第九回 楽しい改稿の日々
原稿を見てもらうにあたっては、こちらのわがままを聞いていただき、グーグルドキュメントのコメント機能を利用させていただきました。
これ、本当に便利なのです。
推敲したら結果をドキュメントにアップし、意見を伺いたい箇所等にコメントを付けておく。
そのコメントに担当様が返信し、気になる点などがあれば、さらにコメントを付けてくれる。
そのコメントを参考に、さらに推敲する。
この過程を、ペーパーレスでできるのです。
(たぶんワードでも似たようなことが出来るのだと思いますが、うちのパソコンにはワードが入っていないので……)
そして、約二ヶ月の、楽しい楽しい改稿の日々がはじまりました。
これは、言葉の綾でも何でもなく、本当に、楽しくて楽しくてしょうがなかったのです。
もともと、書くのが好きだからこそ、まだサイトをやっていなくて誰かに読んでもらえるあてがまったくなかった頃から、ずっと書き続けてきたのです。誰も読まなくても、一円にもならなくても、書き上がったものがヘタクソでも、書くこと自体が楽しければ、それだけで丸儲け――そう思って、長年、飽きもせずに、この趣味を続けてきたのです。
だから、ただ書くだけで、そもそも楽しいのに、今度は、その書いたものを、書く端から見てくれる人がいて、励ましたりアドバイスをくれたりし、そのアドバイスを元に工夫すれば確実に良くなって、良くなれば褒めてもらえる――そんな環境で、休日ごとに、ひたすら書き続けるのです。楽しくないわけがありません。
これは、担当編集者様の指導力やお人柄のおかげもあるでしょう。
そうやって、全体の構成から『てにをは』レベルの細部に至るまで丁寧なアドバイスを頂きながら推敲するうちに、作品がどんどんブラッシュアップされていくのが自分でもわかるので、それがまた嬉しく楽しく、やる気につながります。
こんなふうに、プロの編集者さんにマンツーマンで指導していただけることは、お金を払ってもいいくらいの貴重な体験で、とても良い勉強をさせていただきました。
一つの作品――それも長編を、ここまで徹底的に推敲するというのも、はじめての体験です。
私はもともと、WEB小説の書き手としてはかなりしつこく推敲するほうだと思うし、短編なら仲間内でチェックしあってけっこう徹底的な推敲をしたこともありますが、それでも、まだまだ推敲が甘かったのだと気付かされました。
だから、今回の経験で、ずいぶんスキルアップさせてもらったような気がします。
それが、この先、また趣味で書くものにちゃんと活かせるかどうかは、また別の話かもしれませんが……。
ちなみに、私の場合、これらの編集様とのやりとりは、ほぼすべて、グーグルドキュメントのコメント機能とメールの併用で行いました。
この辺は本当に出版社や編集者様(や、もしかすると作者の居住地域やフットーワークの軽さも?)によっていろいろ違ってくるところなんじゃないかと思いますが、私は、担当様と顔を合わせたのは、最初の打ち合わせの一回だけ。他には、一度、電話で打ち合わせをしただけです。
この、電話での打ち合わせも、文字チャット等のほうがよければそれでも……と言ってもらえたので(私は電話にしましたが)、出不精だったり口下手な人にも優しい仕様ですね。
でも、ほぼパソコン越しのやりとりのみでもコミュニケーションが取れたのは、最初に一度は直接お会いして、信頼関係を築いていたからだと思います。
そのためになるべく一度は顔を合わせるというのが、担当様の方針のようです。