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セフレ・アイドル  作者: 055ジャッシー
第四章「告白」
28/57

ここじゃ駄目だろ!

 

「ロリコン教師なんて……全員死ねばいい!」


 流石に「死ね」は過激な表現だが、まぁ桂の気持ちは痛いほどわかる。僕も非常勤だが教師を名乗っている以上、こういう輩は許せない!

 教師は職業、そして学校は職場! 決して己の性欲を満たす場所ではない。学校を風俗と勘違いしている連中は即刻クビでいいだろう。日々のストレスとか「ただの言い訳」に過ぎない。


 そうか……桂と初めて一夜を過ごした時、寝言で「先生」とか「パパ」と口走ってたのはそういう事だったんだ。今でも夢でうなされるという事は、相当なトラウマを抱えているに違いない。


「でもさぁ、()()()の父親も隠ぺいに関わってきたんだから同罪だよな! 自分の息子がそんな風になって被害者面でもしてんのかな?」

「あぁそれなら大丈夫よ!」


 桂が自信満々に答えた。えっ、どういう事だ?


「流石にセンセーショナルな事件だったから話題になったわよ! そんな時SNSで被害者と父親の名前を晒した奴がいてね……マスコミは加害者(桂の父親)の名前は公表したのに被害者はずっと匿名にしてたからネットは大騒ぎ! 結局そいつの父親は議員辞職に追い込まれたわ」

「マジか!?」

「ま、晒したのは私の裏垢なんだけどね!」


 そういう事か……女って怖い。



 ※※※※※※※



「あー! まっくんに話したら何かスッキリした!」


 桂は自分の過去を僕に話した事で「いつもの桂」の表情に戻っていた。だがひとつだけ疑問が残る。 


「ねぇ、何でこの話を僕にしたの? 教師が大嫌いなんだよね?」


 何で桂はあれほど嫌いだった教師の僕にそんな話をしたのだろうか? 確かに僕と桂はセフレ……一応友だち(フレンド)を名乗っているが、それはあくまでもセックスだけの関係。実際は友だちじゃないし、ましてや親友でも恋人でもない。


「あれから冷静になって考えたんだけど……まっくんってさぁ、私も満足するセックスするよね」

「……えっ?」


 予想外の答えが返って来た……どういう事?


「いるのよぉ、自分だけが満足するだけのセックスを求めて来る奴! 今まで経験した男にもいたけど、もう最悪だったわ!」

「あ……そうなんだ」

「そういう自己満足のセックスってさぁ、レイプと一緒じゃん! そういう時って私……()()()を思い出しちゃうんだよね」


 なるほど、そういう事だったのか。


「でもまっくんは違う! 今まで抱かれてみてわかったけど、ちゃんと私の事も考えてしてるよね!? だからセフレになったのよ」


 僕の場合、別れた元恋人ともこんな感じだった。元恋人は立場的にも女性としても一目置く存在……なのでセックスの時も出来るだけ尽くす様に心掛けていた。


「私ね、こう思うのよ」

「えっ?」

「お互いの性欲を満たすのがセックス、片方が満たされるけど相手に迷惑掛けないのが自慰(オナニー)、そして……」


 ――?


「片方が満たされるけど、相手に迷惑を掛けるのが……性犯罪よ!」


 不同意性交、痴漢、セクハラ、下着泥棒……なるほど、全て当てはまってるな。


「私にとってまっくんは、セックスの相手として相応しいの! なのに……同じ先生だからという色眼鏡で見ちゃって本当にごめんなさい」

「あっ、いや……」


 桂の立場からすれば、そう思っても仕方がない位のトラウマだ。まぁこれでお互い、胸の奥に(つか)えた物が取れただろう。また僕たちはセフレとして関係を続けられる気がしてきた。ところが……


「私、全て話したらスッキリして……何かムラムラしてきちゃった」


 ……えっ?


「ねぇまっくん、ここで……しない?」



 ※※※※※※※



 桂が突然セックスをしたい……と言い出したが絶対に無理だ! 何故なら、


「駄目だって! ここって()()()()()でしょ!?」

「大丈夫よ! 彼女、仕事だからあと二時間は帰って来ないわ」


 そういう問題じゃない! ここはラブホと違って他人の家、アパートの一室だ。ラブホには当然ある物が無いし、それに……


「壁薄いよね?」

「私、そんなに喘ぎ声うるさく無いでしょ?」

「シャワー無さそうだけど」

「お互いの体臭が残った状態でするのも興奮するわよ」

「ゴッ……ゴムは? 無きゃ駄目でしょ!?」

「もぉ、私いつも持ち歩いてるの知ってるクセに」


 そう、桂はいつもコンドームを携帯している。ラブホに備え付けてある物は信用出来ないそうだ。


「まっくんごめんね、この前出来なかったから……罪滅ぼししたいの」


 そりゃ前回は桂が怒って帰ってしまったから結果的に「おあずけ」喰らった格好なのでしたいのは山々だが……ここは他人の家だ! こんな場所でセックスの痕跡を残すのは倫理的にアウトだろう。


「そんな事したら家主に迷惑じゃん」


 僕は桂の誘いを全力で断った。さっきお互いを満たす……とか言ってたのは一体何だったんだ?


「大丈夫! むしろ彼女、大喜びするかもよ」


 何だよそれ!? すると桂は半ば強引にキスして来た。この瞬間、僕の本能が理性を越え……結局「他人の家」でしてしまった。


 男って駄目な生き物だよな……てか背徳感半端ねぇ。

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