてしまいましたからねぇ。 むしろなんで他のメンバーのブランドが無いんだ、という声が出てきてもおかしくはないですね。
口は災いの元ですねぇ……まぁ、笹木が言わなくてもいずれはその話が出たかもだし。
めずらしく両手に花。
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