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第十四回 タイトルのこと

 外部編集様とのやりとりと並行して、マイナビ側の担当様からは、カバーのデザインや帯のキャッチコピー等の案が送られてきたり、情報公開を前にした打ち合わせといった細々したやりとりをしていました。


 カバーデザインが決まってゆく過程で、ずっと懸案だったタイトル・サブタイトルの件も決着しました。


 打ち合わせの回で書いたように、タイトルの変更(元はサブタイトルだった『司書子さんとタンテイさん』のほうをタイトルにする)自体については、最初の打ち合わせから合意していました。

 出版社としては、より売れそうなタイトルをつけなければならないでしょうから、タイトルの変更は覚悟しており、出版社の判断に異議を唱える気は最初からありませんでした。そもそも司書モノが欲しくて拙作を拾い上げてくださったのですから、司書モノであることが分かりやすいタイトルにしたいのは当然のことと思います。


 でも、他の作品ならともかく、この作品は、『木苺はわたしと犬のもの』というフレーズをきっかけに生まれた作品ですから、できればそちらもサブタイトルとして残したく、そのことを、担当様には、最初の打ち合わせから伝えてありました。


 が、その後のお話で、社内的にはサブタイトルをつけるのは難しいという判断が優勢だと伺い、もしどうしても無理なら諦めるしかないだろうと思っていました。

 単発作品なのにサブタイトルがあると続きモノと勘違いされて売れにくくなるのではないか……という想像は、容易についてしまいますから。


 それが、この段階にきて、残してもらえることが決まったのです


 担当様の話によると、最終的にサブタイトルが残せたのは、表紙イラストのおかげなのだそうです。

 カバーデザインが決まった段階で、装画に犬と木苺が描かれていたため、『サブタイトルがないと、これらの意味がわからなくなる』と主張したら、それで通ったとのこと。


 ということは、それは、担当様とイラストレーター様のおかげです。


 第十一回に書いたとおり、表紙イラストは、ラフの段階では二つの案がありました。

 木苺が実る庭先のシーンと、図書館内のシーンです。

 営業的には表紙は図書館のシーンのほうが望ましいということで、そちらが採用されましたが、そうすると、庭案のラフでせっかく可愛く描いていただいた犬のスノーウィと、重要なモチーフである木苺が描いてもらえなくなってしまうことに……。(ファン文庫には挿絵がないので、表紙で描いてもらわないと全く出番がなくなってしまうのです)


 が、担当様が、木苺や犬が重要なモチーフであることをイラストレーター様に伝えてくださったところ、イラストレーター様が「それが物語にとって大事なモチーフなら」と、図書館のシーンに木苺や犬を合わせるというアイディアを出してくださったそうなのです。

 図書館の中なのに木苺が生っていたり犬がいるというのは、普通に考えて難しいと思いますが、後で聞いたところ、実際、そのためにかなりのやり直しなどが発生したそうで、そこまでしてくださったイラストレーター様には、感謝してもしきれません。


 そういうわけで、木苺と犬というモチーフへの私のこだわりを受け止めてくださり、『図書館の中のシーンなのに庭の竹垣と木苺の茂みと犬を描き込む』という難しい構図を実現してくださったイラストレーター様と担当様のおかげで、あんなに素敵な表紙が生まれ、その上、サブタイトルも残していただけることになって、本当に嬉しかったです。


 ※表紙画像はこちらで見られます→https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/40138/blogkey/1859978/

(活動報告のアドレスです。ここが一番画像が大きいので!)


 担当様には、他にも、私が本当に譲れない点は、大切に守っていただきました。

 作品本体についても、気に入っていたシーンや文章も大量に削りましたが、それはすべて私が納得して削っており、どうしても削りたくない箇所、譲れない点は、きちんと尊重していただいて、感謝しています。

 全体の流れから見ると無駄なのに私がどうしても残したがったエピソードなどは、一緒に知恵を絞って流れを整えることで残せるようにしてくださったりもしました。

 タイトルの件も含めて、本当に、納得のいく作品作りができたと思っています。

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