陽射しの下、君は。
眩しい。何だか良い匂いもするし。天国にでも運ばれたかな?
ザザッ。
あ、なんかチクチクする。天国じゃないっぽい。
そっと目を開けると、芝生の上にいた。辺りをよく見ると、噴水や花壇らしき風景があり、ここが公園らしい事が解った。
とりあえず、ケガはしていないけれど…混乱を通り越して、ぼうっとする。どうしたもんだか。良い天気だし、昼寝でもしようか。
「…〜日に、家に戻る事になりました。」
誰か来る。慌てて、茂みの中に隠れる。声の主らしき女性は、男性とゆっくり歩きながら、うつむき加減に何か話している。二人とも学生らしい格好…
「え?」
あれは、写真の中に居た彼女。
若かりし頃の、祖母だ。そんなまさか。男性の方は、祖父とは似ても似つかない。誰だ?
気付かれないように、彼女をじぃっと見る。何度見ても…やはり女学生時代の祖母だ。まだあどけなさの残る祖母を目の前にするというのは、この上無く妙なもんだ。
「父に、見合いをするよう言われました。恐らく、そのまま結婚させるつもりでしょう。」
梅の花の下、どこか重く呟くようにそう言った。確かに、祖父とは見合い結婚だったがこれは…
「せっかく、看護婦になる為の入学試験も通ったのに…やっと、自分の生き方を見付けたと思えたのに。何より、貴方と離れなければならないなんて…」
「泣くもんじゃ無いよ。何も、君の命を奪われるわけではないんだ。」
男性が、目を潤ませた彼女に穏やかに話し掛ける。
「君は、何処にいても唯一の君なんだ。どんな環境でも仕事でも、微笑む事を忘れなければ君らしく生きていける。…微笑んで生きて欲しいんだ。これは、僕のわがままな願いだ。」
その人は、静かに淋しげな笑みをたたえながら語り続ける。
「ただ、時々でいい。便りをよこして欲しいんだ。君の書く字も文章も、君の温かみがよく出ていて、読むとほっとする。勿論、無理にとは言わないよ。」
「ええ、必ず書きます。私も貴方の文を読むと、とても穏やかで清々しい気持ちになれますから。」
「…この花。」
「え?」
「梅の花で押し花でも作って、手紙に入れるよ。」
「じゃあ、互いに交換しましょうね。」
若く、想い合う二人の会話は…言葉少なに、でもどこか力強く終わった。
そして。
「わっっっ、また、この風!?」
小さな竜巻は、容赦無く舞い上げてくれた。




