勇者よ、仲間が死に瀕したぐらいで立ち止まるのか!! 情けない!!
「勇者よ、仲間が死に瀕したぐらいで立ち止まるのか!! 情けない!! 」
「儂らは、楽しいハイキングに来たわけでな無いのじゃぞ! 」
「何を勘違いしていた! 目的を見失うでない! 」
「魔王を目前にして何故立ち止まることができる!? 」
「貴様、この旅で何を学んだ! 」
「その甘さは、いつになったらなおるのじゃ!? 」
「ロートルの元勇者なんぞ捨て置け! 」
「儂を置いて先に進むのじゃ勇者! 」
「勇者としての責務を果たせ! 」
「……なに、魔王を倒した帰り道に儂の亡骸を拾ってくれればよい」
「懐に儂のへそくりが入っておる、王国への帰途で全部使ってくれ……」
「魔王を倒し、国へ帰ったら、貴様も英雄じゃ……」
「もう好き勝手に旅することも、遊びに行くこともままならぬ」
「じゃからその分、ゆっくり旅を楽しみながら帰るとよい」
「ああ……儂も、もう一度、あの思い出の店へ……行きたかったのう……」
「……なに? 傷の割に意外と元気じゃないか、じゃと? 」
「馬鹿者! 瀕しておるわ! 死に瀕しておるわ! 」
「貴様に檄を飛ばす為に、力を振り絞っておるわ! 」
「ほら! もういいじゃろ! さっさと行け勇者よ! 」
「さっさと世界を救ってこい! 」
「……」
「……やっと行ったか」
「まったく……いつまで経っても情けない顔をしおって」
「ふむ……さすがにしんどくなってきた」
「しかし、久々に楽しい旅であった……」
「やはり玉座にふんぞり返っているよりも、気ままに旅をするほうが儂好みじゃのう……」
「先代勇者……あやつとも旅をしてみたかった……」
「わしが一緒なら、無様に死なせなかったものを……」
「ふふふ、今更こんなことを思うなんて、儂はなんて情けない男なんじゃ……」
「……行け勇者よ。次代の王、我が孫よ」
「お主は、もう一人前じゃ……」
「この、情けない男に代わって……」




