フランケンシュタイン博士
10話 フランケンシュタイン博士
自転車でドーテーとクラゲUFOを追おうとした寸前、クルマに乗ったマリリンの親戚だという男が。
「クルマに乗りなさい!」
ドーテーは自転車でクルマの後から。
あたしはマリリンと男のクルマでクラゲを追った。
クラゲは農高のファーム上空から、放し飼いのヤギを数頭捕食し、また変形し飛んでった。
やはり翌日はクラスで大騒ぎ。
当たり前だが農高の方が大騒ぎで教師が泣いているらしいとか。
家畜被害。UFO出没ではじめての事件がおきた。
「霧島。診療所のアポがとれた。次の日曜の朝なら大丈夫だって」
日曜日、あたしとドーテーとクロガネの大海田トリオで佐藤診療所に。
クロガネはもしものためのボディガードだ。
べつに悪の秘密アジトへゆくわけじゃないけどね。
「裸のマリリンちゃんに会えるのが楽しみだ」
「ちゃんと服着てるわよ、ナニい言てんのクロガネスケベー。マリリンさんが居ても変な目で見てちゃ駄目だからね。ドーテーもだよ」
診療所は古い建物で平屋だ。あたしはココに来るのは初めてだ。
大海田にも大きな病院が出来、小さなクリニック等も随分出来た。
佐藤診療所と書いた看板が斜めで倒れかかっていた。大丈夫なのかココ?
休診と書かれた札の付いたドアを開けると開いた。鍵はかかってなかった。
狭い待合室の前に受付があり中を覗くと人が!
「申し訳ございません本日は休診となっています」
「スゲー、コレロボット? 人形だよマテラ」
クロガネがチェック柄のベストを着た等身大の人形をしげしげと見てると。
「遠慮はいらん、入りたまえ」
診察室の方から老人らしい声が聞こえた。
「失礼しまーす」
と、あたしは職員室へ入るようノックして診療室に入っで頭を下げた。
「いらっしゃい高校生諸君」
白髪、白衣姿の人物がくるりと椅子を回し、こちらに顔を見せた。
見るからに博士というかんじの老人が白い歯を見せて笑った。
「で、わしに何を聞きたいのかな?」
「あたしたちは大海田高の歴史研究部で、大海田の歴史を調べてます。それで、ここが町で一番古い施設と知りまして。佐藤先生に昔の大海田の話しを聞きたくてまいりました」
あたしはまえもって考えてたセリフをまくしたてた。
かまなくてよかった。
「歴史研究部は聞いていたが。佐藤先生よりドクターでいい」
「あの先生、あドクターは海外からの帰化人と聞きましたが」
ドーテー。相変わらずストレートな質問を。
「そういうのも調べたんか?」
「いえ、ウチは、この近所で。祖母にココの昔の先生は外国人だったと聞きまして」
「わしはちゃんと日本で生まれた日本人だが、祖父はドイツから医療の助っ人に来た。日本人の嫁をもらい日本に帰化した。その嫁の実家がこの地で開業医をしててな。祖父はそのままこの病院を継いだんだ」
「そうでしたか。あのもしよければお祖父様の名を?」
メモをするふりしてドーテーが言う。
「シュテルンシュヌッペ・B・フランケンシュタインだ。ちなみにわしはビスマルク・フォン・タロウ・佐藤・ボルグ・フランケンシュタインだ」
やはり、マリリンが言ってた。ハカセは腐乱屍体。ドーテーよくフランケンシュタインって。
「フォフォフォフオ。驚いたかな高校生さんら。有名なモンスターを造った男と同じ姓だ」
本人が言ってる。あのフランケンシュタイン博士は小説の中の架空の人物なんだよね。
「本当にドクターは、フランケンシュタイン博士なんですね」
「本当に? 誰かに聞いたのかな?」
「はい……マリリンさんという人に……」
「マリリンを知ってるのか?」
あたしがヨコから。
「マリリンさんは町のみんなと、よく買い物で会います」
「なるほど……。マリリン、わしを腐乱屍体とか言っておらんかったか?」
そこにドアを開け。
「これ、飲み物」
黄色いエプロンをしたマリリンが。
いつものかっこうに胸元まであるエプロンって、裸にエプロンしたように見える。退屈そうだったクロガネの顔が変わった。
「おおマリリン気がきくな」
「窓から客来たの見えた」
「おや、マリリンコレは」
「ハカセいつも飲んでる」
「コレは客に出すモノじやないぞマリリン」
マリリンが持ってきた飲み物は緑色の。
「ああ美味い。先生、コレは上質の青汁ですね」
クロガネがコップを一気飲みした。
ああそうた。
「ドクター、コレ、つまらない物ですが」
「そんな気を使わんでも。ん、コレはパンかな?」
「はい、最近大海田で人気のメロンパンです。あ、甘いパンお嫌いですか?」
「そんなことはない。朝食をとったばかりでな。あとでいただくとしよう」
受付の方から。声がした。
「ドクター。おはようございます。ん、なんです? 受付に綺麗な人形が。わっしゃべった」
ノックもせずに黒服の男が二人入って来た。帽子から靴まで黑一色だ。
あれ、前の男、見たことあるような?
「あっこれはすみません。ご来客でしたか」
「相変わらず突然やってくるな。奥の応接室で待っておれ!」
痩せた大きい方の男は部屋から出ようとした時、あたしを見て。
「君はこないだの」
やっぱりそうだ見たことあるはずだ、マリリンと居た黒いアロハ。
「君が、なぜココに?」
それはあたしが聞きたい、その黒服姿、あんた、MIBか?
つづく




