32「大陸による魔法の違いなのです」(モンテクルズ大陸の場合)
「まず、バルカ様達の大陸――旧イベラス大陸の魔法からですね」
旧イベラス大陸――何故「旧」と付いているかというというと、ちょうど去年に私が大陸名をモンテクルズ大陸に変えたから。それでもまだイベラス大陸でなくなったという事実しか広まっていないので、いつの間にか旧イベラス大陸と呼ぶのが通例になってきたみたい。まあソ連とロシアみたいなものよ。
いやー、ロシアみたいな国土に豊富な土壌、正直言って一番勝ち組な国かもしれないわね。後はウランさえ出てくれれば、もううっはうっはよ。そりゃあもう、軍事力的な意味で。
まあそれはともかく、魔法の問題よね……モンテクルズ大陸の魔法は、直接的破壊力は持っていなかった筈だし。誰でも簡単に出来るというのであれば、銃の代わりにもなるわね。まあ誰でも、って訳にはいかないんだろうけど。
「旧イベラス大陸の魔法は、理性を消費して使用します。効果は主に補助系が多いですね。保温魔法を使えば永久氷壁の底だろうが溶岩の中だろうが麗らかな春の陽気のように感じると云われていますし、身体能力強化を使えば獅子が如き力を得られ、回復魔法を使えば千切れた腕も一瞬で治る――らしいですわね。わたくしはまだ実際に見たこと無いので、真相の程は定かではありませんが」
保温魔法そんなに強かったのね……というか、私の大陸の魔法結構強くない? 保温魔法使えばロシアのような極寒の地でも普通に兵士運用出来るし、確かドラグーンにも魔法付加出来た筈よね……。
ふむ。まあこれ以上侵略しても治められる気がしないけど。
「このように強力ですが、欠点があります」
「欠点?」
「まず、旧イベラス大陸の魔法を使用することによって、どういう原理かは分かりませんが、精霊に嫌われます。これは魔法使用者のみではなく、魔法の効果を付与された者にも適応されますね」
なるほど、そう言われれば納得だわ。アリーシュは街から出たことないって言うし、ラストも同じように魔法を使う・使われるような状況になったことはない。
でも私は――確か、ドラゴンの傷を受けた際に回復魔法受けたし(傷は治らなかったけど)、しょっちゅう博士から保温魔法受けてたし。
でもどうも、それ以外にもあるみたいで、アリアンローズは話を続ける。
「他に、理性の消費が挙げられますわね。魔法を使う度に正気度を徐々に失い、最終的には廃人となってしまうとか……」
……博士大丈夫かしら。今更ながら心配になってきたわね。
「ジョイク教の洗礼によってある程度抑制させられたそうなんですが、どういう訳か潰されたらしいですわね」
あれ、えっそんなに重要な立ち位置だったのジョイク教って!? でもゲームじゃそんな様子出てこなかった筈……。
いや待てよ、確かセーブするにはジョイク教の教会に行かなければ――そういうことか!?
そういえば博士も最初は普通だったのに、いつの間にかマッドチックになってたわね……私のせいだったのね、ごめんなさい博士。