ショートショート「エクソシスト」
俺の名前はジョージ、しがない探偵なんて稼業をしている。
エイミーの同級生が悪魔に取り憑かれたらしい。
馬鹿馬鹿しい話だとは思ったが、俺とダニエルは忙しいスケジュールの合間を縫って、その同級生の家に行ってみることにした。
例によって臆病風に吹かれたダニエルを景気づけるために、俺たちはなじみのバーでいっぱいひっかけてから向かうことにした。
が、これがいけなかった。
「いよっ、リーガンちゃん!お見事!」
ダニエルの馬鹿笑いと拍手が響く。俺たちはすっかりできあがっちまっていた。
片手にバドワイザーの瓶を持ち、ラッパ飲みしながらはやし立てる姿はもはやただの酔っ払いだ。
先ほどからリーガンはなにやら太い声で怒鳴りつけてくるが、何を見てももう宴会芸だ。
「声色上手いねぇ、ハスキーなところがちょこっとだけ色っぽい?なんちゃって!」
「貴様らぁぁぁあああ。」
ダニエルの軽口にさらにリーガンが激高している。そりゃそうだ、10歳ほどの女の子になんて冗談言いやがる。
リーガンは続いてこれを見ろ、と言わんばかりに首をぐるりと右に回し始めた。そのまま真後ろへ、そしてなんと一回転させて元の位置に戻ってきたのだ。これは驚いた、身体が柔らかいなんてもんじゃ無い。
俺たちの惜しみない賞賛の拍手と口笛が響き渡った。
さらに寝間着姿のまま天井に張り付いて見せてくれた。
まるでニンジャのようだ!とダニエルは大興奮だ。
「貴様らいい加減に信じろぉぉおおおお。」
相変わらずなぜか激高しながら次々と宴会芸を見せてくれるリーガン。
しかしこの子はなんて芸達者なんだ。女優の娘という話しだったが、これは将来いいエンターテイナーになるに違いない。
おや、神父様もご到着か。どうだい?一緒に一杯やらないか?




