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7

こんにちは、「…」が打てない女です。

打てないので諦めました。

みなさんも諦めてくださいw

 昼休みが終わり、教室に帰ると、泥だらけでボロボロになった梅ちゃんが机に突っ伏していた。

 気付かれないようにそっと梅ちゃんから離れた席に座る。

 王子達と急接近したせいで何か嫌がらせをされたのかもしれない。


「おい、下痢は治ったのか? 随分遅かったじゃないか」


 ジークフリート王子が私の後ろの席に座り、何か下品な事を言っている。

 取り巻きがお腹でも壊したのだろう。

 私には関係の無い話だ。


「おい、無視するな。 この俺が心配してやってるというのに」


 しかし、あんなにボロボロになっているという事は、直接的な暴力を振るわれたのだろう。

 ゲーム内では私が先導して、陰湿な精神攻撃をしていた。

 だが、決して直接攻撃は行わなかった。


「おい、大丈夫か? お腹痛くて喋れないのか?」


 あれではすぐに何かあったと周りに勘付かれてしまうじゃないか。

 まあ、黒幕は私じゃないからいいけど。


 モヤモヤした気分のまま、午後の授業が終わった。

 放課後になると、梅ちゃんがゾンビのような動きでフラフラと外に出てく。

 やはり気になるので、そっと後をつける。


「おい、トイレはそっちじゃないぞ」


 何故かジークフリート王子もついてきたが、これは好都合。

 いじめの現場を王子が見て、梅ちゃんを助ける。 お決まりのルートだ。


 中庭に出た梅ちゃんを待ち受けていたのは、意外にもマリンだった。


「よく逃げずに来たわね。 じゃあ続きを始めるわよ!」

「はい、師匠!」


 これは……あ~、筋肉的なアレか。

 筋肉師弟関係か。

 関わっちゃいけないヤツだ。

 そっとその場を離れ、校門へ向かうと、侍女のエイミーが待っていた。


「アンジェラ様、じゃんけんに負けたので、寮のほうでも私がアンジェラ様付きのメイドになりました」


 エイミーはじゃんけんが弱い。

 でもそれ、今言う必要あった? みんなで押し付けあってたの?


 細かい事を気にしても仕方が無い。

 今日から楽しい寮生活が始まるのだ。


「じゃあエイミー、早速寮に行くわよ!」


 エイミーの手を引いて駆け出した。

 心地良い風が頬を撫で、木々を揺らす。

 木漏れ日がキラキラと輝いている。

 小鳥のさえずり。 花の香り。小川のせせらぎ。

 今までこんなに自然が美しいと感じた事は無かった。

 これから始まる寮生活は、絶対に楽しいものになるだろう。


「ぜえ、ぜえ、え、エイミー、寮は……寮はまだなの?」

「目の前に見えておりますよ。 あと5分くらいでしょうか。 ですから、貧弱なアンジェラ様のために、校門に馬車を待たせておりましたのに」


「おい、アンジェラは下痢をしているんだ。 労わってやれ」


 してねえよ。 てか、まだ居たのかよ、王子。

 ジークフリート王子の屈強な護衛に背負われ、無事に入寮を果たしました。

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