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SCARLET  作者: 九条 隼
SCARLET:天才たちの話
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非才陰陽師・裏-1


 それは、あの事件から五年がたったある日のこと。


 ふかふかの黒いソファに二人で寝転がって、数枚の写真を手に取っていた。勿論写っているのは、ただ一人。

 黒い髪に赤いピン。そんじょそこらのアイドルよりもよっぽど可愛い。そんじょそこらのヒーローよりもよっぽどカッコいい。そんな人。

 しょうがないな、なんて言わんばかりの表情で笑う写真の中のその人に、今日も俺の心は暴れまくりである。

 素敵! かわいい! かっけー! 犯してえ!! でも今は妄想だけにとどめておこう。

 落ちつけ、俺! 俺はクールが売りなんだから!

 そこらじゃ有名な一匹狼とは俺のことだぜ。……。

「……リッカ」

「え?」

「リッカ、鼻血」

 お前、女の子だろ。唯一の女の子だろ! ごまかすように笑って見せて、食い入るように見ていた写真をこちらによこした。

「えっえへ! まあまあ、ほらこれサービスショット」

「!!!」

 おおおおおおっやべえきたこれ、風呂上がりじゃないですか! あの人風呂嫌いなのに写真とか珍しい! てか鎖骨! 色気! 色気! もともと犯罪級なのにこれはもうテロじゃないですか!?


 二人でゴロゴロと暴れまくって発狂した。


 至福だ。

 幸せすぎて辛い。生きるのが辛い。


 女子高生に負けないくらいの悲鳴を上げて二人で一緒に笑って、帰ってこないあの人の充電。あの人への愛で俺らに叶う奴なんざいないだろう。ふふん。

 しかし、このまま汚してしまうわけにはいかない。取り敢えずと厳重に丁重に仕舞い込む。金庫に入れてロックして、もう一度金庫に入れてロックをかける。

 こんどまた新しい金庫買ってこようかな……。


「いやあ、流石リッカ……撮影の腕は神だな」

「いやいやそういうユイこそ……改造の腕は流石へんた……天才だね! めっちゃ綺麗に写ってるよ」

 いやいやいや、そんな! また二人でテンションを上げてソファでゴロゴロ転がる。マサがいたら蹴り落とされること間違いなしだけど。

 ああ、幸せだ。――本当に。


 紅茶を入れて落ちついて、また笑い合った。

「そう言えば帰ってこないね。……マサとコハも」

「ね。失踪者三名に増えちゃったよ」

「ねー」

 マサとコハはあの人を探しに行っただけだけど、きっとまた連れて帰れないだろう。いくらマサが強運の持ち主でも、コハは悪運の持ち主なんだから。プラスとマイナスはかけたらマイナスになるからね。

 あっいま上手い事言った。


 まあ、二人が帰って来たらこうやってのんびりすることはできないんだろう。まず写真取りあげられて燃やされるし。

 ああそれでも、そろそろ本当にさびしい。リッカとこうやって過ごすのも好きだけど、やっぱりみんなでいるのが一番好きだ。そっとリッカを覗き見れば、どうやら考えることは一緒らしい。

 流石、なんてまた小さく笑い合った。


「行くか……」

「行こう!」

「……どこに?」

 紅茶を持つ手が止まる。リッカはきょとんとして俺を見ている。あ、はい、ノープランですね。

 もしかしてこれは探すところから始めなきゃだめなのかもしれない。いや、勿論あの人を探す手がかりだからそれもまた幸せだけど。見つけたら御褒美とか言ってそんなものがあったらもうそれはもう死ぬほど幸せって言うか死んじゃうっていうか! いや、勿論あの人が生きろっていうなら不老不死にでもなってみせますけれどね!

「ふっ。じゃじゃーん、見てよこれ!」

「リッカ、ピン芸人でも目指してるの? 顔芸って。でも芸人もそれなりに頭の回転速くなきゃだめじゃね?」

「ちげーよ! 顔じゃなくて液晶を見ろ! 液晶だ!! Look at this display!!」

 近い近い。近すぎてなんにも見えない。取り敢えず謝罪して、液晶を覗く。

 ……掲示板か?

「どうしたの、これ」

「美少女掲示板。見つけた美少女をね、ここに書き込むの。ほら見てココ。茨木で黒髪美少女発見! これは二次元レベルだってさ!」

 なるほど、つまりは理解した。



「行くぜ、茨城!!」

「イエッサー!」



 しかし俺達のこの気合はすぐに燃え尽きることになる。

 ……まあ、予想をしてなかったわけじゃない。



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