38「悪役令嬢の婚約破棄ものなのに主人公が決闘ってどういうことなのです?」
どうしてこうなった。
グラウンドの闘技場、観客という壁に囲まれた私と相手、名前何だったかしら。確か――まあいいわ。どうせ一兵士として終わる運命の相手、名前なんて教えて貰ったって、どうせ勝てばすぐに忘れるし。
それより問題なのは、この決闘を誰も、本当に、ほんとーにだーれも止めようとしないところなのよね。
「えっと、あんたが勝ったらどうするんだっけ?」
まあ十中八九百パーセントあり得ない話だけれど、決闘としての礼儀として、ついでに私の無理の道理を通す為に確認をしておく。
というか私、本当に心当たりないのに決闘挑まれているからね。えっ、婚約破棄? それ私のせい?
「俺が勝ったら、貴様にはアリスと俺との仲を取り持って貰う!」
「……私が勝ったら?」
「ふん、なんでも命令するがいい」
うし言質取った。この街一帯の飯屋全部奢らせよう。金が尽きても無理矢理奢らせよう。
というかさ、騎士のくせに王女様に貴様て……いや、貴様は確か尊敬語だっけ一応。時代背景的には中世辺りだから、まだ尊敬語の時代ね。
いやでもゲームの世界だしなあここ……現代の価値観で作ってるしなー、ゲームって。
「というか、私が何をしたってのよ。説明を要求するわ」
「白々しい! 俺とアリスは生まれる前から決まっていた婚約者同士だったのに! 貴様が現れてからアリスの様子がおかしく――」
「それ、私関係なくない?」
そりゃ確かにさ、私に告白する為に婚約破棄してきたって言ってたけどさあの子。でも私全然関係ないし、こんな決闘挑まれる筋合いないし。
私が何したってんだ! ただ海賊根切りにしただけじゃないか! それが原因かしらそうかしら。
「貴様が現れてから全てが無茶苦茶になったのだ! 毎日食堂の料理は無くなる寸前になって奪い合いが始まり、購買の総菜も全滅! 俺以外にも婚約を破棄されている者は大勢居る!」
うん、最後の以外は私のせいね。だが私は謝らない。何故ならモンテクルズ第3皇女にしてドラゴン殺しだから!
まあ素直に謝るのもいいんだけど――私のプライド的に謝るのはぶっちゃけ嫌だけど、取りあえず、久しぶりに身体動かせるから今からウキウキだわ。
ここじゃ冒険者ギルドも存在しないし。
「お姉様ー、ちゃんと手加減してあげてねー!」
「バルカ様、ほどほどにしてあげてくださいましねー!」
「カールズやめろ! お前命が惜しくないのか!?」
おいこら私の心配ゼロか貴様等。流石に泣くぞ。
次回から戦闘は三人称視点でやってみます。




