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勇者と姫のそれから  作者: べるこさん
第1章 異世界編
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004

さて、今度は着替えか。


衣裳部屋に連れて行かれると 10着ほど 


衣装が掛けられており、シオンさんに この中から選べと言われた。


どれも落ち着いた感じで 俺の趣味に合っている。


全てマリア様が 選んだらしい。


俺も年頃の男の子だ。元の世界では お洒落をしてみたいと思い


雑誌に載っていた 服装をそのまま 買ってみたことがある。


自室でその服を着て 鏡を見ると なんだか急に 気恥ずかしくなり


結局 その服を着て外に出ることはなかった。


こちらの世界でも華美な服装は してこなかった。


それを姫様は 知っていたのだ。


今回 俺の選んだ服は ゆったりとしたズボンと白の肌着 


この肌着は てかりがあり シルバーにも見える。


肌触りはシルクのようだった。


と言いたいが 俺はシルクの肌着など 持ってないし 触ったこともない


単なる想像だ・・・・。


お尻まである 前併せの上着を 帯で占める。


選んだまでは 良かった。ここから 予想外の展開。


シオンさんを含む 侍女3人が お手伝いしますと 俺の服を脱がせ


選んだ服を着せてくれた。 恥ずかしすぎて 顔を真っ赤にしてると


シオンさんに クスクスと 笑われた。


みな、勇者様 勇者様と 余所余所しいので シオンさんとは


打ち解けたような気がして 少しホッとした。




祝宴が始まり、タラクシャ王が 挨拶をしている。


俺は呼ばれたら 出て行けばいいらしい。なんだか、ドキドキがとまらない。


挨拶も終わり 王の掛け声とともに 大きな扉が開かれ


その瞬間 魔法での攻撃かと思うほどの 歓声と拍手に襲われた。


会場の中へ進んでいくとそれはさらに大きくなり


王が何か言ってるようだが まったく聞こえい。


王は苦笑いをうけべているが 王 自身も観客と同じ気持ちなので


それ以上何も言わなかった。


祝宴は俺が予想した通りだった。それでも 終盤になり 落ち着いてくる。


俺は 少し酔ったようなので 外の風に当たりに行くことにした。


ちなみにだが 俺がこの世界に召還されたのは 17歳のときで、


すでに3年経っているので 日本の法律的にも 飲酒は問題ない。


まあ、旅の途中 あちらこちらで 酒を飲まされたので 実質 未成年の


うちに 飲んでたことになるが そもそも この世界では 周りから


大人と認められれば 飲酒してよいそうだ。


この世界の酒は 醸造だか 蒸留だか 詳しくはわからないが、


まだまだ、技術が未熟らしく アルコール度数は かなり低いみたいだ。


正月に 親戚の叔父さんから 熱燗を勧められ お猪口を口元に


持って行っただけで むせ返り 飲んだら 食道から胃まで 熱くなったのを


覚えているが ここの酒で そんな経験はない。ほとんど ジュースのようだ。


そう言えば、俺が元の世界で よく読んでた本なんかでは


ここで、日本の酒造技術を披露し 異世界人に感心されるのだが


何故 異世界に転移した主人公たちは あんなにも 博識なのか疑問に思う。


俺なんか化学や物理の授業の内容なんか 言われたら思い出す程度で


自分で捻り出すほどの 記憶はない・・・。


情けない・・・・。


そんな自己嫌悪をしていると 近くにヨーヒムさんの姿が見えたので


中庭に涼みに行く許可を取った。


王宮の中庭 そこは 楽園のような場所だ。美しい様々な木々や花々に


囲まれ それらは よく手入れされている。


この中庭を見ただけでも この国が魔王軍の被害にあってないかが窺い知れる。


会場を見てもそうだ。大きなシャンデリアや壁には多くの


魔光灯が昼間のように会場中を照らしている。


この世界は 魔法の文明が進んでいる。魔法の道具も色々発明され


進化してきた。魔光灯もその一つで 簡単に言えば ランプだ。


どこの家庭にでもある道具で この世界の夜も意外に明るかったりする。


構造もいたって簡単で、ランプのガラス部分や内部などに 光を発する


術式を染み込ませてあったり 魔法陣があったりし 底にセットされた 


魔力を蓄えることのできる素材から 魔力を供給し 光らせるというものだ。


一般の家庭では 魔石と呼ばれる 安価な素材が使われている。


魔石は 魔力を蓄える量も耐久力も小さい。魔光灯なら 1日持たないし、続けて使えば


数ヶ月で壊れる。


さすがに 王城では 魔光灯の数も数百 その他の魔法道具も合わせれば


かなりの数になり それらに 魔力を補充したり 交換していては


効率が悪いため オリハルコンやミスリルのような 莫大な魔力を貯蔵できる


素材を 1箇所に設置し そこから配管を使って それぞれの道具へ


魔力を補充しているのだ。


しかし 魔王軍との戦争が続き 他国では そのような貴重な素材も 武器や防具などに


加工されていった。


今 世界でも 夜にこれだけの明かりを灯せるのは この国くらいなのだ。


俺は 中庭の噴水に 腰掛け王城の明かりを眺めながらそんなことを思っていた。


「ナオキ様」


誰かに呼ばれた。


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