来客。
凛火ちゃんの家行ってみたいっ!
そう天音ちゃんが言い簡単な此処に来た理由を話しながら旅館に戻る。
久子さんには説明済みだ。
「ただいまー」
「お邪魔しまーす!」
「お邪魔します。」
靴を脱いで廊下に上がると、
久子さんがパタパタと音を立て出てきた。
「いらっしゃいませっ。
凛ちゃんがお友達を連れてくるなんて
イナリくん以来だから私ワクワクしちゃうわっ」
微笑みながら言う久子さんに二人は目を丸くする。
「そっくり、お母さん?」
加奈ちゃんが此方を見て言う。
「叔母さんですっ」
そう久子さんが私が答える前にクスリと笑って答える。
「凛ちゃんは9割がたお父さん、私の方の家系似なのよっ」
へーっと興味ありげな反応をする二人に私は話を逸らす。
「ほらっ子猫と子犬みたいんでしょ!」
私の部屋のある方向側に体だけ向け言い、
後ろを向いたまま歩き出すと壁にぶつかった。
「アテッ、あ。」
こんな所に壁なんて無いはずなのにと思いながら
上を見上げるとそこには私を見下ろす綾瀬さんがいた。
「綾瀬さん、いつの間に、」
さっきまで気配も感じなかったためシュッと離れ手を構えて驚いてると
綾瀬さんは呆れた顔をしてため息を吐かれた。
「...?」
何か様子がおかしいように感じ首を傾げる。
そんなことをしている間にまた加奈ちゃん達が騒ぎ始める。
「こここッこんにちッ__」
加奈ちゃんは綾瀬さんに慌てて挨拶しようとするが
勢いあまって躓き倒れそうになる。
「綾瀬さんキャッチッ!!」
私は咄嗟に一番近い綾瀬さんに叫び言われるがまま綾瀬さんがキャッチする。
「きゃっ、」
ポスンッと綾瀬さんの腕の中に納まる加奈ちゃん。
「ちょっ、加奈ッ」
「加奈ちゃんだいじょ__」
そう私達が駆け寄ろうとした時だった。
「はしゃぐのはいいけどさ、
もう少し落ち着けない?...。」
「えっ、」
あまりに冷たい綾瀬さんの声にそんな短い声が出た。
「すっ、すいませんッ、」
今まで私が見たこと無い声で、目で、加奈ちゃんを見た綾瀬さんが
加奈ちゃんを離して自分の部屋側に背を向け去っていった。
「ご、ごめんねッ、普段はあんな人じゃないんだけど、」
久子さんまで呆気にとられ黙っている中、口を開く。
「大丈夫だけど、ちょっとビックリしちゃった、」
「凛火ちゃん時となんか全然態度違ったね!」
そう口々に言う二人に心が沈み申し訳なくなる。
「なんか、前に戻ったみたいだったわ、
綾瀬さん本当に明らさまねーっヤキモチかしらっ?」
そういつもの調子でニヤニヤとする久子さん。
状況をもっとよく見て欲しいと思う。
「あー!そーか!」
「そーよ!」
何か二人で話し始めたかと思えば何か勝手に納得した様子だ、
あまりさっきのことを気にしていないようで私はホッとした。