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コンセプト

村を挙げての歓待を受け、ロボットであるアリシアも悪い気はしなかった。


この<ORE-TUEEE!>は、こうやってちやほやしてもらうことそのものを楽しむアトラクションである。次々と降りかかる困難をクリアしていく<達成感>を味わうタイプのそれとはコンセプト自体が異なる。


世間には、<ORE-TUEEE!>に対して、


『ユーザーを甘やかしてダメにするゴミアトラクション』


と揶揄する声が溢れているようだが、それはおかしい。どのようなコンセプトの商品が売られて、消費者がそれらの中からどのような商品を選ぶかは、余人が口を出すべきことではないはずだ。


少なくとも法に反していない限りは。


無論、そこで解釈論によって法の網をかいくぐろうとしているいわゆる<脱法行為>についてはまた別に対処しなければならないだろうが、<ORE-TUEEE!>のコンセプトについては脱法行為でさえない。


にも拘らずそれに口を出す者がいること自体、市場の健全さを保つにはマイナス要因でしかないだろう。


何しろ、<揶揄>や<侮辱>は、<批判>ではないのだから。


『何が違う!?』


と言う者もいるかもしれないが、相手を嘲る意図が込められていればそれはもう<批判>ではない。ただの<侮辱><侮蔑>である。


まあそれは余談なのでさて置くとして、村人達の宴は終わることなく続いていた。


しかしさすがにアリシアとしては胸焼けを感じるほどだったので(ロボットなので実際に胸焼けするわけではないものの『もうお腹一杯』と感じたことは事実である)、中座させてもらった。


実はそれが話を進めるアクションである。


村人の感謝をさらに堪能するもよし、早々に中座(要するにスキップ)してもよかった。その辺りはプレイヤーの好きにすればいい。


そして、夜風に当たるためにアリシアは外に出た。たっぷりと草の匂いを含んだ涼やかな風が、彼女の髪を揺らし頬を撫でる。


まあ、牛が放牧されていたりするので、リアルでならそこに、牛糞の臭いや獣臭なども含まれているはずだが、あくまでVRアトラクションなのでその辺りはオミットされているけれど。


それも脇に置き、アリシアは周囲を見回して、井戸の脇で洗い物をしていたリティーレの姿を見付けた。


「こんばんは。遅くまで大変ですね」


その声に振り向いたリティーレがぱあっと笑顔になる。


「勇者様!」


<勇者>に声を掛けてもらえたことがよほど嬉しかったのだろう。少女は夜目にも分かるくらい、瞳を輝かせてアリシアを見た。


けれどそれがなんだかむずがゆくて、


「勇者様はやめてください。アリシアでいいですよ」


と、やや苦笑いで応えてしまったのだった。



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