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とんとん拍子

「おお、勇者アリシア様。ここにおられたのですか」


リティーレと話していると、そこに村長が現れた。


そして、


「もしよろしければそこのリティーレの家は宿屋をやっておりますので、そちらでお休みください。よいな? リティーレ」


と告げる。するとリティーレも、二つ返事で。


「はい! 分かりました」


面倒なことは省いてとんとん拍子で話が進む。


この辺りも、リアル志向のVRアトラクションだと、勇者を泊めることで箔を付けようと目論む宿屋の経営者同士で一悶着があったりするのだが、どうやらそういう部分も、


『メンドクサイ!』


と敬遠される原因になったらしい。


確かに、暇潰しにやるアトラクションで『本編に関係のない人間模様など延々と見せられても……』と考えるのも当然か。


そんなわけでアリシアはリティーレの両親が営む宿屋を拠点とすることになった。


「これはこれは勇者様! よくおいで下さいました」


「むさくるしいところですが、ご満足いただけるように頑張ります!」


リティーレの両親が愛想良く笑顔を浮かべながらアリシアを迎えてくれた。


ただ、


『自分達はあちらの宴には参加せずに、娘だけを寄越したんですね……』


とは、正直、思ってしまう。


しかしその辺りは、リティーレにプレイヤーを出迎えさせる都合上のものなので、あまり深く考えるのも<野暮>というものだろう。


が、リアルな描写を求める層にはそれが<粗>として気になってしまうようだ。


アリシア自身、そう感じてしまう者の気持ちも想像できなくはない。けれど、やはりそこまで気にしていてもとは思わなくもない。


なんてこともありつつ、リティーレに宿で一番の部屋に案内してもらい、腰を落ち着けた。


「なにか御用はありますか?」


そう訊かれたので、


「じゃあ、ファリ=ファールのことで知ってることがあれば教えてください」


さっそく申し出る。


それに対してリティーレは、少し改まった様子で、


「ファリ=ファールさんは、お兄さんを探してるって言ってました。お兄さんのことは分からなかったけど、でも、変装とかしてるかもしれないからってことで、しばらく村でいろんな人から話を聞いてたそうです」


丁寧に応えてくれた。


さらに、


「でも、やっぱりお兄さんのことを知ってる人はいなくて、それで気が付いたらいなくなってたって」


とも。


そこでアリシアは、


「彼女は元気そうでしたか?」


重ねて尋ねた。


それに対して、


「私はあまりお話したことないけど、ちょっとさみしそうだったかな……」


リティーレ自身が寂しそうに応えたのだった。



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