プロローグ 始まりは現実逃避から
皆様お久し振りです。
もしくは初めまして作者のG-3Xです。
最近はにじファンで書く事が多かったのですが、今度の規制で今まで書いてきた連載の殆どを削除しなくてはならなくなったので、今度はオリジナルの連載をここにヒッソリと始めようと思います。
何気に書くのが初ジャンルなカテゴリーなのですが、楽しんで頂けたら幸いです。
……そして需要があるのか不安です。
「アー君。一緒にお風呂に入ろうよ!」
夕食後にのんびりとテレビのバラエティーを視聴していた俺の耳元に、天使の囁きとも、悪魔の誘惑とも思える甘い声が届く。
ちなみにアー君とは、俺のことだ。
本名が天川明人。
ちなみに俺を風呂に誘いに来た張本人が言うには、苗字と名前に、『あ』という文字が二回重複しているため、アー君と呼んでいるらしい。
まあ、そんなことはさて置き、俺は今年の春に親元を離れて、ピカピカの高校一年生となった、青春真っ盛りの男子高校生だ。
誰もこんな冴えない日本在住の一般的な男子高校生の事なんて、詳しく知りたく無いとは思うが、それでは話が前に進まないので簡単に説明しておこうと思う。
何故親元を離れたかと言うことを、簡単に説明するならば、さっきも言った様に俺はこの春に、中学を卒業して晴れて高校生の仲間入りを果たしたのだ。
例外はあると思うが、一般的に中学を卒業して高校生になれば、毎日通う学び舎だって変わる。
俺が選んだ進学先は、今まで中学校生活を送ってきた多少関東寄りな、微妙に田舎な地元では無く、ここ数年の間に埋め立てで作られた開発都市に設立された比較的に新しい学校だ。
流石に地元から通うには遠いという事もあり、俺は中学を卒業すると同時に、最愛の家族と友人達に別れを告げて、単身この開発都市にやって来た訳なのだが……。
もう勘の鋭い人ならば気付いているかも知れないが、俺が脳内でこんなライトノベルの序盤にありそうなモノローグを延々とやっているのには、それなりの理由がある。
冒頭に俺を風呂に誘いに来た声の主……。
そう、奴の存在を……一秒でも長く、忘れる為に他ならない。
人はそれを、現実逃避と呼ぶ。
しかし何時までも逃避を続ける訳にもいかないというのは、俺だって分かっているのだ。
どんな困難にも立ち向かっていく勇気。
それがきっと、今の俺には一番必要な筈なのだ!
と、自分を鼓舞しつつも、まだ少し現実に立ち向かう決意を固め切れていないので、もう少しだけこのモノローグに付き合って欲しい。
そもそも何故俺が進学先をこの開発都市に設立された学校に選んだか、というか俺自身の選択というよりは、行かざる得なかったという言い方の方が正しい気がするのだが……。
まあ、その話は長くなるので、またいずれ話すとしよう。
その辺りは飛ばして、地元を離れた学生が遠くの場所に通うという事は、当然ながらその近くに住まなくてはならない。
学校が経営している寮に入るなり、通学圏内で学生向けの安いアパートを借りる。
はたまたコネと条件さえ満たしていれば、近隣の御家庭にホームステイなんて方法もあるだろう。
そして俺が高校生活を送る上で、選んだ手段は最後に述べた方法……つまりホームステイする事だった。
肝心のホームステイ先。
つまり下宿先は、俺の母方の親戚の家で、俺の母さんの兄、俺から見ると叔父に当たる方が、下宿を許可してくれたのだ。
ここ数年は殆ど面識すら無かったのだが、小さい頃は良く遊んで貰ったことは、今でもおぼろげではあるが覚えている。
更に叔父さんにも一人、溺愛している一人っ子が居り、俺と同い年という事もあってか、会う度に叔父さんを交えつつ一緒に遊んだものだ。
実はその子供も俺と同じ学校に進学する事が決まったという情報を得たのは、合格発表から二日後の事だった。
朝食を食べている時に、母さんから聞かされて。
折角だから寮代も浮くし、叔父さんの家でお世話になったらという母さんの本気とも冗談とも言えない発言のあった日の夕方。
残り少なくなった中学生活の一日を終えて帰宅した際に、電話の子機を片手に俺の帰りを出迎えてくれた母さんが、下宿先が本当に叔父さんの家に決まったという事を告げて来たのだ……。
最初は驚きもしたが、考えてみれば暫くは会っていないとは言え、見知った土地を離れた先に知り合いが居るというのは、なんとも心強いものである。
特に反対する理由も無かった俺は、母さんと叔父さんの好意を無駄にするのも忍びなかったので、その件を了承した。
そして下宿先にてお世話になる事になったのだが、それは俺の試練の日々を告げる、始まりのレクイエムに他ならなかったとは……この時は、思いもしなかったのである。
「ねえ、アー君! ちゃんとお話聞いてくれてる?」
俺が意識的に、その声を脳からシャットダウンしようとしているのにも関わらず、奴はなおも俺を呼び続ける。
「わ、悪いな。テレビの音で聞えなかった……」
これ以上無視するわけにもいかず、俺は錆付いて動作不良を起こしているロボットが如く、小刻みに視線をテレビから離し。先程から俺を呼ぶ声の主へと振り返った。
はっきりと言ってしまおう。
今、俺の目の前には、100人中100人が見ても、文句のつけようが無いと豪語出来るレベルの、美少女チックな生命体が佇んでいる。
美人と一言に言っても様々なタイプが存在するが、目の前の奴をその分類でカテゴライズするとしたら、間違い無く可愛い系に属する容姿だ。
奴の名は、高良 飛鳥。
叔父さんの子供であり、俺の同い年な幼馴染兼、親戚である。
身長は150cmと今時の高校生としては小柄な方で、黒髪は肩に掛かる程度の長さ。
日本人として何を食べたらこうなるんですか? と、質問したくなる程の透き通る様な白い肌に、小さな顔に納まる全てのパーツが可愛いの一言に尽きる。
お風呂の誘いに来たことから、綺麗に折り畳まれたバスタオルを手に、飛鳥はつぶらな瞳で、俺の返事を今か今かと待っているのだ。
ここまで俺の話を聞いて、こんな美少女と一つ屋根の下で暮らすなんて、あまつさえ一緒にお風呂のお誘いなんて羨ましすぎる! 俺と代われ! リア充は爆発しろ! どこのラブコメ主人公だ貴様は!? と、思った方も居るかもしれないが、果たしてそんな美味しい話が簡単に転がり込んで来るだろうか?
答えは否だ!
現実は何時だって人に厳しいのは、最早創世記以降のスローガンになるくらい、当たり前の話である。
だって俺の幼馴染は……俗に言われる男の娘と呼ばれる存在だからだな。
見切り発車な新連載ですが楽しんでいただければ嬉しいです。
それと今すぐでは無いのですが、とある事情から私もこの主人公と同じく引っ越すかもしれないので、その際は暫く投稿出来なくなるかも知れません。
正式に決まったら何かしらの形で御報告すると思います。
それでは。




