表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/63

第十六話:探索

次に鉄男が目を覚ましたのはそれから五分ほどの後である。

視界に映る白骨死体をなるべく見ないようにして、鉄男はその部屋を出た。

白波を探さなければ。

鉄男は入って左の部屋へ向かった。


「ここは…厨房か?」

かなり広いその部屋には、古びた調理台が横たわっていた。

調味料がきちんと整理され並んでいる。もっとも、およそ使えそうなものは無かったが。

「荒らされたようすは無いな…危険な動物がいる、ってわけじゃないみたいだな…」

となれば、やはり…?

いや、そんなはずは無い。無いのだ。鉄男は頭に浮かぶ考えを否定し、頭を振る。

「ゆ、幽霊なんて、いるわけ…」

そう自分に言い聞かせ、不思議なランプをかざし、探索を開始する。

調理台の収納部を開ける。綺麗に研がれた包丁の刃がズラリと並んでいる。

それを見て鉄男は唸る。

かなり丁寧に使い込まれているのが見て取れる。きっとすばらしい料理人が使っていたのだろう。

と、不意に、そのうちの一本が飛び出した!

「うおっ!?」

とっさに仰け反ってかわす鉄男。

「な、な、なんだこれ!?」

鉄男は怯えながらも、身を守るため剣を構える!

しかし、包丁は鉄男の方に向かう様子は見せず、調理台の上で静止している。

「一体どうなって…ルッ!?」

突然、背中に衝撃が走り、鉄男は膝を突く。

その頭の上を飛び越えていったのは、まな板である。

そのまな板も、調理台の上で静止。

「ってて…なんだってんdグッ!?」

しばらく痛みに動けない鉄男の足元の床が跳ね上がった!

その下は床下収納となっており、そこからも何かが…飛び出しては来なかった。

しばらくすると床は元に戻り、包丁は何も無いまな板の上でくるくる回り始めた。

「あぁクソ!踏んだり蹴ったりだぜ全く!なんなんだこの屋敷は!?」

不気味な調理道具たちは敵意を見せる様子も無いので、鉄男は落ち着きを取り戻した。

「無人で料理をしている…?一体どんな仕組みなんだ…?」

『また野菜がねぇなぁ、料理が作れないじゃないか…』

不意に超自然的な声が響く。

「!?」

まさか本当に幽霊が?ここで働いていた料理人の成れの果てなのだろうか?

そういう考えに至り、鉄男は再び恐ろしくなった。

『まあいい、肉…も無かったか…ん?なんだ、ちょうどいい肉が、あるじゃねぇか…』

「ハハ、ははは、べ、便利な道具だなぁ、ははは…」

鉄男は自分に言い聞かせるように訳の分からぬことを言い、そして一目散にその部屋から逃げ出した。


一刻も早くこの屋敷から逃げ出したい。そう思う鉄男だが、白波を置いて行くわけにはいかない。

「そうだ、これがあるじゃないか!」

そういって鉄男が取り出したのは、村長宅に眠っていた一対の腕輪の片割れ。

「これを腕に着ければ…!」

……何も起こらない。

「何でだ!?おかしいだろ!?こんな…こんなのって…!」

恐怖に冷静さを欠いた鉄男が吼える。

その時、外で雷鳴が轟いた!

「!?うわあああああああ!!!?!?」

恐慌状態に落ちいった鉄男は、音と反対方向…屋敷の奥、階上へとまろぶように駆け上がった。


「ハァ、ハァ…うぅ、なんだってんだよ…ほんとに…」

鉄男は半分泣きそうになりながら辺りを見回す。

やたらに走り回ったせいで出口すら分からなくなった。

手に持つランプの明かりも消えかけている。

目に映るものすべてが恐ろしい。

鉄男は座り込んだ。

なんでこんな所に来てしまったんだ…?

そう、あいつ、白波が…こんな怪しい頼みを引き受けなければ…

いや、勝手についてきたのは俺…?なんでついて行こうと思ったんだっけ?

そもそも白波自体も怪しいってのに…

あんなちんちくりんなくせに、記憶喪失で一人で旅してて、それに馬鹿みたいにお人よし、と来た…

だから、俺はそんなあいつが心配で…?

そうだ。

あいつも、心細いに決まってるもんな…

勝手についてきた俺が、こんなところで震えててどうするんだ?

立ち上がらなきゃ…白波を…探し出すんだ!

鉄男は立ち上がった。その目は、先ほどまでの怯えた目では無い。

決然たる、光を秘めた目だった。

「待ってろよ白波…!すぐに行く!」

鉄男は再び輝き始めたランプの明かりを頼りに、走り出した。


続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ