第十九話 護民官フロロ/フランス征服
フロロがパリに立て篭もって強靭な塔を作り、納屋の中には備蓄の食べ物を詰め込んでいる。その事実はすぐにアーサーの知るところとなった。
アーサーは速やかに軍隊を引き連れてパリへとやってきた。
見れば、報告にあった通りパリの外壁は補強され、とても簡単に落とせるようには見えない。そこでアーサーは、無理に門を破壊してパリを攻め落とそうとはせず、まずはその場に陣を張り、どっかと腰を下ろした。
しかし、聡明なアーサー王である。単にパリの街を包囲するだけで簡単に攻略できるとは考えてはいない。
彼は布陣したパリ郊外にて監視の目を強めた。パリの門へと続く街道はもちろん、パリ市内へと流れるセーヌ川を往く船さえも止めて、食料を街の中へ届けられないようにしたのだ。
パリ市民は素晴らしく戦ったといえるだろう。これだけの状況で、一ヶ月もアーサーの包囲戦をしのいでのけたのだ。
それでも、一ヶ月も補給が断たれたままでは街がもたないのは当然のことである。
なにしろ、パリの壁の中には、パリ市民のみならずパリの周辺に住んでいたものたちまですべて掻き集められ、ひしめいているのだ。とにもかくにも、食料が足りなかった。
すべての食料や物資は街を守る軍隊によって片っ端から買い占められ一箇所に集められたが、あっという間にそれも消費され、なくなってしまった。こうなったら待っている運命は――飢餓である。
食料はほとんどなくなったが、満たすべき胃袋は大量にあるのだ。もしも飢えた女や子供たちが、フロロの相談役に訴えることが出来るとしたら、それはたった一つ。街の鍵をアーサー王に提供することに他ならなかった。
飢えで次々に市民が死んでいく中、ついに不満の声が湧き上がった。
「高慢ちきめ!」飢えで死ぬくらいならばと、市民の訴えはフロロに対する罵りの言葉になっていった。
「我らが護民官フロロよ! いったい、どうするつもりなのだ。アーサー王は今や、フランス中で歓迎されているというのに。どうして彼の手による平和を拒む必要があるというのだ!」
それが、飢えた人々の偽らざる心であった。
罵りの言葉の中で、フロロは飢えのために痩せ細ってしまったパリ市民の姿を眺めていた。
すでに餓死したものも多く、他の市民も限界に達している。このままでは、彼らが勝手に門を開けてしまって、パリをアーサーに明け渡してしまうのも時間の問題だろう。
フロロは悟った。このままでは、すべてが最悪の結末を迎えることを。そして、守るべき市民に飢えによる死を味あわせるくらいであれば、むしろ、自分一人が命の危険に晒されたほうがより良いと。
聞けば、アーサー王は礼儀正しく、決して約束を違えたりしないという。
彼は、急いで包囲しているアーサー軍にメッセージを預けた使者を送った。とある島に来てほしいと。そこで己の身体をもって一対一の決闘を行い、それによって決着をつけようと。
相手を倒して一騎打ちを生き残ったものが、この王国を自分のものとして、フランス全土を報酬として受け取るのだ。そうすれば、土地はこれ以上荒らされることもなく、平和を望む人々が死ぬこともない。
アーサー王は使者を通して伝えられたフロロの言葉に感銘を受けた。民を思う彼のメッセージは、アーサーの心に偉大に響いたのだ。
彼はフロロが望みに承諾した。市民や部下をむやみに巻き込むことなく、二つの軍隊の隊長のみで決着をつけようではないかと。
使者からはフロロの篭手が、アーサーからは彼の篭手が渡され、お互いに交換された。
パリ市民のために、そして包囲しているブリテン人のために、契約の証として人質が交換された。
翌朝、決闘の場として選ばれた島に武具に身を包んだ二人の騎士が並び、堂々たる姿で一騎打ちの場へと踏み入れたとき、堤には大勢の人々が溢れかえり大騒ぎになっていた。
更に、街のすべての住民が、老若男女を問わず家から出てきて、島が見渡せる場所へ登っていたのだ。彼らはすべて、壁という壁の上に、家という家の屋根によじ登っていた。
彼らは熱心に神の名を叫び、キリストの名において王国を守ってくれるようにと、そして、アーサーが持ち込んだ戦乱から守ってもらえるようにと懇願していた。
フロロが栄誉ある王として、フランスの地の統治権を神に授けられるように、そうした神の審判が下されるようにと、一心不乱に祈るでのあった。
アーサーとフロロはお互いの姿を見やりながら、それぞれの鎧の紐を固く引き締め、そして軍馬へと跨った。
軍馬もまた戦いの予感に興奮していななき、やもすれば血気盛んに突撃してしまいそうなほどに昂ぶっている。それを馬銜と手綱で抑え込みつつ、これから始まる戦いへと意識を集中していた。
アーサーが馬乗で聖母マリアの描かれた盾を高々と掲げ、反対の腕で槍をぶんぶんと振り回してみせると、フロロも応じて同じ作法で戦いへの意気込みを見せる。
見守るものたちには、いったいどちらの騎士がより強いのか、どちらが勝者となるのか、――それこそ、どれほど注意深く見たとしても――見極めることは難しかった。
それほどに双方ともが立派な君主であり、正真正銘、誰もが認める勇敢な騎士だったのだ。
こうしてすべての準備が整ったとき、アーサーとフロロは離れた場所に馬を進め、対峙した。
睨み合ったのは、わずかな間である。先に拍車をかけたのはどちらだろうか。二人の騎士はほとんど時を同じくして握った手綱を解放し、馬の猛りに身を預けた。盾を胸の前に掲げ、馬の鞍に据え付けられた架台に槍を乗せて水平に構え、その先端を相手に向けて突進した。
見るものが息を呑むほどの獰猛さをもって、二人の騎士は激突した。
――この瞬間、何が起きたのか、いかなる理由があって彼の槍が逸れたのか、私には上手く伝えることが出来ない。しかし、ともかく、フロロの槍はアーサーの身体を外し、攻撃に失敗したのだ。そして、アーサーの槍は、フロロの掲げている盾の中心をまともに捉えた。完璧な一撃だった――
フロロの身体は、トネリコで出来た槍の柄の長さの分だけ突き飛ばされ、馬の尻の更に向こう側へと転落した。アーサーは素早く槍を手放し、エクスカリバーを引き抜いた。
「フロロよ! この戦いの終わりは見えたぞ!」
だが、馬から突き落とされながらも、フロロはまだ勝負を捨ててはいなかった。
ふらつく脚を叱咤し、地面を踏んで立ち上がったのだ。
そこに転がっていた自分の槍を素早く手に取ると、煌めく剣を振りかざしながら迫ってくるアーサーの前に、しっかりと構えた。
エクスカリバーの切っ先が届くよりも前に、フロロの構えた槍の真ん中にアーサーの馬は飛び込んでしまった。そのまま、馬の身体には深々と槍が突き立ってしまったのだ。
一撃で馬は絶命し、馬上のアーサーももんどり打って地面へと転がり落ちてしまった。
この光景を見たブリテン人は、天を仰いで嘆きの声を上げた。アーサーの突進の凄まじさは、そのままアーサーの転倒の激しさへと転じてしまったのだ。よもや、かの王が生きているとは思えなかった。
ブリテン人は大声で泣き叫び、気がついた時には武器を手にとっていた。こうなったら一騎打ちの約束など守っていられる状況ではないと思ったのだ。
大勢のブリテン人が、川を渡って島になだれ込もうとした。自分たちの偉大な王を殺したフロロを八つ裂きにするために。
しかし、
「手を出してはならぬ!」
ブリテン人の耳に、アーサーの声が響き渡った。
「誇り高きブリテン人よ! 一騎打ちの約束を破ってはならぬ! 私を助けるためであろうとも、誰一人としてそこを動いてはいけない!」
叫びながら、土煙の中に立ち上がるアーサー。見事に自分を落馬させたフロロに対し、相応の代償を支払わせるべく、光り輝くエクスカリバーをしっかりと握りしめた。
大きく息を吐きだすと、盾を掲げ、剣を振り上げてフロロに襲いかかった。
フロロもまた、比べるものがいないほどに頑強で逞しい騎士である。すさまじい怒りをもって剣で打ちかかってくるアーサーを前にしても、微塵も臆することなく、一歩も引かない。
それどころか、打ちかかってきたアーサーの剣を躱し、逆に自らの剣で反撃に転じ、それはアーサーの額を捉えたのだ。
フロロの強さは尋常ではなく、ほとんど人間離れしていた。
彼の振るう剣は非常に大きく、鋭く、そして彼の腕力のすべてが存分に剣に乗せられ、その一撃を持ってアーサーの額を打ったのだ。
アーサーの黄金の兜が無残にひしゃげ、内側を守る鎖帷子の頭巾までもが布のごとく切り裂かれた。アーサーの額から鮮血がほとばしり、血が流れ落ちる。だが、辛うじてアーサーの頭蓋にまでは届かなかった。
アーサーは、額を走った苦しみをともなう熱と、滴り落ちる自らの血を見たことで、はじめて自分が額を打たれたことに気がついた。瞬間、彼の頭のなかに邪悪さを纏うほどに猛烈な怒りが沸き上がってきた。額の傷の報復をすること以外、何も考えられないほどに昂った。
彼はよりいっそうの力を込めて、フロロへと剣を押し込んだ。
一方のフロロは、渾身の一撃を放った直後で、動きが鈍っている。両手で高々と掲げたエクスカリバーが陽光を跳ね返し、きらめいた。次の瞬間、アーサーはフロロの首を切り落とさんばかりの勢いを込めて、全力で打ち込んでいた。
兜も鎖帷子も、どれほどの鎧職人の手によるものであろうとも、この一撃を防ぎきることなど出来はしないだろう。
打ったのは、アーサーが先ほど打たれたのと同じフロロの額である。
その額から、鮮血が吹き上がった。いや、鮮血だけではない、頭蓋の中身の脳漿までもが弾け飛んでいた。
フロロはそのままゆっくりと膝をつき、金属製の具足が地面に落ちてガチリと音を立てた。そのまま正面に倒れこんだフロロは、間もなく息を引き取り、そして沈黙が訪れた。
アーサーが全力を込めて振るったエクスカリバー、その痛烈な刃がフロロの頭蓋を割るのを見た時、パリの市街から、そして島を取り巻く川の堤から、凄まじい歓声と叫び声が轟いた。
アーサーの仲間たちの喜びたるや、誰にも推し量れるものではあるまい。そして同じように、フロロを失ったパリの人々の悲しみも量り知れるものではなく、かの護民官のために彼らは泣き叫んだ。
だが、嘆き悲しみながらも、パリ市民は街の門へと走り、集まって行った。
もとより、あくまでもアーサーと事を構えようとしていたのはフロロだけだったのだ。多くのパリの市民は出来ることならば戦いを避け、アーサーの庇護に収まっても良いと考えていたのだ。
この上、神の加護がアーサーの上にもたらされたとあれば、かの名高いブリテン王を歓迎しない理由など、どこにもない。
彼らは門を大きく開け放ち、主だったるものは勢揃いしてアーサー王の軍勢を迎え入れたのだった。
アーサー王も、こうして歓迎される以上、パリを攻撃する理由は欠片もない。フランス人が忠誠を近い、臣下となることを望んでいることを知ったアーサーは、軍隊がフランスに居る間、平和に過ごすことが出来るようにとフランス人の人質を受け取り、そして彼らの忠誠を受け入れたのだった。
それから幾日かの間、アーサーはパリ市内に逗留し、その間にアーサーの権力を維持するための都市長官を任命した。
こうして、パリでの戦いは幕を閉じたのである。
パリが落ちた以上、もはやフランス全土を手中に収めたも同然である。だが、ローマの権力を維持するために送り込まれたものは、フロロ以外にもいるのだ。彼らを降伏させるか、さもなくば打ち倒すことでフランスは名実ともにアーサーのものとなる。
市民が落ち着きを取り戻し、街に静けさが戻ってきたのち、アーサー王は自らの軍隊を二つに分けた。
これらの二つの軍隊のうちの一方に、アーサーは甥のホーエルを隊長として任命した。
もしもこの仕事が彼の手に余るのでない限り、ロレーヌとブルゴーニュを通過させ、アンジュー、オーベルニュ、ガスコーニュ、ポワトゥーを征服させようと考えたのだ。
そして、ホーエルはアーサー王の命令を見事に果たしてみせた。
彼は瞬く間にベリを、そして破竹の勢いでトゥーレーヌを、更にオーベルニュ、ポワトゥー、そしてガスコーニュを征服し、アーサー王の傘下へと収めていったのだ。
その戦いの最中、彼はさる手強い君主と相対していた。
ポワティエに君臨する君主、ギタードである。彼は数多くの優れた騎士を臣下として抱え、そして自らも勇敢な騎士として知られる偉大な王だった。
ギタードはローマより封ぜられた自らの土地とその権利を守ろうと、進軍してきたホーエルに敢然と立ち向かったのである。
快進撃を続けてきたホーエルだったが、ポワティエ王ギタードの前には苦戦を強いられた。
幸運はあちらへ去ったりこちらに舞い込んできたりして、どちらの力が優っているのかは誰にもわからないまま、戦いは長引いた。
ときにギタードは狩人となり敗走するホーエルを追い詰め、しかし別の日に彼はホーエルの獲物となって逃げ惑うのだった。こういった戦いが続き、それぞれの騎士が数多くの勝利と数多くの敗北を重ねていったのである。
しかし、戦いが長引いた結果、ポワティエの地はすっかり荒廃してしまったのだ。ギタードは自ら収める領地の荒れ果てた様子を見て我に返った。このままでは、たとえホーエルとの戦いに勝ったとしても、残るのはすべての財産が破壊しつくされたあとの瓦礫の山だけである。
事実、ギタードが立て篭もる街と城の壁の外は、破壊から逃れたものなど一つもないという有り様だった。美しかったぶどう園は焼き払われ、蔓の一本もなければ、地面に根ざす草木の影も形もない。
ことここに至って、ギタードはアーサー王が噂通りの名君で、自分よりも優れた王であることを認めざるを得なくなった。
ギタードは和平を申し込み、自分自身を人質としてホーエルのもとへと投降したのである。
アーサー王に命ぜられた土地のすべてを制圧したホーエルは新たな臣下となったギタードを連れてアーサーの元へと凱旋した。
もとより勇敢な騎士であり、立派な君主として名の知れたギタードである。この君主が心からの忠誠を誓ったことにアーサー王はことの外喜び、以降、この君主を心から愛し、重用するようになるのである。
ギタードがアーサー王の臣下となったことで、フランスにはもはや主だったる勢力は残っていなかった。
こうして、アーサー王はついにフランスの全土を手中に収めたのである。
そして、周囲のすべての国々が平和になるころには、もはやアーサー王に槍を突きつけようなどという勇気を持つものは、誰一人としていなくなっていた。
ここまでの仕事を成し遂げてから、アーサー王は自ら率いた仲間たちを顧みた。戦いは何年にも及び、戦いが始まった頃に既に古参兵だったものは、今や年老いた老兵となっていたのだ。
アーサーはこうした疲れきった老隊長たちを探してはねぎらいの声をかけ、家に帰ってゆっくりと休むように言った。
もちろん、その際には彼らに相応の報酬を支払い、贈り物を与えることを忘れはしない。彼らが故郷を離れ、長きに渡り自分の戦いに付き従ってくれたことを、アーサー王はことのほか喜び、その働きに報いたのである。
その一方で、特にアーサーに親しい騎士や、更なる名誉ある戦いを望む元気に溢れ、故郷に妻や子供などの家庭を持っていないような若者に関しては、アーサーとともにフランスに残ることを選び、九年間に渡るアーサー王の統治に参加したのであった。
この間、アーサーは驚くほど数多くの偉業を成し遂げた。アーサー王を恐れもしない傲慢な男が現れてはこれを打倒し、彼らの圧政を糾弾した。
虐げられていた人々を解放して、そして悪政を敷いていた罪人に対しては、その罪にふさわしい断固とした罰を与えた。
このような次第で、フランス全土はアーサーの統治によって平穏と安定に包まれていったのである。
そして今、九年目の復活祭が到来し、アーサー王はこれまでの戦いを締めくくるべく、仲間たちとともにパリで素晴らしい祝宴を開いていた。
戦いの中で、財産を失ったものも少なくはない。国王はそうした者たちの損失を埋め合わせ、その上ですべてのものに対し、働きに応じた相応しい報酬を与えていった。
成し遂げた仕事の大きさやその熱意、そうしたものに報い、適切な褒美を授けたのである。
アーサーの臣下の中でも、執事長にして忠実、騎士道精神に溢れる騎士ケイに対し、国王はアンジュー地方とアンジェ公領を与えた。
国王の酌取りにして個人的な相談役でもあるベディヴェアは、はるか昔にはネウストリアと呼ばれた土地、――今ではノルマンディー地方と呼ばれている――を領地として拝領した。
この二人、ケイとベディヴェアは特にアーサーに忠実な友人であり、彼の相談役として、最も心の奥の悩み事まで打ち明ける間柄だったのである。
更に、ブローニュ地方はホールデンに、その従兄弟のボレルにはルマンが与えられた。
こうして、フランスの戦いで働きを見せたすべての臣下に対し、国王に奉仕する精神と、その心の優しさや勤勉さに応じて、アーサー王は名誉とともに報酬を与え、更に彼のものとなった広大な土地を授けていったのであった。[1]
[1]アーサー王の年齢について、ここで一度整理してみたいと思います。
まず、戴冠式の時点では十五歳と明記されています。
そして、ゲルマン王チェルドリックとの戦い(十五話)の時点で妹アンナの息子、つまり甥のホーエルが騎士として一人前になっています。
この時点でのホーエルの年齢は定かではありませんが、アーサー王が戴冠した年齢などから鑑みるに、おそらく十五歳前後と思われます。
アンナがホーエルを産んだ年齢が現実的に考えて十三~十五歳前後だとしたら、ここから逆算すると、チェルドリックと対決する時点でのアーサー王は少なくとも二十九~三十一歳前後と言う計算になります。(もちろん、もっと幼い年齢で出産する例もあったでしょうけど)
その後、アイルランドや北の島々を征服したのち、十八話で「十二年の時が過ぎた」と来ます。この時点で少なくとも四十一~四十三歳前後となります。
更に、今回十九話にてフランス征伐を果たしてから「九年間」が経過したと明記されているため、この時点で少なくとも五十~五十二歳前後と計算できます。
実際には戦争や遠征、その往復にかかる時間を考えると、何年かをプラスして考えるべきでしょう。
アーサーの時代の平均年齢を鑑みると、この時点ですでに老齢と言っても良い年齢に差し掛かっているのがわかります。
(とはいえ、十二世紀に生きた王妃エレアノールなどは実に八十三歳まで生きていますし、何歳をもって「老齢」というのかは、一概には言えませんね)
しかしながら、ブリュ物語を聞いた人々が、「老人のアーサー王」を想像していたとは到底思えません。
ヒーローの姿は、何時の時代でも若々しく力と威厳に満ちたものだったのでしょうね。
ちなみに、アーサー王では「十二年」「九年」などの「三の倍数」が頻繁に出てきますが、これはキリスト教における三位一体に起因するものと思われます。
アーサー王のみならず、グリム童話や様々な伝説においても、キリスト圏の昔話では非常に頻繁にこれらの数字が顔を出すのです。
他にも神様が天地創造した(プラス休息した)日数として「七」なども非常に好まれます。




