41「皆からの視線が痛いのです」
うん、どうしてこうなった。
これなら、まだ尊敬と畏怖の眼差しの方が我慢出来ただわよ私。
まだモンテクルズ国の時みたいなあれだったら我慢出来たわよ。
でもね、それでも、これは無いんじゃないかしら……
何せ悪役令嬢(姫)で異世界の恋愛タグ付けているのに、主人公である私が変態を見る目で見られているんだもの。
「近親相姦の王女様……そっ、そんな事してないですよね、バルカ様!?」
「してないしてない、全然してない!!」
だからその、蔑んだような、軽蔑するような目はやめなさいアリーシュ。それは私に効く。
犯人はどうせ決まっている。私になびかなかったカールズ派の世論操作? 印象操作? まあとにかく、そういうあれだ。何よ、私は語集少ないのよ。語録少ないのよ。悪いかしら泣くわよ?
仕方ないじゃない! 戦争する時なんて分かりやすさ重点させるしかないじゃない! 元 実験大好き前科ありニート嘗めんじゃないわよ火炎瓶投げるわよ!? ナパームの奴!
「ちっ、違います! バルカさんは私と一緒なんかじゃ……不幸を望んでなんかいないわよ! 変なこと言わないでよ……言わないでよ!!」
アヘンはアヘンで、今日も元気に教室の隅っこで顔を掻き毟りながら発狂しています。
というか血が出ているような……いや見間違いじゃないわ思い切り血出ているわ。しかも飛び散っているわ。
アヘンには悪いけど、注目がそっちに行ってくれたおかげで少し気が楽に……いやダメだこれもどうせすぐに慣れてくるに決まっているわ。
対して私のは一生付いてくるでしょうね……。畜生どうしてこうなった、全部カールズのせいよこんにゃろう。
「で、でっ、ラスト様。実際のところどうなんですか!?」
「ん~、……んふふ~。ひ・み・つ♥」
「じゃないわ!」
とうっ、と私が我ながら見事な跳び蹴りをラストにぶちかますと、まるで投石機で投げられたようにラストがぶっ飛んでいった。
よし、悪は去った。後はこの愚かな子羊に真実を教えるだけね。
逃げ出さないようにがっつり頭を押さえ込んで、しっかりと私と目を合わさせる。
「いい、よく聞いて? まずリラックスするの。息をゆっくり吸って、そして吐いて。はい深呼吸。そしてこの言葉を頭の中に思い浮かべるのよ、存在しないと」
「そっ、存在……しない……?」
「そう、存在しない。私とラストのそういう関係なんて、存在しない」
「存在……シナイ……バルカサマトラストサマトハナニモソンザイシナイ」
よし、説得完了!
遅れてすんません