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伝言

ティルクアーズから妙な人間がミヤの周りを彷徨いていると言われた

伝えたいこともありセンテーフィと共に訪れる

すると我を見て突進してきた人間が居た

だが寸前で止まり首を傾げる


「あれ? アステリ様だと思ったのに…」


「誰じゃ?」


問うものの答えず怪訝な顔をして我とセンテーフィを見つめる人間

そこにアステリが来た


「アステリ様ぁ♡」


再び突進していく人間を躱しアステリは我らに近づいた

今まで医務室に直行しミヤに会いに行っていたのに門から入ってきたことに首を傾げている


「ラハニスもグリーゾも好き勝手しすぎよ

少しは人間たちのことも考えてあげないと」


「面倒じゃのぅ…」


「今さらな話にはなってるけどな…

ところで…ミヤ、ではないよな…?」


我の隣に立つセンテーフィを見てアステリは首を傾げる

答えようとすると先程の人間が彼に抱きつきながら我らを、センテーフィを見上げる


「なになに?

オバサンって言われたからイメチェンしたの?

髪真っ白に染めちゃってさ」


馬鹿にしたように笑う人間に目を細めてアステリに問うと


「隣の…スコティノースで召喚された聖女だよ」


心底嫌そうに言った

なるほど、妙な人間がミヤの周りを彷徨いているのは聖女だったのか

すると、それまで黙っていたセンテーフィが静かに言った


「貴女、初対面でずいぶんと失礼ですね」


途端に聖女は目を丸くする

ミヤとは違う威圧感を感じるのか一歩下がった


「…ここで時間を喰っている暇はない

アステリよ、ミヤのところに案内せい

センテーフィがアシーミ様からの伝言があるから連れてきたのじゃ」


訝しむアステリは聖女を引っ剥がすとセンテーフィを見て、どうぞ、と招き入れた

ついてこようとした聖女は教会の者らしき人間に止められていた


「さすがにまずいです…っ、聖女様」


「なんでよ! アステリ様と一緒に居たいんだから離してよ!」


「あの方たちは精霊王様たちです…!

女神様からの使者を侮辱したとなれば、どんな処罰が降りかかるか……!」


教会の者たちは我らの正体に気づいたらしい

前回、皇后に言った甲斐があったというものか

騒がしい後ろを無視してアステリについていった


「えーと…センテーフィ殿、なんですよね…?」


「えぇ、何か問題が?」


「いえ、いつも黒髪のミヤを見ているもので違和感が…」


センテーフィは我の魔法で人間に、ミヤに変身している

髪の色を変えているものの普段から多くの人間と関わっているのか

医務室へ行く途中の今、二度見したり振り返る人間が多い

ちょうどミヤが出てきてアステリが声をかけた


「ラハニス、と……もしかして、センテーフィさん?」


「久しぶりですね、ミヤ

アシーミ様からの伝言を伝えに来たの

今から良いかしら?」


「でしたら医務室でお待ちいただけますか?

配達だけ済ませてきますので」


我らから声をかけられても態度を変えることは無い

それに与えられた仕事を誠実に行う姿勢も彼女の美徳だろう

アステリとフィトーも居てもらうように言い、戻ってきたミヤから薬草茶をもらいセンテーフィが話を始める


「まずは瘴気浄化に関してお礼を伝えたいって女神様が言ってたわ」


「いえ、まだまだですが…ただ最近は聖女様がお越しになったので控えてます」


「それで良いとおっしゃっていたわ

今の状況なら焦る必要は無いって

むしろミヤがあまり無理をしないようにと伝言を預かってるの」


そう言ってセンテーフィは微笑んだ

センテーフィも少なくともミヤを気に入っているようで安心する


「それでアステリ、と言ったかしら

貴方経由でこれを教会に届けてちょうだい」


そう言ってセンテーフィは一枚の紙を渡した

受け取りながらアステリは怪訝な顔をする

そこには魔法陣が描かれてあるだけだからだ


「この国が禁術という賢明な判断をしていて良かったわね

もし、この先も召喚魔法を使うようであれば、その魔法陣からアシーミ様に連絡がいき災厄が降りかかる…らしいですよ?」


センテーフィは冷たく微笑みながら言った

アステリは眉を寄せ


「それは、関係のない民まで巻き込む、ということですか?」


「…そうならないためにも教会の者には我慢を覚えてもらわないと」


おそらくアシーミ様の声を聞きながらセンテーフィは喋っている

これはアシーミ様が本当にしようとしていることなのだろう

召喚魔法という危険な術を、そう安易と使われては適わないからだ

それが伝わったのかアステリは力強く頷いた


「必ず」


「よろしくお願いしますね?

それから、あの召喚された人間ですが貴方たちが決めた通りにして構わないそうです

今はまだこの世界に馴染んでは居ない状態

精神が成長すれば貴方たちの判断が正しかったと気づくでしょう」


「精神が成長すれば、ということは今はまだ成長過程と見てくださっているんですか?」


「えぇ、この世界の常識をまだ理解していない

自分にとって都合の良いように動いているだけだと

あの人間は自分が主人公だと疑ってない、ともおっしゃってました

何のことか私たちには分かりませんが様子見する、とのことです

ただ、あまりに暴れ回って問題を起こすようなら容赦しない、ともおっしゃってましたけどね」


センテーフィ経由のアシーミ様の言葉を聞いたミヤ達はお互いを見て頷いていた

我はアステリとミヤを交互に見てアステリにだけ聞こえる声量で


「ミヤを傷つけないよう、しっかり守ってくれよ?」


「…もちろん」

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