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海の民と南海の風  作者: うにまる


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エピローグ

リーグとリーナが環礁に出掛けてる間のお話しでエピローグ的なものです

 リーグとリーナが住んでいるリーフは人気もなく静かに佇んでいた。


「おーーい、リーグにお客さまが来てるぞーー。……ありゃ?……留守か?」


 リフールの街に繋がる小道を進むと玄関先に繋がっていた。その玄関先でリーグを呼ぶ声が上がった。リーグに客が来た事を知らせているようだった。


「うわー、ここ凄く良いね。木陰の住居と小道の先に砂浜と真っ青な海が素敵すぎる。こんな場所を隠れ家にしたらヴィーが絶対に喜びそう」


 一人の男性が海に向かう小道と小道の先の砂浜と海を見て感嘆の声を上げた。


「ルクレイ様すみません。リーグは出かけてるようです。どうやら環礁に向かったようで戻る時期は正直なところ分かりません」


 ルクレイと呼んだ男性を案内してきた男性が済まなさそうに頭を掻いて謝った。玄関先には『環礁中』と書かれた小さな看板が置かれていた。


「留守で環礁に向かってるのか……アルどうする?」


 ルクレイはもう一人の客人である男性に声をかけた。声をかけられた男性は海から視線をルクレイに向けた。


「その顔で俺に聞くの? どうみても環礁まで押しかける顔してるよ?」


 ルクレイがアルと呼んだ男性はアルフォンスだった。どう見ても「行く」という答えしか受け付けない顔で尋ねてきたルクレイにアルフォンスは呆れた。


 ルクレイはアルフォンスの指摘など気にもせずうんうんと頷いた。


「そうだよねー。リオの事もあるしドルナンさんの冒険譚を聞いてきてとフィリーエルに念押しされたからね。ヴィーも期待してたし行くしかないよねー」


「そういえば何でフィリーエルは来なかったの?」


 自己完結してうんうんと頷くルクレイにアルフォンスが尋ねた。ルクレイが何も言わなかったのでフィリーエルがいない事は気にしてなかった。


「ん? 丁度うちに遊びに来てて話を聞いて来る気満々だったんだ。けど間が悪いというかグラウから手紙届いてガックリしてたよ」


 アルフォンスの質問にルクレイは簡潔に経緯を伝えた。


「グラウくんかー。最後に会ったのは帝国でのフィリーエルとの婚姻式の時か。……てか特使がルクレイのところに来たの? もしかして帝国でなんかあった?」


 フィリーエルの旦那であるグラウからの手紙と聞いてアルフォンスは首を傾げた。わざわざフィリーエルを呼び戻すという行動に違和感を覚えた。


「んー、フィリーエルは創教国が面倒くさいとか言ってたかな。また何かやらかして帝国と揉めてる感じ? 教皇が変わっても変わらないよねー」


 ブツブツと文句を言いながら帝国に戻る準備を始めた娘の姿を思い出しルクレイはくすくす笑った。旦那との関係は良好そうで親として安心した。


「創世女神聖教国かよ……懲りねえなぁ」


 前教皇はルクレイと揉めてその座から追放されていた。今度はそのルクレイの長女が揉め事に関わるとアルフォンスは理解し国が消えそうだなと考えていた。


「まっそれは置いて……久しぶりにフィリーエル環礁に行くかー」


 ルクレイはクルッと踵を返しスタスタと玄関先から小道の方に歩き始めた。アルフォンスは肩を竦め案内してくれた男性に感謝を伝えた。


「アル! 神殿長に挨拶だけして出港だからリサリアのお店で果物を買って積んでおいてー。環礁ベリーはあっちで作ってヴィーたちへのお土産にするからね〜」


 ルクレイは空中に水色の板を展開し一気に駆け上がって行った。


「相変わらずヴィオナ最優先だな。それでも長女の名前を環礁に付けたぐらいだしお気に入りなんだろうな。それにしてもフィリーエルは面白可愛いよね」


 子どもが生まれ溺愛していても妻のヴィオナを最優先するルクレイが面白かった。そしてこの地でヴィオナの妊娠が発覚しルクレイたちは長期滞在していた。


 ヴィオナは神殿に滞在し風巫女たちに風壁を教えていた。そしてルクレイは水壁を海巫女に教えていた。公表していないが神殿は二人を巫女として敬っていた。


「神殿の二人の肖像画は見てみたいけど……まぁ覚えてたら帰りに見るか」


 アルフォンスはくすくす笑いながら小道を駆け抜けリフールの街に向かった。


 アルフォンスの妻であるリサリアが作った果物屋は『リサ果物店』として今も続いていた。店主はなぜか『リサおばちゃん』と呼ばれていた。


 それをヴィオナから聞いたリサリアは「びみょ〜」と眉を下げた。その事を思い出したアルフォンスはとっても楽しくなり駆ける速度を上げた。


 リフールの港を出向する一隻の一本マストな帆船が二本の航跡を引きながら沖に向かっていた。メインもジブも出さずにどんどん沖合に向かって進んでいた。


 南方諸島で見ることのない双胴で船体が真っ白な帆船だった。船首の舷側には誇らしげに濃い青色で『ヴィオナ』と描かれていた。


 西側水路を出ると帆船は南に進路を変えスルスルとメインセイルが上がった。船首のフォアステイに付けられたファーラーからはジェノアが引き出された。


 帆船は進路を南南西に戻し帆が左舷側に出されジェノアとメインセイルが力強く張った。セイルは『淡い藍色』で真っ青な海と空に溶け込む色合いだった。


 一隻の双胴船が後に『環礁航路』と呼ばれる事になる航路を帆走していった。


「なろう異世界ファンタジーフェス! 2026」用に新規で書き始めた作品ですが当初の予定より3倍近く膨らんだ作品になってしまいました。プロットとしてはドルナンと会うまでを作りました。そこからスタートして書きながら流れを考えてました。それでも結構綺麗に着地したかなと思っています。


短い連載でしたが読んで頂きありがとう御座いました。

結果的に初の連載完結なので良かった!普通〜微妙ーなど評価がありましたらポチッとしてもらえると評価が見えて嬉しいです。


また、アルフォンスの物語とルクレイの物語を長編として書いてますのでこのエピローグを読んで興味を持って頂けたら是非とも読んでみてください。

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