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身元引受人

盗賊の少女<コデット>が仲間に加わったとは言うものの実際にはまだ身元引受の手続きをしていないので、正式ではない。


まずはカンダリに向かう。カンダリは<村>ではあるもののボーマの街との要所に位置することもあり、人の出入りが多いため、それを監視する役人も常駐していた。


村に着くと真っ先に役人詰所に出向き、村の近くで盗賊を拘束していることを告げる。


「なんだと!? それは本当か!?」


応対した役人はアリシアたちの話に血相を変えて、警備の兵士に命じて現場に向かわせる。


「一応、盗賊共を連行したら念の為、確認してもらう。それまでは待ってくれ」


役人に言われて、アリシアは、


「はい。分かりました。それで、待ってる間にこの子、<コデット>の身元引受人として登録をお願いします。これが市民証です」


そう言ってアリシアが懐から出したのは、領主のサインが入った、アリシアの身分を証明するための証書だった。それと同時に、勲章も提示する。


するとそれを見た役人は、


「こ、これは失礼しました! 男爵様! それではただちに……! おい! 書類を用意しろ!!」


慌てて部下に命じ、身元引受人の登録のための書類を用意させた。


一方、後ろで聞いていたナニーニが、


「え!? 男爵様!?」


こちらも慌てた様子で背筋を伸ばす。さらにコデットも、


「マジか…?」


唖然とした様子だった。


けれどアリシアは、


「あはは、成り行き上でもらった形だけの爵位ですよ。領地も城も持ってませんから」


苦笑いで返す。


ファリ=ファールを探す旅の途中、成り行きで、ある王族を狙った陰謀を未然に防ぎ命を救った功績に対する褒賞として男爵の位を授けられたというのがその経緯だった。<主人公>自身は自身を縛るものとしてあまり喜んではいないものの、こういう時には確かに役にも立つので、利用はさせてもらっているという。


その後、兵士達に連行されてきた盗賊達を確認。加えて、コデットがその仲間であったことも告げ、自分が身元引受人として必ず更生させるので、刑の執行を猶予してほしい旨を改めて伝えた。


それに対して役人は、


「男爵様がそうおっしゃるのでしたらお任せします。ですが、これは規則ですので……」


役人はそう言って法衣を着た女性をコデットの前に立たせる。刑の執行を猶予されている者であることを示す<刻印>を施す係官だった。


「はい。分かります。お願いします」


アリシアは敢えて異論を唱えず、コデットも、不満そうな表情はしながらも顔を背けるだけで抵抗はしなかった。


係官の女性は、コデットの前で膝を着いて彼女の足首に触れる。すると、複雑な模様になった帯が二本、コデットの足首に現れた。魔法を用いた刻印だった。


これは、専門の係員でなければ消すことのできない特殊なもので、立派に更生したことが認められれば消してもらえるものの、もし、改めて罪を犯せば即刻絞首刑という厳しいものであった。



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