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雪合戦

「ミヤさん、訓練に参加してみませんか?」


雪が降り続いているある日、医務室に来たカフェティさんが言った

雪遊び兼訓練らしく、この時期にしかやらないものなんだとか


「良いんですか?

邪魔にならないか少し不安なんですが」


「私たちだけで訓練するより、参加していただけるほうが兵士たちも喜ぶと思います

それに寒さの中でも剣を振る訓練にはなるかと」


一体どんな訓練なのかと思いながらルルーディに参加することを伝えカフェティさんについて行った

広場に着くと第一軍の人たちが集まっている


「内容を説明しますね

まず雪で玉を作り、それを投げて当てて相手を倒します」


あれ、雪合戦みたいな説明…


「武器の使用は可能ですが魔法はダメです

あくまで自分の力のみ、ですね

雪で作った壁がありますから、それを駆使してください

それで倒す相手ですが…」


カフェティさんが視線を私から前方に移す

私も見ると、そこにはアステリ


「…もしかしてアステリを倒すんですか?」


そう訊けばカフェティさんは小さく頷いた

若干引くと彼は苦笑いする

回避能力と命中率を上げられるだろうとアステリ自身が考えた訓練らしい

開始の合図が響くと同時にアステリから雪玉が投げられる


「ちょ、軍隊長! 手加減してください!

ミヤさんが居るって言いましたよね⁉︎」


「関係ねぇな」


困惑してるカフェティさんにアステリが投げた雪玉が当たる

容赦ないな、と思っていたら目が合う

ニヤリと意地悪く笑った彼の手には玉が握られていた

やばい、と思い雪壁に隠れる

同時に玉が飛んでくるものの、当たらなくてホッとする

どんどん数が減っていく味方たちを見つめつつ壁から頭だけ出して観察する

アステリは隊士たちからの雪玉を避けながら器用に雪玉を作って投げていた


隙がないな…どうしたら…

…あれ、でも武器は使って良いんだよね

あくまで自分の力でアステリを倒せば良いから…


私は意を決して彼が視線を外した瞬間、壁から出た

それだけで気づいたのかアステリは雪玉を私に向かって投げる

ギリギリだったけど冷静に剣で防いで彼の首目がけ剣を振るった

でもアステリは最小限の動きで避けてニヤリと笑った


「雪玉はやめたのか」


「敵うと思えないから、こっちにする」


喋りながら剣を振るうもののアステリは簡単に避ける

だけど攻撃方法が剣なだけで状況は変わってないな、と悩む

するとアステリは少し残念そうに溜息を吐いた


「倒せって言ったのは俺だが、もっと臨機応変になれよな

ミヤも、あいつらも」


そう言って私の剣を掴むと下から弾き飛ばした

痛みで顔を歪めている間に両手首を片手で掴まれ上に上げられる

背伸びしないといけないくらいで踏ん張れない

掴まれた手は痛いけど悲鳴を上げるほどじゃない


「味方が捕まった場合、敵は何をすると思う

十中八九、捕虜にして戦意を削がせる」


アステリは私をくるりと反転させる


「お前ら全員ボケっとしてんな

ミヤが頑張って敵の前に行ったなら援護するくらいしろ」


アステリにそう言われ隊士たちはハッと気づいたように動き出した

隊士たちは戦いを挑むものの雪玉であっさり倒される

彼は雪玉を避けながら向かって来る隊士の前に私を出して攻撃できないようにする

固まってしまう隊士たちにアステリは容赦なく雪玉をぶつける

このままじゃ全滅だ、と私は力いっぱい後ろ向きに蹴った

それが無事に脛に当たったらしく彼は顔を歪めて手を緩める

その隙に抜け出し彼の腹に蹴りを一発


「…やるな?」


お見舞いできなかった

脚が掴まれると足払いをされて転び、雪玉を当てられる

どうやら負けたらしく隊士たちも次々に倒れていった


「反省、対処できた部分をあげてってみろ」


アステリの一言に隊士たちは真面目に対処法を話し合っていた

そんな話を聞きながら私は温まった身体を冷やすように雪の上に座っていた

しばらくすると反省を活かし第二回戦も行おうと言った

雪で壁を作ったりして準備を始める

私も手伝おうと立ち上がるとアステリに呼び止められた

手を出すように言われ不思議に思いながら出すと手首を見られた


「…痣にはならなそうだな、良かった」


「気にしなくて良いのに」


「一応な……誘ったからよ」


そう言って苦笑いする彼に私は頭を振る

本当に気にしなくて良い、と言えばお礼を言われた


「そういえばアステリが捕虜をとるとは思わなかったよ」


「まぁ…敵としての行動はとらないといけないからな

俺個人としては嫌だけどよ」


「うん、知ってる」


彼が第一軍の隊長になった経緯を前に教えてもらったことがある

魔物と対峙する第一で隊士たちも周りの人たちも含めて被害を最小限に抑えるからなれたんだとか

そんな彼が捕虜なんてとるわけない

もちろん必要ならとるとは思うけど


「あ、アステリも脛大丈夫?」


「全然平気だ」


脚をぷらぷら揺らしながら答えるとアステリは準備を手伝いに行った

私も手伝い、第二回戦を始める

一回戦目の反省を活かして隊士たちのみんなはカフェティさん指示の下、動いていた

私も錯乱目的で走り回りながらアステリを追い詰める

やっと手が出そうだと攻撃をしかけるけど避けられ反撃された

それでも隊士たちは諦めずに何度も向かって行き、何人かアステリに同時に雪玉を当てることができた

さすがだと思うとアステリも嬉しそうに笑っていた

ちなみに、この後すぐ三回戦目をやろうという話になっていた


私はやめておいた

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