第十八回 出版直前の作業いろいろ
ところで、この体験記は、担当様、出版社様の許可を得た上で書いています。
書いてはいけないことをうっかり書いていないか、ちゃんと検閲済み(笑)ですので、ご安心ください。
それ以外は好き勝手に書かせていただいています。
こんなに何もかもぶっちゃけちゃって、本当に良かったんでしょうか……。ファン文庫編集部様の太っ腹に感謝です。
そんなわけで、念校が終わって見本誌を待つ間に、書き溜めておいたこの体験記の最初の方を担当様に送ってチェックしてもらったりしていたのですが、そのタイミングで、『小説家になろう』マイページにログインすると、『書報掲載条件変更のお知らせ』という文字が。
ちょうど、私もそろそろ掲載を申し込まなければと考えていた矢先の、絶妙のタイミングでの出来事です。
『なろう』発の小説を紹介する『書報』コーナーは、これまで、書籍化にあたって作品を取り下げても、他の作品を一作でも『なろう』に置いていれば掲載してもらえました。それが、今度から、その作品を引き続き『なろう』で公開しているのでなければ掲載してもらえないことになったというのです。さらに、過去に掲載してもらった情報も、条件を満たしていないものは今後取り下げの可能性も、ということです。
ファン文庫さんは、今まで、基本的に、書籍化にあたっては『小説家になろう』から作品を取り下げさせる方針で(例外はありましたが)、前に書いたとおり、私も、サイト版は残すけれど『なろう』からは取り下げるという約束をしていました。
なので、別件でメールしたついでに『こういうお知らせが出ましたが……』と相談してみたところ、思った通り、すでに社内で協議中だったらしく、少し間を置いて『取り下げは取りやめ』とのお返事が。
活動報告等ではすでに取り下げの予告をしていますが、『書報掲載条件変更のお知らせを受けて編集部の方針が変わり、取り下げないことになった』と、そのままアナウンスしていいとのこと。
(※過去に出版され、既に削除してしまった作品をどうするかは、協議中だそうです)
なんという、どたんばのどんでん返し。
これがもうちょっと後だったら、私はすでに作品を削除していたでしょう。
というわけで、活動報告等ではすでにアナウンス済みですが、『なろう』からの作品の取り下げは取りやめます。
今までさんざん気をもんできたのは何だったんだろうという……という、あっけない成り行きでした。
そして、その翌日、レーベル公式のツイッターに見本誌の画像が載り、さらに翌日、私のところにも見本誌が届きました。
表紙も帯も、そして外側だけでなく、目次や章扉ページ、おまけコラムなど、中身のあちこちも可愛らしくデザインされた、愛らしさいっぱいの本。
私が直接やりとりをした二人の編集様だけでなく、校正様、デザイナー様、製版の方、その他いろんな専門的なお仕事をしている大勢の人たちが、力を合わせて作り上げてくださった本です。これから、この本が、出版社の営業の方や書店の方、物流の方など、多くの方の尽力で書店の棚に並ぶのだと思うと、身が引き締まる思いです。
なんだか、自分の作品のことなら謙遜することがあっても、出来上がった本については、謙遜はできない気持ちです。私が一人で勝手に謙遜なんかしたら、この本のために力を尽くしてくれた全部の人に失礼な気がして。
この一冊の本という作品は、私一人の作品ではないのですから。
というわけで、もう『拙作』なんて言わないのです!(ただの決まり文句なのは分かっていますが……)
すみずみまで手を尽くして作り上げてもらった素敵な本です。中身だって、二人がかりで磨き上げてもらって、ずっと完成度が上がっているはずです。書店で見かけることがあったら、ぜひ、手にとって見ていただきたいです。表紙だけでも素敵ですから!
その後、契約の正式締結の準備、献本の手配、『小説家になろう』さんの『書報』への掲載申請などをしました。書報には、数日後、無事掲載していただきました。




