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婚約破棄され過ぎて心が折れそうです  作者: プラン9


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77「朝起きたら知らない間に2人が……ですわ」

 わたくしの睡眠時間は決まっております。基本8時間、誤差は10分程度ですわ。何時に寝たとしても、必ず8時間は睡眠を取るようにしています。おかげでお昼寝した時とか8時間寝てしまい……寝過ぎとお母様に怒られましたわね。

 まあそれはともかく、そんな訳でわたくしはいつも最適な時間に、快適な気分で起きられるのです。

 勿論、土地が変わってもそれは変わりませんでした。そもそも自由な時間だけ寝られるのだから、それも当然のことですわ。

 おかげさまで、太陽がいつもより高く上っていて、もしかしてかなり寝過ごしてしまったのではと焦ってしまいましたわ。まあ、第2王妃の結婚式は夕方より執り行うそうなので、わたくし達貴族は焦らなくても良いのですが。

 ……で、ですわ。


「なーんで貴女たちがここにいますの?」

「アリデレスさんに連れられて」


 天蓋の張られた大きなベッドは、女性3人が並んで寝そべっても、確かに十分な余裕はありますわ。でも、それがベッドの中へ忍び込んできても良いという理由にはなりませんわよね。

 ……まあ、アヘンには過失はあるものの、付き合わされたというのは分かっておりますわ。問題は……元凶の、わたくしの左隣でぐーすかよだれを垂らしながら寝ている大量破壊兵器さんですわ。


「アリデレスさん、起きて下さい。。アリデレスさん」

「ん~~……駄目ですわバルカ様、そんな大きな豚さん太ってしま……あっ、そこの脂のところ」

「どんな夢見てますの?」


 淑女としてはとても見せられない姿ですわね、アリデレスさん。

 そしてそれとは逆な意味でとても見せられない姿のアヘン……起きたばかりの筈だというのに、目の下に隈がありますわね。


「アヘン、眠っていないの?」

「……落ち着かない。色々な、いろいろなものが頭の中でごちゃごちゃして」


 ……どうしようかしら。わたくし、こういった相談事は苦手ですのに。

 ですが、アヘンもわたくしの大切な友達。であれば、頑張るしかありませんわ!

 この際あれですわ。バルカ様言ってました、取りあえずぎゅって抱きしめて背中叩けばなんとかなるって!


「……やっぱ無理ですわ!」

「……どうしたの?」


 はっ、ハードルが高すぎますわ! いやだって、そもそもわたくし、アヘンとそんなに仲良くありませんし! こう、仲の良くない人がいきなりハグとか……正直、無理じゃありません?

 というか、バルカ様はそれが出来るんでしょうか。そう考えてみたら凄いですわね……流石女たらしの女!


「昨日寝過ぎたから、っていうのもある」

「ああ、なんだそうだったんですのね。心配させないでくださいな」


 全く、心配し損ですわ。

 ……あれっ。でもそれなら、何故アヘンは目の下に隈を?


「ねえアヘン、昨日お昼に寝たのは何時間くらいですの?」

「30分」

「……なるほど」


 足りませんわね、全然足りませんわね。

 というか、それでしたらずっとこの子は目を開けていたのでしょうか。……想像したら結構怖いですわね。

 仕方ありません、これも社会勉強ですわ。


「アヘン、まずベッドの中に入りなさい」

「ん」

「そしてゆっくりと目を閉じて、なにも考えず」


 アヘンは、わたくしの言ったとおりベッドの中へと入り、目を閉じます。

 わたくしはその間、安心させる為に胸の辺りをぽんぽんと、布団の上から叩きます。確か、赤子の時にこうやって寝かしつけると本で読んだことがありますわ。きっと正しいでしょう。そう信じましょう。


「んがっ……お肉……えへへ……」

「……アリデレスさんは呑気ですわね」


 というか、食べる事しか呟いていませんわね。ここまで食い意地の張った人では無かった筈なんですが……バルカ様の影響かしら?

 そういえば、残念になったのはバルカ様と交流し始めてからですわね。アリデレスさん……。

 とわたくしが考えていると、ちょうどアヘンが安らかに寝息を立て始めた。のはいいのですが、どうもわたくしの袖を掴んでいるようで、動けませんわ。

 ……どうしましょう。とわたくしが悩んでいると、こんこんとノックが2回。


「入って」

「おはようございま……あら、まだお休みでしたか」

「違うわ。アヘン……ああ黒い髪の子ね。その子が袖を離してくれないのよ」

「あらあら」


 口元に手を当てうふふと笑うメイド。かなりお年を召していますわね……かなりの熟練ですわ。

 ですが、取りあえずはこの状況をなんとかして欲しいですわね……。


「では、また後ほど参ります。ああそうそう、アリデレス様に伝えておいて下さいますか? バルカ様より『冒険者ギルドで待つ。昼飯頃には来るように』とのことです」

「分かりましたわ。伝令、ご苦労」


 わたくしの労いの言葉を聞き、メイドは深く一礼して部屋を出てきました。

 ふとわたくしは、部屋に備え付けられている時計を見ますわ。時刻は既に11時を指し示しています。

 ……お昼頃? 冒険者ギルド、とやらへは恐らくですが1時間か2時間くらいはかかるでしょう。もしかしたらお城を出て30分かもしれませんし、15分かもしれません。

 ですが、アリデレスさんでしたら、確実に迷いますわね。となると出るのに最適な時刻は――


「アリデレスさん、起きて下さいまし! アリデレスさん!!」

「ん~~……蜘蛛、ですの? クリーミー、ちょっと興味が」

「アリデレスさん!!」

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