26「騎士の見学なのです」
聖アリストテレス学園、グラウンド。騎士の育成が主な使用用途なここは、ドラゴンとか2匹ぐらい入るんじゃ無いかと言うくらい広さを持つ。
……ってパンフレットに書いてあったけれど、それどころかちょっとしたアメリカの牧場ぐらいの広さあるわよこれ。
ここ走らされたりしてんの? ってそんな訳は無く、騎士はある一部を使用しているだけ。なんか生物学課とか色々あるらしい。まあどうでもいいけれど。
さて、その件の騎士の訓練はと言えば――、
「あんまり凄くは無いわね」
「そりゃあ、モンテクルズに比べたらねぇ」
たはは、とラストが頬を掻きながら笑う。
まあ、正直私もね、やり過ぎたとは思っているのよ。投下爆雷(袋の中に椰子の油を詰めたもの)の命中率をほぼ100%にしたり、降下訓練での動きを鍛えていたら、いつの間にか機動部隊隊長以上の身体能力が私の兵士の平均身体能力になっていたり……。
訓練で死人もいっぱい出たわねぇ。ひやはや、やり過ぎたわ。
「というか、ワイバーン部隊とかいないのね」
「そりゃあそうでしょ。空中機動部隊とか制空権とか、登場してまたそんなに年月経ってないでしょ?」
確か私がそれを軍に実用させるようになったのが3年、いや4年前だったかしら。そりゃあ浸透していない訳だわな。
まあ、元々私の世界にあったものをそのまんま持ってきただけだからね。ぶっちゃけ、私も制空権とかよく分かっていないし。取りあえず烈風改詰んどけば問題ないって知ってるだけだし。
「制空権、って何ですかバルカ様?」
アリーシュが可愛らしく小首を傾げながら訪ねてくる。私も答えてあげたいんだけれど、自分でもぶっちゃけよく分かっていないからなあ……。
よし、ここは適当に言いくるめよう。
「モンテクルズを支える重要な戦力のことなんだけれど、ごめんなさいね。国家機密なのよ」
「そっ、そんな重要なものを、ここで話していたんですか!?」
あー、そりゃそうよね。重要機密を外で駄弁りながら漏らすとか、ぶっちゃけあり得ないわよね。
――まあ、私以上に有能な奴でもないとそんなの気にする人いないけれど。実際、元老院の奴等も中々理解しなかったしねぇ……粛正が捗ったわ本当。
……うん? なんか気配がするわね……。
「どうしたんですか、バルカ様?」
「お姉様?」
「……なんでもないわ」
気のせいだったのかしら、もう気配は消えていた。うーん、でも気のせいにしては随分とはっきりしていたような……?
まっ、まさか私のファン!? んな訳ないかあっはっはっ。あらやだ泣きそう。




