勇者よ、武闘大会で初戦敗退するとは情けない!
「勇者よ、武闘大会で初戦敗退するとは情けない! 」
「まったく何たる体たらく! 」
「仮にも勇者じゃぞ! この程度の大会で一勝もできんとは! 」
「うむ……まぁ……その……」
「いや、まあ貴様に黙って出場した儂も悪かった」
「……いや、準決勝ぐらいで当たって驚かしてやろうと」
「……」
「……まさか初戦で勇者とあたるとはな! 」
「ははは! 実に愉快ではないか! 」
「しかし、勇者よ貴様も腕を上げたな! 」
「ついうっかり儂も本気を出してしまったわ」
「なに? わしが放っていた眩しいオーラは何かじゃと? 」
「……はて? なんのことかな? 」
「身体強化魔法ではないかと? 」
「武闘大会で魔法を使うなんてズルだ、じゃと? 」
「な!? ズルじゃないわい! 」
「あれは魔法ではない! 魔法ではないからズルではない! 現に、大会運営は何もいってきとらんじゃないか! 」
「……」
「はい、すみません……」
「勇者が女神から授けられる秘められた力です……」
「すみません……」
「魔法とは違うんです……だから運営に告げ口するのは勘弁してください」
「ああもう! わかったわかった! 」
「本当は、自身で秘められた力を引き出してほしかったんじゃが! 」
「使い方を教えてやるから勘弁せい! 」
「ほら! せっかく優勝賞金も貰ったんじゃ! 」
「まずは祝杯をあげに行こうではないか! 」
「秘められた力の話は、そのあとじゃ! 」
「なに? 純粋な剣技じゃない以上、やっぱりズルじゃないかじゃと!? 」
「しつこいのう! 」
「さては貴様、優勝賞金にたかるつもりじゃな!? 」
「わかったわかった! 今日は好きなもの頼むがよい! 」
「今晩で使い切るつもりで臨もうぞ! 」
「ほら! いつまでも拗ねてないで! 行くぞ勇者! 」




