お役目候補たちの試練
室生 初音: 地方の芸大生 三年生の後期のみ、
室生本家で世話係のアルバイトをしている。
ハザマ様 =室生 透青
室生家の巫覡をしている。
中の人は月島秀青で芸大の助手をしていた
御影 様
陸 様 お役目様の内孫三人衆の内二人
霊的能力を持つ
約束の二日後。陸様はインターホンを鳴らし、屋敷の外で待機していた。 門を開けた執事の惟光さんは、陸様が連れてきた怪異を見て、さすがに驚いたようだ。
「これを……屋敷内に入れるわけにはいきませんね。とりあえず納屋か空いている蔵に入れて、御影様に結界を張っていただきましょう」
ハザマ様は困惑して声を上げる。
「なにこれ? イカなのか? イカの怪異か?」
御影様も頭を抱えた。
「どーすんだよ? 意思疎通できねぇ……。まだ怨霊の方が話が通じるレベルだぞ」
ハザマ様が
「と、取り敢えずお役目様に相談を……」と縋るように言うと、惟光さんは首を横に振った。
「お役目様は今朝、四国の八十八ヶ所巡りへ旅立たれました。なお、屋敷神様は置いて行かれましたので、『お役目候補の三人で何とかするように』とのお達しでございます」
ハザマ様、御影様、陸様の三人は、
「「「わざとだ……」」」と深い絶望に沈んだ。
どうやら、お役目候補の三人がこの難題をどう解決するか、試されているらしい。
私は皆の緊張をほぐすために、
「取り敢えず、お茶にしませんか? その後でゆっくり解決策を考えましょう」と提案し、上等のお茶を淹れて気持ちをリセットさせた。
霊感のない私には怪異の姿が見えないため、一人平気な顔をしていると、ハザマ様が口を開いた。
「初音、お前のスケッチブックとパステルを貸しなさい」
視える三人の中で一番絵の得意なハザマ様が、なぜ自分たちがここまで絶望しているのか、わざわざイラストを描いて見せてくれた。
その絵を見て、私は絶句した……!!
「たしかに……意思疎通できなさそう!」
御影様が感心したように言う。
「ハザマって絵が上手いな。美大受かるぞ。今からでも受ければ?」
ハザマ様は表情を変えずに答えた。
「前世で美大に入って人生詰んだから、やめておく」
ハザマ様……それは美大に入ったせいじゃなく、貴方の女癖のせいです……




