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捏造

「お、お待たせしました……!」


戻ってきた二人は何かの本を大量に抱えて息を切らしていた

身体強化もかけていたらしいが急いでいたんだろう

本を置き息を整えると陛下に促され発表された内容は、まさにルルーディの言った通りなのではないかと言う

資料を開き見せながらセリーニは説明する


「最古の文献には端正な顔立ちの凛とした方、とある

この時点で男性かどうか分からないように書かれています

そして今から五百年ほど前に発行されたものから突然、勇者が女性だったのではないかと疑うように文章が変えられています」


レモニーが全員に本を見せる

前のめりで見ると気品ある整った顔立ちの凛とした美しさを感じさせる方と書かれてあった

確かにこれだけ読むと、どっちなのか分からなくなる


「そして三百年ほど前から聖女という言葉が出てくるようになりました

その時の聖女という言葉の定義はこうです

聖女とは、神から祝福を受け、特別な力を持つ女性のことである

人々を救済し導く女神のような存在が聖女である

その能力は一般的に神からの賜物であり、神聖な存在として崇拝しなければならない

勇者様を称え聖属性が扱える女性をそう呼ぶこととする」


しばらく沈黙が続いた

俺は理解するのが大変で、よく分からない文で頭がいっぱいになった

確認も含めて訊き返す


「要は勇者は男だったのに途中から女だと言われだし聖女という言葉が出てきたってことだよな?」


「あぁ、これは…」


「えぇ、間違いなく捏造されています」


フィトーとルルーディも眉を寄せている

ラハニスたちも複雑そうな顔をしているがグリーゾは腕を組んだままだ

勇者に会ったことがないから他人事なのかもしれない


「誰が? 何のために?」


カフェティがぽつりと零した

そう、それが分からない

その疑問には誰も答えられないだろう

そう思っていたがレモニーが本の裏表紙を見て答えた


「…もしかしたら教会の者が知っているかもしれません」


「…そう思う根拠は?」


ディアスがそう訊くとレモニーは裏表紙を見せる

そこには教会の印が押されていた


「この時代の教会は現在より権威があったはずですし…」


「あり得ない話ではないわね

セリーニ、クシノース伯爵令嬢、調査を頼んで良いかしら?」


陛下がそう言うと二人は即答した

セリーニとレモニー以上に、この場で適任者は居ないだろう


「ひとまず教会については二人からの結果を待ちましょう

今は先にミヤさんの聖属性の発表について話します

公的の場を設けますから、それまでミヤさんには城で生活していただきたいわ

良いかしら?」


確かに家に戻るのは危ないだろう

教会の者だけじゃない

平民の者たちが面白半分で近づいているから


「ほぅ、では我らが交代で護衛につこうかの

シロガネも呼ぶか」


「良い考えだ、グリーゾだけでは不安だからな」


「なんだと⁉︎」


また言い合いを始めたドラゴン達に呆れつつミヤを見つめる

俺の視線に気づいた彼女は小さく笑った

どこか緊張しているように見えた

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