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鹿は除外
「で?その山にいる、『野犬』じゃない動物を狩りにいくの?」
ウィルがいやそうに組んでいた足をのばす。
「『野犬』じゃないかどうか、 ―― はっきりしない」
「はあ?だって・・・」
ウィルはレオンの後ろのボードをだまってゆびさす。
「おれもずっと気になってたんだが、―― そこの写真、『鹿』の死骸だよな?」
ジャンがボードをにらむ。
写真の『死骸』は雪のつもった倒木のそばにあるようだった。
これで、狩りの対象で、『鹿』は除外だな、とケンがわらう。
「しかもその死骸、―― 内臓を、くわれてる?」
ジャンの指摘にレオンも写真をふりかえり、うなずいた。
「 つまり、―― 狩るのは、草食の動物を食う動物ってことだ」
ケンのうれしそうな声に、じゃあやっぱ『熊』?とザックが嫌そうな顔をする。
レオンがわらいながら、「まだ『熊』はこっちにいないって教えたろ?」と端末機をとりだした。
警備官たちはいっせいに眉をしかめ、目を交わしあう。
端末の方に、紙の資料とは別の資料がある、ということだ。
その資料を警備官たちの端末に送ってから、保安官は説明しはじめた。