第十七回 後書きとか念校とか
その後、後書きやプロフィールの準備もありました。
私の場合、プロフィールは、編集側で、個人サイトのプロフィールを参考に用意してくれたのですが、もちろん事前にチェックさせてくれ、いくつか修正を申し出させてもらいました。
たとえば、サイトのURLを載せようとしてくれていたのを、ツイッターアカウントに変更してもらったり。
これはなぜかというと、個人サイトはスマホでの閲覧に対応していないからです(そもそも、モバイル対応を肩代わりしてもらうために投稿サイトに進出したのです)。
代わりに『小説家になろう』の著者ページのアドレスを入れてもらおうかと思いましたが、『なろう』側が推奨していないということで却下。
結局、ツイッターアカウントにしてもらったのは、ツイッターのプロフィールからなら、サイトと『なろう』の両方に飛べるからです。
後書きでは、やっと念願かなって、第一話プロット提供者の村崎右近さんや、発端となったリプライの主である島村ゆにさん、第二話の元になるアイディアを出してくれた“ページのP”さんはじめ当時一緒に遊んでくださったフォロワーの皆さんにお礼を述べさせていただくことができ、一安心しました。これだけは、絶対に書きたかったので!
もちろん、最初から後書きで謝辞を書かせてもらう約束でしたが、実際に後書きの頁数が決まって執筆の指示がくるまでは、万一頁数の都合で後書きがなくなっちゃったりしたら……と、安心できなかったのです。
その後、念校データが送られてきて、今度こそ最後のチェックをしました。
これは、データだけで、印刷したものは送られてきません。
本文はもう何度も見直したので、だいたい大丈夫でしたが、後書きやコラムなど、後から付け足した部分に小さな修正点(記号の不統一など)がいくつか見つかります。
出てきた修正点などをメールで送れば、私の作業は、それで終わりです。
が、私がメールを送ってほっと一息ついてからも、編集様は、遠く離れた本社で(または、仕事を持ち帰ってご自宅でも?)、まだ、最後の最後の校正や、いろんな連絡・調整を進めてくれていたのです。
夜遅くに『○ページで反田さんが“うんこ”、司書子さんが“うんち”と言っているのはキャラクター性の違いということで、統一しないでOKですか?』みたいなメールが来たりして、担当様が丁寧にチェックをしてくださっている様子が伝わり、本当にありがたいです。
この、最後の頃のいろいろを通して、
(私は小説を書くだけだけど、担当さんは小説の推敲に付き合って指導するだけでなく、本当にいろいろな仕事をしてくださってて、一つの物語を本の形にするためには、他にも、校正とかデザインとか写植とか、ものすごくいろんな作業があって、いろんな方が力を合わせてくださっているのだなあ)と、しみじみ実感しました。
正直に言うと、私は、ただ作品を書いているだけだった段階では、本が売れるか売れないかなんて、ほとんど気にしていませんでした。
それはもちろん、せっかく私の作品を拾い上げてくださった出版社様に損をさせたくないし、お世話になった担当様の実績を私のせいで下げたくないし、できれば大勢の人に読んで欲しいとも思いますが、私にとっては、ただ本が出るというだけで丸儲けで、自分の作品が素敵な表紙の紙の本になったら、その段階でもう夢が叶ってしまうので、自分のことだけ考えれば、それだけで十分だったのです。
けれど、実際に大勢の方が力を尽くして一冊の本を作り上げてくださる過程を感じると、自分のことだけじゃなく、この本の出版に関わってくださったすべての方の労力のことを考えないといけないのだといういうことが、あらためて意識されてきます。
私は自分の作品が本になったというだけで満足でも、出版社様は、慈善事業じゃなく商売で本出してるんですから。
力を尽くしてくださった担当様も、せっかく作り上げた本が売れてくれないと困るわけですから。
商業で本を出していただいた以上、どんなに微力でも、少しでも買ってもらうための努力をしなければならないのだ――と、遅まきながら気付いたものの、私にできることは、やっぱり、ほとんど何もないのでした。
本を売るために私に出来る一番大きなことは、面白い作品を書くことですが、後は見本誌を待つばかりという時になって、今さら中身を面白くすることはできませんから。
せめて出来るのはツイッターで宣伝することくらいなので、ツイッターで私をフォローしてくださっている方は、しばらくの間、すこしうるさいかもしれないけれど、ご容赦くださいね。しばらくの間だけですので……。