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普通の感性

ファが凝縮した魔力をジョッシュはどのように使うのか?


普通ならここで<魔力弾>といった感じで打ち出すのかもしれないが、ジョッシュの使い方はそうではなかった。ファが集めた魔力はあくまで自身の魔術の威力を増幅させるための<アンプ>のような役割だったらしい。


「ふんっ!」


ジョッシュが手を差し出し、気合を込めて空気を掴むかのように指を閉じると、


「ぬっ!?」


ラウルも何かの気配を感じたのか身を捻る。


すると、ラウルがまとっていたローブの一部が捻じ切れるように周囲の空間ごと抉り取られた。


『このガキ……っ!?』


<本物の空間断裂>だった。ラウルが使っていたそれは、<見えない刃>で相手を切り裂くものであって、空間そのものを断裂させるようなものではなかった。


なのに、ジョッシュが、ファの力を借りてとは言え、本当に空間を捻じ切って見せたのだ。


それができるのは、ジョッシュの祖先である勇者を含めてもこれまで数人しかいなかったという。


習得できる者がいないので、そのための魔術そのものも失伝している。


にも拘らず、ジョッシュは自身の才能だけでそれを使ってみせる。


まったくもって『でたらめ』もいいところだろう。


ただし、幸か不幸か、ここまでの魔術については、成長してからもファの協力なしでは使えないが。


それを実現させるための魔力の形成に必要な<素養>が、ジョッシュとファの二人に分かれて発現しているらしい。


ゆえに、ジョッシュも、力尽くで世界を作り変えてしまうまでには至っていない。


ファが協力を拒んだからだ。


それでも、ジョッシュの力だけでも途轍もないものなので、時間さえ掛ければ、協力者さえいれば、世界そのものを改変してしまえるだろう。


途轍もない<犠牲>を出しながらも。


ジョッシュは、


<世界をよりよいもの>


に変えようとしている。それは本当だ。ただし、その<よりよい世界>は、ジョッシュが自らの頭の中に描いたものでしかなく、


『彼の考慮に入っていない者はことごとく死に絶える』


という類のものである。そして、彼の頭には、<始まりの村>にいた少女リティーレのような存在は入っていない。


それどころか、


『必要な犠牲だ』


くらいにしか思っていない。


だから当然、ナニーニやコデットのような存在のことさえ、頭に入っていないだろう。


ゆえに主人公はファリ=ファールと共に彼を止めるべく旅をしているということなのだが、これだけの途方もない力を、こんな幼いうちから使いこなせていたのでは、なるほど<普通の感性>など育ちようもないということなのかもしれない。



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