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自身がメイトギアであることを最大限に活かしてコデットを<攻略>したアリシアは、ナニーニのフォローも忘れなかった。
状況的には<姉妹>を育てているようなものだろう。どちらか一方ばかりに注力していては、もう片方が僻んでしまって精神の健全さを欠いてしまうことがある。
それも、メイトギアが蓄えてきた膨大なデータがしっかりと示していた。
それは今後も、さらにメイトギア達が蓄積して、研究に活かされていくだろう。人間がいかに幸せになるかを探り、生まれてきたことを後悔せずに生きるためには何が必要なのかを探っていくのだ。
アリシア達メイトギアはその役に立つことを望んでいた。
そして同時に、今現在、彼女達のフォローを必要としている人間のために働く。
今回はあくまでVRアトラクション内のキャラクターに過ぎないのでさすがに本当の人間相手ほど繊細な対応は求められないものの、それでもアリシアは必要なことはきちんと行った。
行うためにナニーニの振る舞いを確かめる。そのアリシアの見てる前で、
「いい加減にしなさいコデット! 何ですかその態度は! アリシア様に対して不敬です!!」
朝、顔を背けたまま、
「おはよう……」
と挨拶したコデットに、ナニーニの剣幕が。
けれどこれは当然、コデットも反発。「ふん……っ!」とますます不遜な態度に。
ただ、このコデットの反応も、無理からぬことだった。
信頼も信用もしてない相手に頭ごなしに怒鳴られて、素直に態度を改める者がいるだろうか? 自分は、嫌ってる相手からそんな風に言われて、素直に反省できるだろうか?
できないはずである。
ネット上で自分の発言が礼を失したものであった時に、他人から高圧的に諌められて反省できるか? 態度を改めることができるか? そんな事例を見かけることがそうそうあるだろうか?
礼を失した行為をしていたのだからそれを咎められるのは当然のはず。正しいのは非礼を指摘してきた方だ。非礼な真似をした方が反省し、謝罪し、態度を改めるのが、
<人間として正しい振る舞い>
ではないのか?
しかしそれが見られることは滅多にないだろうし、何より、自分自身が素直に態度を改めることもできないのではないのか?
『自分が間違っていました。ごめんなさい』
と、口先だけではなく本当に反省し二度と同じ行いをしないということが、自分にできるのだろうか?
もしそんな人間が大半なら、これほどネット上に罵詈雑言や悪態が氾濫しているわけがないはずである。
にも拘らず、自分にできないことを他人にやらせよう、やって当然、と考えて上手くいく道理はない。
むしろそれが上手くいくと考えるのが無理筋というものではないだろうか?
アリシアはただそれをわきまえているだけなのだ。




