66「世紀末覇王女なのです」
補習も終わった今日この頃、私はアリーシュ、アリアンローズ、アリデレスのいつものメンバーを連れて、女子寮のサロンでゆっくりとお茶会みたいなものを開いていた。サロンというのは要するに、応接間みたいなものだ。なんでここにあるかは知らない。
ちなみにラストの姿は無い。「ちょっとスラム街で犯されてくる」と親指立てて行ってしまった。性病だけには気を付けて欲しいものだ。
「バルカ様、お加減はいかがですか? アリーシュちゃん、寒くない?」
「ええ、ちょうど良いくらいだわ。……これ私、すんごい悪役に見えているんじゃないかしら」
「いい感じですよ-、この学園は素晴らしい人が沢山ですね!」
「ふふっ、ありがとうアリーシュちゃん」
いつの間にか付いてきていた私のファンに、冷風魔法を使って貰ってなんとか、という感じね。
というか、先客の人達、私達が来る前から冷却魔法で涼んでいたみたいで、私達に気付いた途端に走り寄ってきたのよね。んでなにを話すでもなく、幸せそうに私の側に立っている。ちょっと不気味。
でもまあ、どういう訳か近づくにつれ冷気が強くなり、涼しくなるのよね。服もなんか乾かしてくれたし。私駄目になりそう、堕ちちゃうびくんびくん。
「しっかし、暑いですわねー。アリデレスさん程ではないですがわたくしも髪が長いので……切りましょうかね」
「アリアンローズ様! 折角似合っているのに勿体ないですよ! 気持ちは……分かりますけど」
「暑いですわ……しかし、家訓のせいで髪を切れない。ああっ、恨めしいですわ我が曾祖父曾祖母っ……」
アリデレスもアリアンローズも、冷風魔法を受けているというのにだらしないわねぇ。まあ私も人のこと言えないんだけど。
今の私の格好は、下はいつもの制服だけど上はタンクトップ。超快適で超動きやすい。はしたない? 知らん文句なら太陽に言え。
アリーシュも同じような格好をしているが、流石にですわ2人ははしたないと、この格好になってくれなかった。楽なのに。
「……バルカ様って、意外と胸ありますのね。ワタクシ、真っ平らだと思っておりましたわ」
「お前なんか最近遠慮が無くなってきてないか?」
「婚約者が出てくる気配なんて無い、家から期待もされない、恐ろしすぎて愛人にも迎えられないワタクシですからね。人生棒に振る勢いで楽しむことに致しましたわ」
すんごいはっちゃけたなアリデレス、まあ私としては別にどうでもいいけど。
……そういえばアリアンローズの婚約者ってどんな感じなのかしら? 気になるわね。
「ねえアリアンローズ」
「何ですの?」
きょとん、といった感じの顔で、テーブルにほっぺた潰しながら私を見上げるアリアンローズ。そこに淑女としての姿は無い。が、何だろうかギャップ萌えというのだろうか、ものすっごいあざとい気がする。アリーシュとはまた別ベクトルで。
「貴女の婚約者って、どういう人なのかしら? 私、気になるわ」
「……渡しませんわよ?」
「ラストじゃあるまいに寝取りはせんよ」
勝手に惚れられて勝手に婚約破棄されたりはしているけども。。現在進行形で。
「まあ、そうですわね。バルカ様には劣りますが男気があって、バルカ様には劣りますが剣の腕も立ちますわね。んでバルカ様には劣りますがイケメンで、バルカ様以上に信仰深いお人ですわね」
要するにバルカ様の下位互換ですわ、とアリアンローズは言うが、どうもそれを説明する時の口調が嬉しそうね。んでもって今もどことなく上機嫌だし。
ふむ、好きであるのに素直になれないと。そんな感じかしら。隣でアリデレスがすんごい形相しているのが気になるけども、気にしないわ私は。
「どっ、どうせ学生の間の婚約なんて破棄になりますわよ! ワタクシみたいに! ……ううっ」
「自分でダメージ受けるなら言いなさんなよあんた」
なんで私がアリデレスを慰めにゃならんのですか、バルカ分かんない。
一応言っておくけどあれよ、私王族よ? 隠しているけど、それでも大公よ? かなり上よ? なのになんか面倒ごとに巻き込まれてばっかな気がするわ私。
「婚約破棄はないとしても、ラスト様に注意しなきゃいけませんね……いえ、もう手遅れかも」
「……どういう事ですの、アリーシュ」
「その婚約者の初めては貴女ではない、ということですわ」
アリーシュの言葉を奪うように、何故か涙声高笑いしながら言うアリデレス。器用だなこいつ。
しかしアリアンローズ、その言葉を聞いてもすまし顔。『だからなに?』とでも言いたげな感じだ。かなり余裕がある。
「……随分余裕そうですわね、アリアンローズさん! いいんですの? はじめてを男に奪われて!?」
「別に、どれだけ汚れていようと構いませんわ。最後にわたくしの隣にいてくれましたら、それで構いませんの」
おっ、男らしい……。
私達がアリアンローズに対してそう評価していると、妙に慌てた様子で、どこかの小国の第6王女が入ってきた。その手には羊皮紙が握られている。ぐしゃって。
「大変大変大変大変大変大変大変大変変態変態! 変態ですバルカ様!!」
「誰が変態だ誰が!?」




