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10「着痩せするタイプなようです」

「……破棄されちゃった、ですかー」


 草木も眠るちょっと前、丁度一日が終わる時刻に、私はギルドの酒場で、博士相手に愚痴を溢していた。

 夜だからかギルド内はかなり賑わっており、そこらで笑談やら猥談が……あの、姫ここにいるんだけど。姫の近くで猥談しないでほしいなって、姫様は姫様は不快に思ってみたり。

 見られてないって事ですかそーですか。いや、その方が楽でいいんだけどね。


「お酒おかわり! スピタリス!」

「死ぬ気ですかー……? あっ、これ取り消しで、ウィスキーの水割りでお願いしまーす……」


 博士ー、なぜ邪魔をするー。ううっ、煙草臭い……これ広めたの私だから何も言えないんだけどさー。

 いやね、税収はアップしたよ? でもねー、まさか貴族まで吸うとは……葉巻ではなく紙巻きを。というか葉巻より紙巻きが高くなるって、誰が予想出来ようか。折角庶民からしぼり取ろうとしたというのに……。

 ……ええ、忘れてましたよ。異世界のテンプレで紙が高いとね。奴隷に作らせるんだったら葉巻の方が高いわな。だからか今この酒場、すんごい煙い。葉巻め、目がしばしばするのう。

 えっ、奴隷制度? 廃止してないけどなにか? だって下手に廃止して経済とか狂ったら嫌じゃん面倒じゃん? 無くした所で元奴隷共への福祉とかめっちゃ金かかるし。

 まあ、奴隷税を高めたから、ちょっとはマシになったと思うけど。あらやだ、奴隷ってば煙草みたいな扱いだわ。


「あー……もうやだぁ。なんであたし棄てられちゃうの? そんなに駄目なの?」

「よしよーし……大丈夫ですよー、姫様は駄目じゃないですよー……」


 ああ、博士の手気持ちいい。丁度ひんやりしてるから、火照った私の身体を静めてくれるわー。火照ったって言っても、酒でだけどね。

 しっかしあれね、平民に慰められる王族ってどうなのよって話よね。しかも護衛もいないし、酒場だしで。王族なのよアテクシ!

 私は自分の中の黒いなにかを洗い流すように酒を呷る。ああ、喉が熱いわ。でも不思議ね全く酔わない忘れない。なのに二日酔いは来るってどうなってるのよ私の体。バグってんじゃないの!?


「なーんで破棄されるんだろうねー……心折れそう」

「……話は聞かせてもらったよ、お姫様」


 突然話に割り込んできて、断りもなく私の隣に座ったのは、かなり肌を露出させた女。片目隠れてるのがエロい。んででっかいわおっぱい。

 ……誰かしら? 私の知り合いでは、ないわよね。こんなエロい人知らないし。まあ私の名は良くも悪くも広まってるけど、こんな砕けた感じに話しかけられた事は……ありまくって逆に分かんないわ。


「男ってのはね、女の弱い所を好むのよ」

「えっと、どなた?」

「……知り合いじゃあ、ないんですかー?」


 知らないだわよ、こんな激マブなべっぴんさん。私の知り合いではないわよ。

 女性はなんか無駄にエロい指使いでグラスの淵をなぞる。これはあれか、よく映画でビッチっぽい奴がやってるイメージのあるあれか。


「あら、忘れたの? フラジルよ」

「ぶふっ!? げほっげほっ」

「ああっ、姫様……大丈夫ですかー……?」


 あっ、あまりの衝撃にウイスキーが胸に……肺にっ!!

 博士擦ってくれてありがとう。


「……姫様のメイドさんですかぁ?」

「執事よ」

「……女なのに、執事ですかー?」

「ええ、だってメイド服動きにくいもの」


 いやいや、フラジルの胸、こんなにデカかったかしら?

 いや、絶対にこんなには無かった筈。仮に着痩せするタイプだったとしても、執事服なんてボディのラインが割りと出る筈。


「……えっと、あの、フラジル? あーたそげに、胸ば大きかったっけ?」

「普段は絞めてますから、サラシで」


 衝撃の新事実発覚ですだわ。

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