表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/46

第13話 ダークエルフと共闘する

 突如眩しい閃光が僕の真っ暗な視界から現れた。と同時に、息ができるようになった。


 フワッと宙に浮かんだ心地がしたかと思えば、腹部に少し温かい感触がした。ハァハァと息遣いが聞こえたので、目を開けて確かめてみた。


 ビーラの横顔が目に入った。


「び、ビーラ……さん?」


 僕がかすれ声でそう聞くと、彼女はチラッと僕の方を見た。


「おぉ、気がついたか」

「い、生き返った……ですか?」

「馬鹿を言うな。あんな奴に殺されるほど、アタシは弱くない」


 夢ではないようだ。チラッと下を見ると、地面が早送りしているかのように進んでいる。どうやらビーラは僕を抱きかかえながら走っているらしい。


 死んだと思っていたビーラが生きてくれていて、とても嬉しい気持ちでいっぱいだったが、状況が状況だけに素直に喜べなかった。


「て、転移魔法……は? ゴホッ、使わないんですか?」

「素直に見逃してくれると思うか? アイツを……」


 ビーラが背後の方をチラッと見ると、背後から奇声が聞こえた。すぐにヤツだと直感した。


「あいつがお前が言っていた呪いの魔物か?」

「えぇ、そうです……」

「そっか……確かに厄介だな。あれは」

「どうしたらいいんですか?」

「あぁ、そうだな……閃光の魔法を放った時にあいつは逃げていたから、光魔法が効くかもな」


 光魔法――やはり、そうか。


「少し止まるけど、いいか?」

「大丈夫です」


 ビーラはザッと振り返ると、素早く僕を降ろした。予想通り、ヤツが来ていた。全速力で僕らの方にダッシュしていた。


「ピカーラ!」


 ビーラはそう唱えると、両手から光の珠が出てきた。それがヤツの方に凄まじい速度で飛んでいった。それを見たヤツはサッと球体をかわした。


「ピカーラ! ピカーラ!」


 彼女は何度も唱えた。間髪を入れず光の球がヤツに襲いかかる。が、ヤツは華麗な身のこなしで次々と避けていた。


 ビーラはチッと舌打ちをすると、「だったら、これしかないか」と深呼吸した。


「ピラピカーラ!!」


 彼女がそう唱えるや否や、一瞬で目を開けていられないほど眩しい閃光が現れた。巨大な光の塊は、すぐさまヤツの方に向かう。


 ヤツは姿が見えないほど光に覆われてしまった。その直後、爆発したかのようにさらに輝いた。少しの間瞼を閉じ、ゆっくり開けると、ヤツの姿がいなかった。


「倒したんですか?」


 期待がこもった声で聞くが、ビーラは「いや、まだだ」と睨んでいた。


 すると、背後から寒気がした。それはビーラにも感じていたようで、バッと振り向くと、ヤツが「キシャアアア!!!」と叫びながら彼女に掴みかかってきた。


「ビーラさん!」


 僕はヤツを引き剥がそうとしたが、スルリと手が抜けてしまい、全く掴めなかった。ヤツは彼女の首を閉めていた。


 ビーラは「グッ、クッ」と苦しそうな顔をして悶えていた。


「ぴ……ら……ぴら」


 微かに何かを言ったかと思えば、チカッとフラッシュし、ヤツが驚いたのか手を離して距離を置いていた。


 さすがのビーラも息を荒くし喉を擦りながらヤツの方を見ていた。


「はぁ……はぁ……本当に頭のくる奴だ」


 すると、ビーラは「ピアーラ!」と叫び、光り輝く弓矢を何もない所から出した。


「これでアイツを射つから、今のうちに逃げるんだ」

「え?!」


 思わず叫んでしまった。ビーラは僕のためにヤツの注意をひこうとしているのだ。


「ぼ、僕も……」

「駄目だ! 光魔法の使えないお前がいても足手まといになるだけだ!」


 何も返せなかった。確かにその通りだ。僕がここにいても、ビーラが集中して戦えない。


「……分かりました」


 僕はキッと正面を見た。僕が逃げる道の先に、ヤツがいた。ヤツはフラフラと揺れながら行かせまいと立ち(はばか)っていた。


「今から一発放つ。ピカッと奴を目くらましにするからその隙に行け」


 ビーラは光る矢を出現させ、弓の弦を張った。僕はいつでも走れる状態でタイミングを伺っていた。ヤツは立ったままジッと僕らを見ていた。そして、自分の頬をかきながら首を傾げていた。


「ハッ!」


 ビーラが弦を放した。ヒュンと風を切り、ヤツに向かった。


「今だ! 走れ!」


 ビーラがそう叫んだと同時に僕も駆け出した。すぐさま(ひる)みたくなるほど眩しい光が僕に襲い掛かってきたが、脚を止めなかった。


 無我夢中で走った。後ろを振り返らずに、ただ逃げる事だけを考えた。


「ケハァ、ケハァ、ケハァ」


 だけど、背後から聞こえる不審な鳴き声に、脚を止めざるを得なかった。恐る恐る見てみると、ビーラが赤い目な大きくさせていた。


 ヤツはビーラの方を向いていた。が、あり得ない角度で首が動き、僕の方を見ていた。首だけ180度回転して胴体が逆な姿は、まさに怪物だった。


「ケケケケケケケ!!!!」


 ヤツは舌をチロチロさせながら笑っていた。


「カース! 絶対にそこを動くな! 声も出すな!」


 ビーラがそう叫んだと同時に、またあの奇怪な叫び声が聞こえた。


 いや、ヤツからではない。至る所から、森中から、あの声がした。森すべてがその声を占拠し、異様な空気がさらに増した。ヤツは口を裂けるほどニタァと笑っていた。


 僕は彼女の言う通りに一歩も動かなかった。ビーラも弓を降ろして、目だけ機敏に動かしていた。まるで何かに怯えているみたいだった。そして、この異様な声の正体が姿を現した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ