卵の中の悪魔
ハザマ様の婚約者である美麗さんが、海外から帰国して本家に挨拶に来た。
卒業も決まり、婚約もして、今が一番楽しい時期なのだろう。もともと美人な彼女だが、大好きな人と結ばれたことでキラキラとさらに輝いて見える。
そんな美麗さんから、「蚤の市で買ったの」と
卵の宝飾細工をお土産に貰った。
素人の目から見ても、ものすごく高価なアンティークだということはわかる。
「これ……高いのよね? いいの? 貰っちゃって……」
私が遠慮がちに言うと、美麗さんは明るく笑った。
「私は貴女から、もっと凄いプレゼントを貰ったからいいのよ。これぐらいあげないと!」
もっと凄いプレゼントとは、彼女の愛する月島さん(ハザマ様)に引き合わせたことだろうか……。私はありがたく頂くことにした。
「じゃ、私、月島さんに会いに行くから。またね!」
*****
それからしばらくして。御影様の部屋にいた私の元へ、ハザマ様がこっそりとやって来た。
「初音。美麗から貰った宝飾細工、ちょっと見せてくれないか?」
「??? えぇ、良いですよ。これです」
私がハザマ様に卵を見せると、彼は途端に深刻な顔つきになった。
「これ、絶対に開けるなよ? 凄く『良くないもの』が入っている。陸が来た時に処理してもらえ。……美麗に悪気はないんだ。この中に入っているものが、美麗に買わせたんだ」
「あ、はい。わかりました。……あの、陸様でないと祓えないのですか? 御影様に頼んではいけませんか?」
すると、ハザマ様は少し考え込むように言った。
「御影って、西洋の悪魔みたいなの祓えるのかな……。私には、密教の調伏のシステムを使わないと祓えない感じがするんだよな。私や御影のような神道系の祓い師はただひたすら清める方式だから、相性が悪いと思うんだ」
「そうなんですね。では、陸様に相談してみますね」
「あぁ、そうしてくれ」




