016
引き続き マリアです。
その後の話をもう少ししたいと思います。
ナオキ様が、立ち直られ 何事にも積極的になり 私もいろいろなことを
教えて差し上げました。
「では、まず この世界のことについて 話しますね」
「うん。よろしく」
「今居る国は タラクシャといいます。北の大陸、その北側の多くを領土としています。
大陸東側は ダリーンという国が 治めています。タラクシャとダリーンは 国力 領土とも 世界的に見ても 大きく 恥ずかしながら 大国などと呼ばれています。
大陸 南側は ソリアナがあり 領土は タラクシャの半分にも満たないのですが
大陸間交易により 国力は タラクシャ ダリーンと肩を並べています。
大陸西側は 中小の国々があり 詳しくは 後ほど 地図をお見せしますね。
何か ご不明な点は ありますか?」
「そーだね。世界とか大陸に名前はないの?後 大陸間交易があるってことは
他にも 大陸があるんだよね?」
「名前ですね・・・。えー お恥ずかしい話なのですが 世界にも 大陸にも
名前は ありません」
「別に 恥ずかしい話じゃないと思うけど」
「そのですね・・・昔 大陸間交易が盛んになりだした頃 世界や 大陸に
共通の名前を付けようと 国々の王が集まり 会議が開かれたそうなんですが
それぞれの国に それぞれの呼び名があって それらも その国々の歴史なんかが
関係していたりして どこの国も 折れなかったのですよ。
それで・・・戦争に・・・。まあ こんな ばかげた戦争は すぐに終結したのですが
結局 名前は付けずに 今まで通りということになりました」
「ははは・・・それはなんとも」
「ただ、それでも商人達は 不便ですので 女神の島 アプロ島を世界の中心として
北にある大陸を 『北の大陸』と呼び 方角に合わせ『東の大陸』『西の大陸』『南の大陸』
と 呼んでいます。今では 国家もその呼び名を 使うようになっていますね」
「なるほど」
「南の大陸以外は 人間が支配していますが 南の大陸は 魔族が支配しています」
「それじゃあ 俺の最終目的地は 南の大陸になるんだね」
「そうなりますね」
「ところで、俺の世界の常識が そのまま当てはまれば 北の大陸と 南の大陸って
実は 近かったりしないの?」
「学者が言うには おそらくは 近いらしいです。ただ、確かめようがないので」
「船は?」
「海の潮の流れが 非常に激しくて 船で北側に出ることができないのです。
と言いますか 船で外洋に出れるのは ソリアナからしか無理なのです。
季節や 気候などで 潮の位置が変わったりして 我が国の漁師でも
年に数件 潮に捕まり 遭難すと言う事故があるそうです」
「後 女神の島って?」
「私達が信仰する 女神アプロ様の神殿がある島です。不思議と言うか 当然と言いますか どうも 魔族もアプロ様を信仰してるようなのです」
「魔族も・・・と言うか 俺 まだ、魔族を見たことがないから なんとも だけど」
「アプロ島で魔族と出会っても 襲ってこないとか それどころか 島への出入りする船すら 襲ってこないそうです」
「へー 同じ神を信仰してるなら 分かり合えればいいのにね」
「そうですね・・・・」
「後は 歴史の話を少しして 今日は 終わりましょうか」
「了解」
「初めて 魔王が歴史上に 現れたのは 5000年以上前です。ただ、その頃の文献は
僅かしか残っていませんので 詳しいことはわからないのですが
どうも 襲われたのは 今で言う この北の大陸のみのようでした」
「ん?でも 魔族は 南の大陸に 居るんでしょ?」
「その頃 南の大陸は 魔族が治めていたわけでも なさそうなのです。魔物自体は
どこの大陸にも居ますし、魔物が どうやって生まれ育つのかは 今でも解明されていません。北の大陸に現れた魔王は 大陸に居た魔物を従えて 暴れまわったようです」
「なるほど」
「魔王が 3度目の復活した頃から 他の大陸の歴史にも 姿を現すようになりました。
おそらく 魔王は 復活を繰り返すたびに 強くなっていってるのではないかと
考えられています」
「えっ!? ってことは 今の魔王って 相当 強くなってるんじゃ?」
「はい。このままだと 後 数年で 人類は滅亡すると 思われます」
「・・・・やけに 冷静だね」
「はいっ! だって ナオキ様が いらっしゃいますから」
「は、はははは・・・・」
なんだか ナオキ様は 引きつった 笑顔を浮かべていました。
私の座学と同時に 騎士団長のマキシムが 戦闘訓練を行っていました。
マキシム曰く 乾いた土が 水を吸い込むかのごとく 教えたことを 吸収していった
そうです。それは 私も同感で、さすがは 勇者様と思ったものです。
マキシムが 自身が数年掛けて会得した技を数日で覚え 更に数日で
手も足も出なくなってしまったナオキ様に対し
悔しい思いをしていたようです。
負けず嫌いなのはさすがは 殿方といったところでしょうか。
ですが、自分も もっと精進し強くなり ナオキ様が魔王を
倒すまで 国を守り抜くのだと 言うあたりは
頼れる騎士団長です。
まあ そんなこんなで 世界でいろいろ学び 吸収して行ったナオキ様は
ついには 魔王を倒したのです。
しかし ナオキ様は 魔王との決戦については
頑なに お話くださいません。
いったい 魔王との決戦において 何があったのでしょうか・・・。
城に戻られたナオキ様は ほんの 時折ではありますが
とても辛そうで 思い悩んでいるようです。
侍女の話によれば これも たまに ということではありますが
お休みのときに 魘されていたりするそうです。
しかも 私達が 近くずくと そのような素振りも見せず
いつもの 優しい表情になられるのが
余計に 痛々しく思うのです。
できることなら せめて・・・せめて 私にだけでも
魔王との決戦や お悩みについて
打ち明けていただければ・・・・。
お役には立てないかもしれない。
でも ほんの僅かでも お支えすることくらいは・・・。
私も もっと強くならなければ
ナオキ様のお力になれるくらい
強くならなくては
そう 決意する マリアだった。




