表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄され過ぎて心が折れそうです  作者: プラン9


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

73/79

73「絶品!ドラゴンステーキなのですわ!!」

「美味しいですわ! ものすっごく美味しいですわ!!」

「アリデレス様、ほっぺたにソースが付いてますよ」


 何故でしょう。世話を焼かれるのは普通平民の筈なのに、アリデレスさんは何故普通に、アリーシュに「もう、仕方のない子ねー」という感じに母親が子供にやるように世話を焼かれているのでしょう?

 そして何故アヘンはそれとさも当然のように受け入れているのでしょう? わたくしがおかしいのでしょうか?


「あの、アリーシュ。ワタクシ1人で食べられますわ! テーブルマナーも完璧ですわよ?」

「だったらもっと落ち着いて食べて下さい」

「だって、マナーに口うるさい教師もいませんし、何よりこんなに美味しくて食べたらパワーが出るようなお肉なんですのよ!? 落ち着いて食べろという方が無理ですわ無茶ですわ無茶苦茶ですわ!!」

「なんでアリデレスはこんなにテンション高いの?」

「さあ、分かりませんわ」


 わたくしは一口くらいの大きさになったお肉を頬張りながら、答えますわ。

 実際のところはドラゴンステーキ、かなり味が濃いのですがその分かなり硬いので、しっかりと噛まなきゃ飲み込めませんわね……。アリデレスさんは大きく切ったせいで、右頬がリスのように膨らんでいますわね。

 ……少し悪戯心が湧いたので、ほっぺたを突いてみますわ。あら、結構硬い。


「……何ですのアリアンローズさん?」

「いえ、なんとなく……出来心ですわ」


 意外と肌触りが良かったですわね……。

 きょとんとしているアリデレスさんですが、口だけは相変わらずモグモグと動いておりますわ。

 ……あれっ? 今アリデレスさんの口の中はお肉でいっぱいですわよね? 何故もごもごじゃなくて、普通に声が帰ってきたのでしょう?


「どうかしたんですか?」


 口にものを含めたまま喋るのはお行儀が悪いので、わたくしは取りあえずアリーシュの頭を撫でますわ。

 もはや慣れたもので、アリーシュは猫のように目を細めて気持ちよさそうに喉を鳴らしますわ……ちょっと待って下さいまし。


「……? どうしたんですか、アリアンローズ様?」


 急に撫で撫でが無くなったのできょとんと首を傾げるアリーシュ。

 わたくしは口の中の肉を飲み込んでから答えますわ。


「その、さっきの音はどこから出していますの?」

「普通に出てしまうものじゃ無いのか?」


 予想外のところから予想外の返答。

 まさか、アヘンにまで出せるとは……えっ、もしかしてこれ、わたくしがおかしいんですの?

 ……いえ、なんでアリデレスもきょとんとしてますの? 貴女は出せませんわよね?


「気になるならアヘンも撫でてみたらいいのじゃなくて?」

「……そうですわね。ではアヘン、少し失礼して」


 アヘンから許可が出たのを確認してから、わたくしはアヘンの頭を撫でます。

 ……猫みたいにごろごろ言いました。というか、鳴りました。どうなっていますの……?


「アリデレスさんは……どれ」

「ん、なんですの? 心地良いので別に構いませんが……」


 ……鳴りませんわね。

 まあ、アリデレスさんはどちらかというと猫より犬ですから、それも当然ですわね。多分。

 ……自分でかなり狂っていることを言っていると自覚はありますわ。でも仕方ないと思いません?

 ちなみにアリーシュは人なつっこい猫ですわ。誰にでも撫でられたらごろごろ鳴らすタイプですわね。


「……ごろごろ音は鳴らないんですのね」

「あれを鳴らす原理が分かりませんわ。それより、もっと撫でてもよろしくてよ」

「お口にお肉を詰め込んだ状態でどうやって喋っているのか教えてくれたら、もっと撫でますわよ」

「風魔法の応用ですわ」


 声というのは、空気の振動によって起こる自然現象である。とどこかで聞いたことがありますわね。でも風魔法をかなり極めなければ不可能だとも、わたくしは聞きましたわ。

 ……確か、アリデレスさんの契約精霊は火を司っていた筈ですわよね。しかも複数ではなく、単体としか契約していない筈ですわ。


「ふっふっふっ、不思議に思っていますわね。ワタクシはオーラス大陸1の天才魔術師! アリス・アリデレスですわ! このくらいの芸当、出来て当然ですわよ!! もっと褒めてもよろしくってよ!!」

「……ものすっごい技術の無駄遣い、な気がしますわね。凄いですが」


 わたくしの言葉に、アヘンは頷いた。アリーシュは目を輝かせて「凄い! 凄い!」と連呼していますわ。

 純粋って、良いですわね。わたくしはあれをどこに忘れてきたのでしょうか。


「それなら、アリデレスさんも私達のあの声出せますよね!?」


 あれ声なんですの?


「うっ……その、どういう原理で出ている声か分からないので、無理ですわ。出来るのは、ワタクシが口で出せる音だけですの」


 よく分からない理屈ですが、どうも無理みたいですわね。よく分からない理屈ですが。

 わたくしはもう面倒くさいので考えるのをやめて、引き続きステーキを口の中へ放り込みましたわ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ