エピローグ「最果ての地で見つけた、永遠の愛」
あれから数年の月日が流れた。
レオンは元気に走り回る活発な男の子に成長し、弟と妹も生まれて、屋敷はますます賑やかになった。
スノーバームは王都でも評判となり、ノースガルドの特産品として定着した。街は活気に溢れ、かつての寒々しい雰囲気は微塵もない。
王都の方からは、たまに噂が入ってくる。
元公爵家は没落し、王太子だったアルフレッドは辺境の小領主としてひっそりと暮らしているという。ミハイルは修道院から脱走しようとして捕まり、さらに厳重な施設へ送られたとか。
彼らのその後を聞いても、今の私には何の感情も湧かない。それは遠い国の、知らない人々の話のようだった。
春の日差しが降り注ぐ中、私は庭で子供たちと遊んでいるグリーグ様を眺めていた。
白髪が少し混じり始めたが、その逞しい背中と優しい眼差しは変わらない。
「ママ! 見て、お花見つけたよ!」
レオンが、黄色い花を摘んで駆け寄ってきた。
「まあ、きれい。ありがとう」
「パパがね、ママに似合うって言ってた!」
それを聞いて、グリーグ様と目が合った。
彼は少し照れたように笑い、ゆっくりとこちらへ歩いてきた。
「ジュリアン、寒くはないか?」
「ええ、暖かいです。貴方がそばにいますから」
私たちは並んで座り、子供たちが遊ぶ姿を見守った。
追放されたあの日、私は全てを失ったと思った。
けれど、実際には何も失ってなどいなかった。むしろ、本当に必要なものを手に入れるための旅立ちだったのだ。
愛する夫、愛しい子供たち、信頼できる仲間たち。
そして、自分らしく生きられる場所。
「……幸せか?」
グリーグ様が、不意に尋ねた。
私は彼の方を向き、心からの笑顔で答えた。
「はい。世界で一番、幸せです」
彼は満足そうに頷き、私の肩を抱いた。
最果ての地で見つけた、この小さな楽園で、私たちの愛の物語はずっと続いていく。
永遠に、幸せに。




