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こんにちは、「…」が打てない女です。
打てないので諦めました。
みなさんも諦めてくださいw
昼休みが終わり、教室に帰ると、泥だらけでボロボロになった梅ちゃんが机に突っ伏していた。
気付かれないようにそっと梅ちゃんから離れた席に座る。
王子達と急接近したせいで何か嫌がらせをされたのかもしれない。
「おい、下痢は治ったのか? 随分遅かったじゃないか」
ジークフリート王子が私の後ろの席に座り、何か下品な事を言っている。
取り巻きがお腹でも壊したのだろう。
私には関係の無い話だ。
「おい、無視するな。 この俺が心配してやってるというのに」
しかし、あんなにボロボロになっているという事は、直接的な暴力を振るわれたのだろう。
ゲーム内では私が先導して、陰湿な精神攻撃をしていた。
だが、決して直接攻撃は行わなかった。
「おい、大丈夫か? お腹痛くて喋れないのか?」
あれではすぐに何かあったと周りに勘付かれてしまうじゃないか。
まあ、黒幕は私じゃないからいいけど。
モヤモヤした気分のまま、午後の授業が終わった。
放課後になると、梅ちゃんがゾンビのような動きでフラフラと外に出てく。
やはり気になるので、そっと後をつける。
「おい、トイレはそっちじゃないぞ」
何故かジークフリート王子もついてきたが、これは好都合。
いじめの現場を王子が見て、梅ちゃんを助ける。 お決まりのルートだ。
中庭に出た梅ちゃんを待ち受けていたのは、意外にもマリンだった。
「よく逃げずに来たわね。 じゃあ続きを始めるわよ!」
「はい、師匠!」
これは……あ~、筋肉的なアレか。
筋肉師弟関係か。
関わっちゃいけないヤツだ。
そっとその場を離れ、校門へ向かうと、侍女のエイミーが待っていた。
「アンジェラ様、じゃんけんに負けたので、寮のほうでも私がアンジェラ様付きのメイドになりました」
エイミーはじゃんけんが弱い。
でもそれ、今言う必要あった? みんなで押し付けあってたの?
細かい事を気にしても仕方が無い。
今日から楽しい寮生活が始まるのだ。
「じゃあエイミー、早速寮に行くわよ!」
エイミーの手を引いて駆け出した。
心地良い風が頬を撫で、木々を揺らす。
木漏れ日がキラキラと輝いている。
小鳥のさえずり。 花の香り。小川のせせらぎ。
今までこんなに自然が美しいと感じた事は無かった。
これから始まる寮生活は、絶対に楽しいものになるだろう。
「ぜえ、ぜえ、え、エイミー、寮は……寮はまだなの?」
「目の前に見えておりますよ。 あと5分くらいでしょうか。 ですから、貧弱なアンジェラ様のために、校門に馬車を待たせておりましたのに」
「おい、アンジェラは下痢をしているんだ。 労わってやれ」
してねえよ。 てか、まだ居たのかよ、王子。
ジークフリート王子の屈強な護衛に背負われ、無事に入寮を果たしました。