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科学世界の魔術少女曰く  作者: 黒桐
黎明の翼/Alīs volat propriīs
13/15

Alīs volat propriīs

 空に手が触れそうなほど高く舞い上がる感覚。

 手を動かすように、足を動かすように今私は思うままに()()()()を動かし少し明るんだ夜空を飛んでいる。


「ほんとに飛んでる……!」


「ふふ、これが、決戦術式:Fáfnir(ファフニール)。髪飾りに込められた私の家系が継いできたとっておき!」


 私の首に両腕でぶら下がっている後ろのエリシアさんが答える。

 二人共浮遊しているのか、重力に引っ張られるような感覚は無く、ただエリシアさんの温度が背中越しに伝わっている。


「術者を依り代として神話の時代、かつて存在していた龍を再現する術式。今は私たち二人が依り代!」


 私自身の視界の周りは淡い光と数多の術式や魔方陣の様なもので埋め尽くされている。

 そして、まるでもう一つ身体があるかの様に龍の身体が応答している。

 見えないけれど、恐らくは無数の魔方陣や術式が龍の姿を取り、私はそれをエリシアさんと一緒に動かしているのだろう。

 自覚できる龍としての大きさ、これは数十メートルくらいだろうか、頭も翼も尻尾も足も自分の身体のように動かせるし、周りの風景も五感で感じるように理解できる。


「凄い……ほんとに自分の身体みたいに動かせる……それにたくさんの事が分ってそれで何か溢れてくる感じ……不思議」


「魔力も感じ取ってるのね、自分の中の魔力の湧き出る感じは最初は慣れないでしょうけど我慢して……と、動き出したわね」


 私は前を見る。私たちのちょうど正面、同じくらいの高度の小高い山の頂上に巨大な光の巨人ともいえないような何かが動き出している。

 人間の上半身をそのままドロドロに溶かしたようなそんな外見の異形の巨人が到底聞き取れないようなくぐもった低音で壊れたスピーカーのような声で叫ぶ。


『さア! コイ戦士タチヨ!』


 周りの地形は山々が囲うようにして徐々に地形はなだらかになっていき、そして正面の小高い山を挟み入り江を望む地形となっている。

 ここにいるのは動きにくいしあまりよくなさそう。


「さっき軽く説明したけど、術式の器はあなた、格は私、けど思考も肉体も一緒に共有しつつ操作できるわ。思考の方はある程度の意識の共有だから口伝しなきゃいけないような複雑な伝達は無理だけど……肉体の大まかな操作はハルカゼに任せるから、作戦通りまずは時間を稼いで頂戴!」


 それは先程、龍になる前にわずかな時間にエリシアさんと考えた作戦。


「うん、任せて!」


 光の巨人が動き出している、ずっ、と不定形の下半身が這うようにこちらに向かってくる。

 そして、白い光の玉のようなものをいくつか周囲に浮かばせる。

 この感じ……あのゴーレムの時みたいな……。

 予感を感じていると、巨人に強く魔力が走る、強く光り、そこから私たち目掛けて連続で砲撃が飛んでくる。


「!」


 私たちは龍の身体の重心を右に傾けるようにして躱す。感覚的に動かしているからこう感じているのだろうけど、実際はもっと複雑な要素でもって動いて避けれたのだろう。

 ちょうど、私たちの後ろにあった切り立った崖に砲撃は当たり、爆散する。

 このままだと被害が大きくなりそうと思い、私たちはそのまま空を飛び、入り江側に向かう。

 それにしても、さっきの攻撃……


「やっぱり、あのゴーレムと同じ……」


「同系統の魔術だもの攻撃手段も似た系統になってくる、けれど、数段厄介なことになるだろうから注意!」


「分かった!」


 風を切って空を駆け抜けていく。

 途轍もない速度で夜空と地面の間を突き抜ける。

 こんな速度で飛んでいるのに身体には風の抵抗も遠心力も感じないのが不思議な感覚だ。

 エリシアさんも私にしがみついているのにまったく重さを感じない。

 私たち二人が龍の体内にでもいる感じなのだろうか。

 海上まで移動し沿うように軽く旋回する。

 そうしていると、また、巨人の方から動きが起きる。

 何か巨人の周りの大気が渦巻いたかと思うと、鋭い魔力の波を感じ私たちは上に飛ぶ。

 すると、海が大きな刀で切られたかのように縦に真っ二つになる。

 空気を圧縮して斬撃を飛ばしてきてる。

 異形の巨人を見下ろす形でそのまま上に飛翔する。

 ふと後ろを確認すると、エリシアさんは何かを呟きつつ指でルーンを描きながら魔力を走らせている。

 私が要だ、頑張らないと。

 そう回想していると、今度は地面から何かを感じる。

 下を見ると、地面から巨人の周り数百メートルにびっしりと無数の数メートルほどの槍が生えているのが分かる。

 そして、槍はこちらの進路を断つようにここの空域一帯に向かって発射される。

 明らかに元の土色ではない鈍色に光り毒々しい雰囲気を纏ったその槍は当たれば無事で済まないことが考えずとも理解できる。


「ハルカゼ!」


「うん!」


 呼吸をする。

 エリシアさんの思考が流れ込んできてるのか、どうすればいいのか感覚で分かる。

 私たちは翼をはためかせ、近くの大気を揺らす。

 魔力で大気に干渉し、流れに指向性を与えるそれは、大きな嵐。

 私たちは無数の槍に魔力の嵐をぶつけ散らす。

 槍は嵐に阻まれこちらに届くことなく散り散りになり地面に落ちていく。

 今度はこっちの番。

 龍の頭部に魔力を集中させる、全てを壊すような、綯い交ぜにするようなそんな感覚で魔力を口に一点に集中し思いっきり放つ。

 レーザービームのようなそれは異形の巨人に向かって放たれる。


『コノ程度!』


 巨人に着弾する寸前で巨人を守る様に白い光の壁のようなものが展開される。

 

「分解の魔術……周囲を漂う塵に付与してるのね」


 そのまま、魔力を私は放ち続ける。

 攻撃は光の壁に阻まれ巨人の目前で散っていく、しかし。


『魔術ナど錬金シ分解すれば……、ッ!』


 壁はひび割れていき、そして粉々に砕け、巨人に着弾する。

 陣どっていた山は崩壊し、大きく抉られる形に変形する。

 大地と大気を震わせ、余波が世界に散っていく。

 大きな土煙と飛ぶ礫の中、クレーターの中心の巨人は攻撃により形を大きく抉られている姿を現す。

 しかし、徐々にその穴は塞がっていき、元の形状に戻っていく。


「効いてない……?」


「やっぱり再生するのね……ほんと面倒」


『なゼ魔術なラバ……イヤまさカ……ソウカ、そノ術式、神代の龍ソノモノの再現! ナれバコソ起こル事情全テは魔術トイウ紛い物デハナくカツテノ神秘そのモの! フハハハ! モハヤ魔術の領域ヲ逸脱しかケテいる!』


「その状態でもほんとよく喋るのね!」


 私たちは今度は遠く巨人を狙って魔力の嵐を生み出しぶつける。

 巨人はまた光の防壁を生む。

 嵐は壁を引き裂き、巨人の身体を吹き飛ばし、身体が散っていくもののまた、瞬時に再生していく。

 エリシアさん曰く、遺品(レリック)との同化は完全になっていない、その前に倒す必要があるのだけれど。

 このまま私たちの攻撃で押し切れるか……。


『サレど! こノ不滅の身ニハトドかヌぞ!』


 巨人の周りから霧のようなものが吹き出しこちらに向かってくる。

 私たちは再び海に向かって高度を下げつつ距離を取る。

 霧は幾つかに分かれこちらに飛来している、すると、一つの近くの霧から手の様な形を生やされた塊が素早くこちらに向かってくる。

 瞬時に左に躱すが、また別の霧から生やされた手がこちらに向かってくる。

 多分だけど捕まったら良くない!

 考えていると、今度は巨人の全面に天使の輪っかの様なリングが出来ているのを見る。すると、そこから閃光の様な稲妻とも言うべき魔力の奔流が巨人から私たちへ放たれてる。

 次々に攻撃が飛んでくる。

 私たちは縫うように稲妻の攻撃をすり抜けていく。

 そして辺りから嵐を生み霧にぶつける、手は霧散し霧はいくつか体積を減らし散り散りになるががすぐにまとまりまた向かってくる。

 私たちは、ぐるりと、海から再び入り江から山のほうへ飛んでいく。

 なら……私たちは大気を向かってくる霧を囲うように嵐を作る。

 球状の嵐は霧を捉えそのまま凝縮させるように小さくし霧散させる。

 すかさず、私たちはまた龍の口から魔力の攻撃を放つ。

 巨人に着弾するものの、瞬時にやはり、再生していく。


「……ふぅ……はぁ」


『さアこの程度カ! こノママデはどうニモナらヌゾ!』


 そして、巨人は再び、その巨躯に魔力を走らせる。

 そして巨人の辺りに閃光花火のようにはじける赤い閃光が周囲に浮かびあがり───


「それはどうかしら!」


 巨人の威勢に私の後ろの彼女、エリシアさんが大きな声で応えた。

 私の首を抱きつつ片手を高く掲げる彼女。

 魔力が周囲に迸り、薄みがかった空の下、私たちの頭上に大きな魔方陣が展開される。


Set(セット)! Awaken(アウェイクン)!」


 遠く、眼下の向こうまで響くような澄み渡る高い声でエリシアさんが叫ぶ。

 その声と同時に魔方陣が弾け、淡い輝きと一陣の風が一帯に吹きつける。


『! 一体ッ何……グ、ヌゥ、お、オオオォオォ!!!』


 混乱の後、巨人が突如叫び始める。

 巨人の不定形の肉体、無限と思われたその身体が所々泡のようにはじけながら塵に還り始めていた。

 周りに浮かんでいた赤い閃光群はコントロールを失ったのか、その場で赤く爆発し、消えていく。


『こレハ……チ、力が抜ケル! 我が奇跡ガ!』


「悪いけど、あなたの儀式割り込ませてもらったわ」


『……!』


「多分だけど錬金術、天体魔術と神働術(テウルギア)……それと教会魔術の併用でもって儀式を行ってたんでしょう? それなら同じやり方でこちらも儀式を行えば遺品の恩恵は二分され力は半減する」


『アり得ヌ、大儀式級ノ魔術……本来何十人とイう人数ト歳月ガ掛かル物を一瞬デ……ソウカ、龍!』


「ファフニールの魔力量と出力ならこの程度一瞬! 儀式なんて止められなくても!」


 銀斧は儀式の第一段階は既に遺品との接続は済んでおり、その恩恵で不滅の肉体を得ていた。

 そして今の儀式の第二段階でその遺品を身に宿す計画なのだろうとエリシアさんは語り、もう儀式は止まらない。だから、私が時間を稼ぐ間にエリシアさんが同じ手順で儀式を行い力を奪うと。


『言ウハ易いガ、マさカ此処マデ……!』


「エリシアさん」


「えぇ、そうね終わらせましょう!」


 私の考えが伝わったのかエリシアさんが答える。

 入り江と反対の方向、私たちと異形の巨人と海が直線状になる地点まで距離を開けつつ飛翔する。


『まダ、マダだァア!!!』


 直線状、回り込み、海を背に魔力を迸らせる巨人に向かって私たちは突っ込む。

 巨人は近寄らせまいとまた赤い閃光を周囲に浮かべ、こちらへ放つ。


「ハルカゼ!」


「任せて!」


 赤い閃光が轟きながらこちらに向かってくる。

 閃光は火花のように爆ぜたと思うとその爆ぜた光がまた火花の様に爆ぜこちらの視界を覆うように連鎖式に襲い掛かる。

 私は大気を操り、大きな嵐を周囲に生み、目前の火花に向かって叩きつける。

 嵐は火花を飲み込み、全てをかき消していく。


『ウォォォォォ!!!』


 異形の巨人の叫び、それに応えるかのように私たちの頭上に大きな天使の輪っかの様なものが展開される。

 先程のものとは違う雰囲気だけど……。

 そう考えていると、突然衝撃が私たちを襲う。


「!」


 強力な重圧とでもいうのだろうか重力が何倍にもなったかのような圧が龍の身体に作用している。

 輪っかの作用だろう、頭上から発せられる力の奔流が私たちを潰すように襲う。


「邪魔よ!」


 エリシアさんが上目掛け、空にルーンを描き、空間が歪む。

 すると、巨大な巨人の右腕の様なものが空間から現れ、輪っかに向かってパンチを繰り出す。

 そのまま巨大な腕は輪っかを捉え、その寸前で見えない何かにさえぎられるかのように止まり、その間から放電のようなものが周囲に生まれるが、右腕はその勢いのまま振りぬかれ輪っかを叩き壊す。

 いよいよ目前の異形の巨人、私はただ真っ直ぐに見据える。


「決めるよエリシアさん!」


「えぇ!ハルカゼ!」


 私は龍の身体にある全ての魔力を呼び起こす。

 全てを混沌に還すような魔力の奔流、力の限り龍の口先、一点に込める。

 黒く白い光が集まっていく。

 大気を震わせ、大地を震わせ、ただ一点を見据える。


「全力でやるわよ!」


 魔方陣が前面に並ぶように幾つも展開される。

 閃光が辺りに散り、礫が舞い上がっている。

 異形の巨人は私たちに応えたのか、異形の身体から魔力を走らせ白い光を凝縮させている。


『消え去レ!』


 一瞬、

 永遠とも感じたその瞬間。

 私はエリシアさんへ振り返る。

 エリシアさんの表情は───真っ直ぐだった。

 そして、少し口角を上げ私を見て───

 ……私は少し微笑み返すと再び前を見た。


「「Fáfnir(ファフニール) Roar(ロア)!!!」」


 全てを呑みこまんとする程の破壊の奔流が異形の巨人に向かって放たれる。


『オォオォォォ!!!』


 異形の巨人も光を束ね放ち私たちの攻撃を迎え撃つ。

 相反する二つの光線が衝突する。

 衝撃の余波が周囲を巻き込む、大地が割れていき、海はうねり、轟風が吹き荒れていく。


『オオオオオ!!!』


「ッ……!」


 巨人の攻撃が強まり、白光がさらに輝く、けれど。

 もう、譲れないものが出来たから。

 全霊の力を込めた龍の咆哮。

 けれど、更にありったけの命いっぱいを込めて、力を振り絞る。


「わあぁぁーーーっ!!!」


 龍の咆哮がより一層輝き、威力を増す。

 咆哮は白光を押し返し、やがてその光さえも塗り潰し。


『! アァあァ、まダだ、マだ、わ、タしは……っ……!』


 そして咆哮は巨人さえも呑み込んでいく。

 渦巻く破壊の一閃がその異形の姿を覆いこの世界からその一片、一片を塵に返していく。


『……! ……ッ! ……』


 そして咆哮はその全てを焼き、断末魔さえもかき消していった。

 破壊の咆哮がやがてその光を弱め、そして消えていく。

 光が消え、

 龍はその顎を閉じ、

 ただ、沈黙する。

 吹き止む嵐。

 巨人の姿が世界から消え去り、空の結界は剝がれていく。

 空にたたずむ私たち、静かな風が優しく私の頬を撫でた。


「……お疲れ様、ハルカゼ、私たちの勝ちよ」


「うん……お疲れ様」


 エリシアさんに言葉を返すと同時に私は空を見上げた。

 すっかり夜は終わり、藍色の空が朝が来ることを告げていた。

 辺りを見まわすと、あちこちで地崩れなどの崩壊が起き、木々は吹き飛び、かつてあった小高い山は姿形がさっぱり消えて、その代わりただ抉られた地面が海まで続いており、そこであった破壊の生々しい傷跡を伝えている。


「ぜぇ……はぁ……」


 身体に疲れがどっと込み上げてくる。

 気怠いなんてものじゃないくらいに体が重い、指の一本さえ動かすのも億劫おっくうなくらいだ。

 そうしていると周囲にあった魔方陣がゆっくりと滲む朝に溶けながら消えていく。

 ふと上を見ると、先程まであった龍の姿は霞みほとんど見えなくなっていた。

 消えていく光の中、私たちの身体がゆっくりと地面に向かって落ちていく。


「時間切れ、ね……あなたもお疲れ様……術式にこんなこと言うのも変だけど」


 後ろから聞こえるエリシアさんの柔らかな声。

 見えないけれど、きっと、優しい表情をしているのだろう。

 私は空に消えていく光に向かって呟く。


「ふふ、ありがとう龍さん、お疲れ様」


 そうして呟くと、後ろからクスッと小さな微笑が聞こえてきた。

 そして、エリシアさんが抱き着いていた私の首の腕の感触が消える。

 私の上半身が横に軽く向きつつ倒されたかと思うと、下半身が急に持ち上がる。


「わ」


 私はエリシアさんに抱き上げられる。

 夜明けが広がっていく空の下、私は私をお姫様抱っこしている彼女を見上げる。

 その表情は落ち着いていながらもどこかにこやかだった。

 少し恥ずかしいけれど、今はきっと私も同じ表情をしている。


「さ、地面に降りましょう。掴まっててハルカゼ、ゆっくり落ちるわ」


「うん、ありがとうエリシアさん」


 エリシアさんの言葉通り緩やかに空に落ちていく私たち。

 魔術でゆっくりと落ちるようになっているのだろう。


「完全に術式が消えてるわ……後遺症も無し……いや、これは魂がリンクしてる……?」


 不思議がるエリシアさん。


「それってどういう?」


「文字通りよ、あなたが死んだら私が死ぬし、私が死んだら、あなたも死ぬ」


「……え」


「まぁ、これはおいおいどうにかしていきましょう」


「そっか、うん、なら……今はいいね」


 きっとエリシアさんは途轍もないことを言ったのだろうけど、私はすごく疲れているせいかどうにも頭が回らず、軽く流す。

 いや、きっとエリシアがいるから大丈夫だと思えるからなんだろう。

 ふと、水平線から覗く太陽の光、眩しさに私は目を細める。

 朝焼けの中、海の波はその光を返し、大地が照らされ木々がその光を浴びていく。


「……眩しいわね」


「でも綺麗」


 流れていく時間、私はふとエリシアさんにずっと言おうと思って言い出せなかったことを思い出す。

 やっとここまでこれた。

 ずっと心の底で望んでいたことを私は……。

 息を吐き、私はエリシアさんに伝える。


「……ね、エリシアさん私と、友達になってくれませんか?」


 私の言葉にエリシアさんは目をパチクリするとまた笑う。


「……もうなってるものだと思ってたわ……えぇ喜んで」


「えへへ」


「ふふ」


 笑い合う私たち。

 長い夜は終わり、鳥たちが朝を告げる。

 私は落ちながらエリシアさんと共に昇る朝日をゆっくりと眺めていた。


「……そういえばトランクあそこに置いたままね、取りに行かないと」


「エリシアさん……」

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