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第25章 再出発3

数秒固まったままのレインは内容を理解するなり慌てて首を横に振った。


「いいよそんな大切な仕事。私は、誰かに教えたことなんて――」


「あるだろ?」


そう言われてレインははっと我に返ったような顔でクランを見た。


「立派な生徒がいたろ? な?」


満面の笑みを向けられたレインは一瞬悲しみに目を伏せてから呆れたように笑った。


「仕方ない。とりあえず行ってみるよ」


「了解」


満足そうに笑ってまた歩き出そうとしてクランは足を止め、レインもつられて止まった。


「あのさ、レイン」


そう言ってレインに体を向けた。敵を前にした時ではない、別の真剣さに、レインはなぜか緊張していた。


「戦いが終わったら聞いて欲しい話があるって言ってたの覚えてるか?」


一度考えてから、レインはそういえばと思い出したようにうなずく。それを聞くなりクランは深呼吸し、真剣な顔で言った。


「俺、レインが好きだ。大佐として毅然としてるところも、情が深いところも、たまに見せる弱いところも、挙げ出したらきりがないくらいレインの全部が好きだ。だから、これから俺の恋人として傍にいてくれないか?」


レインは頭の整理が追いついていないようにただ瞬きをして固まっている。


「レイン返事は? 固まってちゃ分かんないだろ」


ようやく意味を理解したのか、レインはリンゴのように顔を真っ赤にして、クランの顔を見ていられないとばかりに俯いた。それは、かつて軍に所属し大佐として部下を指揮し、勇猛果敢に刀を振るっていたとは誰が見ても信じられないほど女性らしさに溢れていた。


「あ、いや、その、私は……」


ますます赤くなる顔でレインは勢いよく手を出した。


「私も、その、だから、あの」


「え?」


わざとらしく聞き返すクランに、レインは真っ赤な顔で怒鳴るように言った。


「私も好きだと言ったんだバカ者――」


その言葉を聞き終わるよりも先に、クランはレインの手を引いて強く抱き締めた。それからそっと身を離して笑顔でレインを見るが、当の本人は石のように固まってしまっている。


「慣れないなぁ。レインは」


クランは苦笑しながらレインの頭をくしゃくしゃと撫でて歩き出す。


「ほら、行くぞ。早くしないと日が暮れる」


固まったままのレインを無視して歩いていくクランをレインは大股で歩いて追いかけた。


「な! 私を置いていく気か! こら、待て!」


静寂の中、まるで口論をするように2人は次の居場所へと向かっていった。

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