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躊躇

そのようにして、ナニーニとコデットがゴーディンの相手をしてくれているのに任せ、アリシアは改めてラウルと対峙した。


と言っても、フィクションで緊迫した場面を演出するような<睨み合い>は一瞬でしかない。彼女には場を盛り上げようという意図はない。ただただ、被害が出ないようにいかに迅速にこの状況を終わらせるかしか、頭にはない。


だから、絵的に盛り上がるであろう、魔術の撃ち合いはしない。現在の彼女にできる最大稼動で、効率よく、ウラルを無力化する。


その結果、彼が死ぬことになろうとも。


ただ、本来、戦闘モードを持つ機種以外のロボットは、人間を決して傷付けられないように作られている。ましてや、一般仕様機であるアリシア2234-HHCに人間を傷付けることは、当然できない。


けれど、ラウルは所詮、VRアトラクション内のキャラクターに過ぎず、決して<人間>ではないのだ。ゆえに、傷付けることもできてしまう。


それどころか、もし、<千堂アリシア>としてプレイしているのでなければ、躊躇なく倒せてしまっていただろう。相手は、


『人間ではない』


のだから。


<心>を持つとされている千堂アリシアだからこそ、それが割り切れずに躊躇ってしまうのである。


さりとて、アリシアももう覚悟は決めた。すぐ近くにはいないとはいえ、実は今も、遠巻きに様子を窺っている<野次馬>はいる。となれば、被害が出ないうちに無力化しなければいけない。


だが、そんなアリシアの覚悟とは裏腹に、ラウルは強かった。


魔術師であるにも拘らず、身体能力においても、今のアリシアに決して劣っていない、いや、数値の上では上回っているのだ。


また、アリシアの方は、先のゴーレム戦で剣を失い、新たなそれも手に入れられていないことで、スローイングナイフくらいしか手持ちの武器がなかった。


正直、それよりは徒手空拳の方がまだ威力があるくらいのため、格闘術で挑んだのだが、単純な身体能力で対処されてしまう。


かつて戦った、<火星史上最悪最凶のテロリスト、クグリ>に比べればまだ劣るという実感ではありつつ、その分、アリシア自身の能力も、<戦闘モードを起動した千堂アリシア>には遠く及ばないことで、相対的に力が拮抗してしまうという。


クグリに対して、必ずしも優位とは言えなかったものの互角には戦えた<彼女なりの体術>も、身体能力の不利を埋めるのでやっとの状態だった。


ラウル自身、格闘術の心得はないので、そもそも彼女の変則的な体術に惑わされることがなく、力尽くで対処されてしまうのだ。


普通の人間なら反応が遅れるはずの位置取りをしても、ラウルはそれにさえ追いついたのである。



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