第1章 プロローグ ……で逢いましょう①
始めまして。群青ひらと申します。
初めてなろうに作品を載せました。
ゆっくりお付き合いいただければ嬉しいです。
ヨロヨロと危なっかしい足取りで、駐車場に1台のコンパクトカーが入ってきた。
吹き付ける雪が壁を作る駐車場でその車は、どこに停めたものか、と考えているかのように進んでは止まり、ちょっと進んでは止まり、を繰り返していた。その様子は、さながら迷子のようであった。
しばらくして、やっと決心がついたのか、駐車場の隅にその車は止まった。
ガチャリ。続いてゴムが剝がれるようなバリ、と言う音がした。なかなか開かないドアを開けようとしているのか、押したり引いたりドアは小刻みに動いていた。
ドアの隙間が少しずつ大きくなってくると最後に、バン、と蹴りだすように勢いよくドアが開いた。
「やっと開いた。一時間半、後部座席に座っているのは楽じゃないよ」
ふぅ。やれやれという顔をしながら色とりどりに染めた髪の長い男たちが下りてきた。
みな、革ジャンに革パンツと言う出で立ちである。その中でも筋肉が目立つ髪の黄色い男――空河が両手を上にあげて伸びをした。その途端、顔に冷たい風が吹き付けてきた。思わず伸ばした体を縮めた。
「だって、カーナビだともっと早くに着くって言うから……」
と運転席から赤い髪のすべっタローが文句言いながら降りてきた。足を地面につけようとした瞬間、ツルっ!滑りかけて、慌てて運転席のドアにしがみついた。
「いやいや、冬の竜飛漁港なんて、一時間半で着けば奇跡だよ。普通ならその倍はかかるね」
空河は言い返した。
「いや、確かに、カズヤは青森らしい場所でMVの撮影や素材撮りをしようって言ってたけどさ。さすがに竜飛漁港は……なかなか、攻めすぎてないか」
と今度は髪をオレンジに染めた男――大河が言う。
「ここを選んだ理由を教えてほしいな」
大河は不満そうな顔をぐいっとすべっタローに近づけた。近い近い。すべっタローはえぇ……と言いながら、パソコンからプリントアウトしたらしいA4用紙をごそごそとポケットから取り出した。
その紙には、白い雲が浮かぶ、吸い込まれそうな青い空と、白い波しぶきを上げる穏やかな海が写っていた。すべっタローはどうだ、と言わんばかりの笑顔を見せた。
「素敵だろ。これ」
その写真を見た大河と空河は頭を抱えた……。夏の写真だろう。これは。
空を見上げれば、幾重にもグレーに染まった雲が重なり、海は荒々しく岸壁に波を打ち付けている。イメージ通りに、波打ち際に行こうものならあっという間にびしょぬれになってしまう。
「これは夏の写真だろう!」
大河は言った。何年青森で暮らしているんだ……竜飛漁港だけユートピアだと思ったのか?きょとん、としているすべっタローの顔を見て、その後が続けることができなくなってしまった。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
次話も静かに続きます。




