表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/63

第十二話:王都へ

その翌日。

村長の家で眠い眼をこするのは白波である。

「む?よく眠れんかったのか?」

村長が問う。

「いや…朝は苦手で…」

白波は頭をかく。

「そうか、それはすまない、呼び出したりして」

「いえ、で、何の用でしょう」

「このたびの礼をしなければならんと思ってな。改めて、本当に感謝する。」

村長が深く頭を下げる。

「えっ、いいですよ、礼なんて……」

白波は驚いたように言う。

「まあそういわずに。わしの気がすまん」

「そこまで言うなら…」

「そうか、ならわしの倉庫から好きな物をなんでも取って行ってくれ。

あそこには代々受け継がれてきた物が多くある。きっと価値のあるものもあるだろう。」

「はい、ありがとうございます」

「重ね重ね、本当に感謝する……ところで、鉄男の奴から聞いたが、お主は記憶喪失だというのは本当か?」

村長が切り出す。

「ええ、そうみたいですね…」

「旅をしていて大変じゃろう。どこか行くあてはあるのか?」

「いえ、何せ記憶が全く無いので…気の向くまま、といったところでしょうか」

村長は少し考えるふうを見せた。

「ふーむ、ならば王都セリシアに向かってはどうだろうか」

「王都セリシア?」

白波は首をかしげる。

「そう、この村から西に向かったところにある、この一帯を治める王の住まわれるところだ。

そこには失くした物を必ず見つけ出せると評判の占い師がいるそうだ。

失われた記憶が探し出せるかどうかは分からんが、お主に関係のある何かは探し出せるやも知れぬ」

村長の言葉を聞き、白波はうなずいた。

「そんな人がいるんですか…分かりました、向かってみます」

そう言いながら考える。その占い師というのは「能力者」かもしれない。

なんにせよ、会ってみる必要があるだろう。

同じような能力者に会えば、いずれこの不可思議な能力の謎も解けるはず。

「そうか…では、道中気をつけてな。」

「はい、それでは」

白波は一礼し、村長宅を後にした。


向かうのは倉庫である。

不思議な腕輪も貰ったし、特に何も無くても構わなかったのだが、厚意を無碍にするわけにもいかない。

数分後、白波が持って出てきたのは、銀のブーツだった。

トラバサミにかかったときに元のブーツはダメになってしまっていたのだった。

一応村長に報告しておこう。そう思い白波は村長の家に戻った。

「おや、鉄男じゃないか」

村長宅からちょうど出てきたのは、鉄男である。

「おう、白波か」

「何をしてたんだい?」

「こいつの事でちょっとな」

そういって鉄男が指して見せたのは、縄できつく縛られ、恨みのこもった眼でこちらを睨んでいるジャド。

「こいつをこのままにしておくわけにもいかないからな」

「どうするんだい?」

「王都に連れて行って牢にでもぶち込んでもらうさ」

「へぇ、王都に?君は行った事があるのかい?」

「ああ、まあな。それがどうしたんだ?」

「ちょうどいい、私も王都に連れて行ってよ」

「え、いやまあ良いけどどうしてだ?」

「村長さんに聞いたんだ、よく当たる占い師がいるって。だから私の旅先でも占ってもらおうかと思って」

それを聞いて鉄男は一瞬驚いたようになった。

「そうか……もう旅立つんだな」

鉄男は少し寂しそうだった。

「よし、じゃあ行くか、王都へ」

それを白波に悟られまいとするように、鉄男は足早に村の入り口へと向かっていった。

「ちょ、ちょっと待ってよ鉄男、待ってったら」

それを急いで追う白波であった。


村から西に歩いて三時間ほど、巨大な建物が見えてくる。

「なんだい、この建物は?これが王都かい?」

白波が問う。

「まさか、王都はもっともっと西だよ」

「じゃあこれはなんなんだい?」

「これはな、飛空挺の発着所だ」

鉄男がそう答えた時ちょうど、巨大な空飛ぶ船が西の空からやってきて、建物の屋根へと降り立ったのだった。

「………」

言葉が出ない白波。

「なんだ?飛空挺を見るのは初めてか?」

「うん、船が空を飛ぶなんて……初めて見たよ。どうやって飛んでるんだい?」

「それはだな……俺にも分からん。何やら西の大陸の技術を取り入れたとかいう話は聞いたことがあるが」

「そう…で、これに乗るのかい?」

目を輝かせる白波。

それを見た鉄男は笑いながら、

「そう、これに乗ってりゃ夕方には着くさ」

「早く乗ろうよ!さあ!」

「ハハハ、お前はほんとに面白い奴だな」

「む、笑うことは無いじゃないか…」

白波はふくれながらも、飛空挺への興味でいっぱいだった。

「悪い悪い、さ、行くか、まずは乗船券を買わなきゃな」


そうして無事に飛空挺に乗り込んだ二人。

「ほら鉄男、下に村が見えるよ!あんなに小さく…!」

子供のようにはしゃぐ白波。

「あまり騒ぐなよ、みっともない」

そういいつつ鉄男は微笑んでいた。


そうして二人を乗せた飛空挺は王都へと…

「なんか気分が悪くなってきた…」

「おいおい、乗り物酔いか?しっかりしろよ…」

ともあれ、王都へと進むのであった。


続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ