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第2話 夜の静寂の元で。

人々が寝静まり、街が静寂に包まれる頃。

街が一望できるその場所に佇む1つの影があった。


「…ーー。今のところ問題は無さそうだけど。それでも気を抜く訳にはいかないかな…。」


そしてその姿はその場所から金色の長い髪をなびかせながら飛び去る。そこは相当の高さがあった筈だが、そんなことはお構い無しに降りていく。


普通の人間であれば間違いなく怪我をしているところを意図も簡単にこなすのは美しい金髪の髪をもつ紫色の瞳の少女。あの、昼間に城に居た少女-ルクナ・ファンファリートである。


ルクナはそのまま地面に降りると小走りで街を走り抜けていく。そして気になる箇所があるたびに止まっては様子をみる。 その殆どが他愛もないことだ。高いところから降りられなくなった猫を下ろしたり、壊れてかけている建物をチェックしたり。そこまで真剣にしなくてもいいことをひたすらやっていく。


そうして、どれだけの時間がたっただろう。ふいにどこからか足音が聞こえてきた。 それは下手をすれば気付かないほどの静かな足音。だが、ルクナはその音を正確に捉える。 その足音は…ゆっくりとこちらに近づいて来ていた。


「今日も精がでるねぇ守護者さん。」


静かに現れたのは背の高い、がたいのいい男。

この辺りの男たちのリーダー的存在のやつだ。

もちろん、町長なんて立場でも何でもなく、あらくれ者の集まりである。


「何か文句でもありますか。オレガルさん?

用が無いのであれば邪魔をしないで下さい。」


そういって通りすぎようとする。だが。


「まあそんなこというなって。 なんもなきゃお前さんに話しかけたりしねぇよ。今みたいに睨み付けられるしな。」


そう言う相手をさらにきつく睨み付ける。そしてその目線を変えないまま問いかける。


「…用件はなんですか。 どうでもいいことであるなら私は失礼します。」

「へっ。相変わらずきっついねぇ。まあいいさ、用件っつーのは呑み会へのお誘いさ。普段?頑張っているお前さんへのありがてぇー誘いだぜ?どうだ、くるだろ?」

「用件はそれだけですか。お断り致します。私はそのようなことをしている暇は無いのです。」

「つれないねぇ…。だが、本当にこの誘いを断っていいのかねぇ?」

「どういうことですか。」

「はは。なんだろうねぇ?まあ気になるならこいや。お前さんの仕事についてだ。役立つことだけは保証するぜ?」

「…考えておきるだけ、考えておきます。」

「来ることを期待しておくぜ。 呑み会は明日22時から、場所は北北東の店だ。じゃあな。」


それだけ告げると、男は先程現れた道とは反対の薄暗い道を歩いていく。

焦げ茶色の髪をした男の姿はやがて見えなくなり、闇に消えた。


(…呑み会か…。)


どうせ彼らのことだ、お酒を呑まないということは無いだろう。そこは嘘ではないはずだ。だが、なぜその呑み会に私を誘うのかが、分からない。仕事のこと、とは彼は言ったが、曖昧でさっぱり意味が分からない。


「いってみない限りわからないか。」


正直、行く気はしない。だが、あんな事を言われて行かないのもどうかと思う。何かあってからでは…遅い。

それは、私の使命にも反する。


「私はこの使命を果たさなければならないのだから。」


(それは変えることは出来ない。)


それだけ呟いたあと彼女は先程と同じように街をみて回っていった。


・・・・・・・・・・・


この世界は自然の恵みを受けて形成されている。

過去、この世界が作り出されたとき世界は真っ暗であった。昼も夜も…当然、朝もなく。人々は時間感覚のないまま真っ暗な時を過ごしていた。


あるとき事件が起こった。真っ暗な世界に突然多くの異形の生物、いわゆる魔物というものが降ってきたのである。


多くの人が死に、怪我人も数えきれないほど出た。

そんな状況を変えたのは1つの光だった。


その光は闇に輝く純白。 そんな光が数多に降り注ぐ。

いくつもいくつもいくつも。止めどなく闇に降り注ぐ。やがてその光は闇を覆い隠し…


そして。


その場のすべてのものを巻き込み、爆発した。


次の瞬間、真っ白の光は3つの色に分かれる。

一つ目は全てを目映く照らすオレンジの光。

二つ目は秘かに集まる小さな白っぽい光。

三つ目は静かに輝く黄色の光。


それぞれの光は大きく広がり魔物を包み込む。

包み込まれた魔物たちは3つの光を纏い、空高く上がっていく。

オレンジの光は左へ。

白の光は右へ。

黄色の光は真上に。


それぞれの光がこれ以上ないほどに高くあがった時。

光の中に黒く表れていた魔物の姿がパッときえる。


まるで何事もなかったかのように。



まるで夢をみていたように。


でも夢ではないとそう思わざるを得ない事があった。


この真っ暗だった世界に3色の光が芽生えたこと。

魔物を自らの光に閉じ込めた後、その光は漠然としたものから形を形成した。


オレンジ色の光は人々を照らす太陽に。

白の光は空を彩る星に。

黄色の光は人々を見守る月に。



それは暗闇に過ごしていた人々に時を与え、季節を与えた。


世界は本当の意味で今一度、生まれたのである。


それがこの世界の始まり。





そしてこの同時刻。人々が驚きに包まれているとき。

少し外れた所でも同色の光が静かに光を放っていた。

3人の人の元で…。


これが、先の世界での守護者ーガーディアンーの始まり。


彼らは何の為に生まれたのか。それはまだ先の話…。




















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