0:プロローグ
少年は、聖剣に憧れていた。
毎日村近くの森へ出かけては、真っ直ぐに伸びた木の枝を探しては拾い集めた。
皮を剥ぎ、細かな枝をナイフで削ぎ落とし、直線に近づくまで形を整えた。
そして削った枝を握り締め、少年は声高らかに叫んだ。
「これこそは、世界を照らし、魔を払う正義の一撃! エクスカリバー!」
少年は枝を構え、叫び、勢いよく振り下ろした。
枝の先は、木の幹に当たってポキリと折れた。
それを見た少年は、折れた枝を拾って地面に突き刺した。
「何をしとるんだ?」
家の方から祖父がやって来て、少年に尋ねた。
「見て分かるでしょ。聖剣を作ってたんだよ」
「ほっほっほ。ベルグよ、お前はそこまで聖剣が好きか?」
「もちろん! この世で一番強くて一番カッコイイ、最高最強の剣だもん!」
「ほっほっほ。そうさなぁ⋯⋯。世界広しといえども、物語に登場する聖剣よりも格好いい剣は、そう無いのぅ」
「だよね! やっぱりエクスカリバーが一番だよ!」
「だが、ベルグよ、忘れてはならんぞ。エクスカリバー以外にも、格好いい剣はたくさんあるでな」
祖父はにかりと笑いながらそう言った。
少年はつられて笑みを浮かべ、次の聖剣作成に取り掛かった。
「⋯⋯ん? ベルグよ、右腕のそれはなんじゃ?」
「え? ⋯⋯あれ、気づかなかった。多分木の枝を折る時にちょっと引っ掛けたのかも。これくらいへっちゃらだよ!」
「ほっほっほ。元気があって、良い事じゃな」
少年の名は、ベルグ・ライオネル。
後に、聖剣の所有者となる、英雄である。




