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第3話 涙目

 美人将校は俺の体の上に、ICチップ入りのカードを投げつける。

「はい、自分の首輪(ネックロック)は自分で解除してね。じゃないと部屋の外に出られないから」


 今の俺は一応、両手は自由に使え、部屋の中も自由に歩くことが出来るが、俺の首には銀色をした特殊な首輪がつけられている。

 首輪にはレベルが設定してあり、たとえば部屋から出て尋問室という名の拷問室に行く時は、首輪に設定されたレベルいちのロックを解除しなければならない。


 解除せず部屋を出ると首輪が爆発し、俺の頭と胴体との仲は永遠に引き裂かれたままになってしまうのだ。


 もっとも、首輪のロックを囚人に解除させるのは、世界中探してもここだけだろう……。

 例えるなら手錠や牢屋の鍵を囚人に渡して、自分で解錠させるものだからな。


 俺はカードを手に取り、ドアの横の壁に埋め込まれたスキャナーに向かって歩むが、何かに気がつき美人将校に声を掛ける


「おい、囚人の部屋に入る時は、銃を構えるのが規則じゃないのか?」

「え? あ! な、なによ


『ウニチャーム、スイート極薄々スリムタイプ。セクシー下着の貴女にピッタリ! 税抜き¥298』


のくせにえらそうに! ちょっと忘れていただけよ! スパイだから私より我が軍の規則に詳しいぐらいで、えらそうに勝ち誇るんじゃないわよ!」


 一応おまえは将校なんだから、その言いぐさはどうかと思うが……。

 何はともあれ、美人将校は慌てて腰のホルスターから最新式のビームガンを抜き、俺に向かって構える。


 さすが最新鋭の科学を誇るN国だ。

 ガキの頃、N国の科学はSF映画よりも進んでいると聞いたことがあるが、スパイになって初めて実感した。


 そのビームガンの威力も、出来れば俺以外の目標で拝みたいものだ。

 もっとも、武器も兵器もどんなに最新鋭であろうと、結局、使うのは人間なんだが……。


「……ちなみに、安全装置は外してあるのか?」

 美人将校はむっとした顔で、トリガーのそばにあるレバーを上げる……が、


「え!? なにこれ!? いきなり赤いランプがチカチカ点滅してる! いやだ爆発するのぉ~!? ちょっとぉ~何とかしてよぉ~!」


 今度は、アイスクリームを地面に落とした少女のように涙目になり、俺に向かって助けを求めてくる。


「赤いランプの点滅はバッテリーが消耗しているシグナルだ。昨夜、


『ウニチャーム、スイート極薄々スリムタイプ。セクシー下着の貴女にピッタリ! 税抜き¥298』


に向かって、さんざん愚痴を吐き出したあと、気晴らしに射撃場でぶっ放してくるって言ってただろ? あれから充電したのか?」


 はっ! と気がつくが、再びむっとした顔で睨みつけ、ホルスターから取り出した予備のバッテリーパックに付け替える。


 まぁ、潜入する国の武器の事情に詳しいのはスパイのたしなみだ。いざとなったら敵の武器を奪って逃げなければならないからな。

 気にしないでくれ、この程度のやりとり、朝の体操みたいなものだ。

 

 ……全く、いつになったら俺は拷問されるんだ?

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