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ファイル№001 ― 保安官 ―
ファイル№001 ― 保安官 ―
ザックがこの仕事についてから、いつのまにか一年がたった。
《警備官》という職についた初日から、『バーノルドの森事件』とよばれる十二年間続いていた猟奇事件の警察官《補佐》をすることになり、この世は、自分の知る世界よりも、知らない世界のほうが多いことを知った。
そのあとも、ほかのみんなのことを、より『知る』機会が、(仕事でも私生活でも)いろいろ起こり続けて、暇をもてあますときなんてなくて、あっというまに、一年が経ち、今年はA班をふくめ強硬隊には新人は入らず、ザックが『新人』のまま、二年目をむかえている。
ザックが属する警備官の警察要請部・強硬隊A班は、強硬隊の中でもちょっと特殊な人間たちが集まった班なのだが、ザックはこの班を率いる男にあこがれて、ここに入ったのだ。
専門学校生だったころから、いろいろな噂は耳にしたが、そんなものまったく気にならない性格だったので、入ってからなじむのも早かった。